2023入試結果データの見方 受験校選びの参考にする際にチェックすべきポイントとは?【中学受験】

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受験シーズンには、各学校の受験者数や倍率などが話題に上ることも多いと思います。こうした入試結果の数値データを受験校選びの参考にする際は、どのように見ていけばよいのか、森上教育研究所がお伝えします。

受験校選びでは偏差値だけではなく倍率も参考に

近年上位校は倍率が高まる傾向

一般的に中学受験の合格可能性を測る指針となるのは偏差値です。
四谷大塚、日能研、首都圏模試、サピックスと大きな模擬試験が4つありますから、ここで出される合格可能性80%もしくは50%の偏差値を見れば、かなりクリアに合格可能性を予測できます。

しかし、近年難関校を中心に受験者数が増加する傾向があり、1点2点を争う中に多くの受験生がいるという倍率の高い学校も出てきています。
合格可能性80%以上の偏差値であれば、倍率が多少高くても問題ありませんが、50%の偏差値で高い倍率の学校を受けると不合格となる可能性も高くなります。そういった意味で、受験校を検討する際は、倍率にも注意を払う必要があります。

塾のWebサイトなどで倍率や受験者数の変化を確認

倍率や受験者数の前年比などの変化は、塾のWebサイトなどに掲載している場合もありますが、学校側ではその年度の受験者数しか公表していないことがほとんどです。また、早いタイミングで出願する人は少ないため、自分が受ける予定の入試の受験者数は受験直前までわかりません。

したがって、気になる学校の倍率や変化の傾向は、自分が受けるより前の年度のデータを確認しておく必要があります。塾のWebサイト以外では、通っている塾の先生に相談するのもよいでしょう。気になる学校はどの程度の倍率なのか、増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかざっくりと押さえておきましょう。

各校の倍率はどのように見ればよいのか

受験生が最も多い入試方式と2月1日午前入試の倍率をチェック

受験者数や倍率は日程や入試方式別に出ているため、まだ実際に受験の日程や入試方式が決まっていない場合にどの数字を見ればよいか迷うかもしれません。
その場合は、受験者数が最も多い日程・入試方式に着目しましょう。そこが、その学校のメインの入試となります。次に着目するのが2月1日午前に行われる入試です。これはその学校を第1志望とする人が多く受ける「本命」の入試です。

学校によっては、「本命」である2月1日午前よりも1日午後や2日のほうが受験者数が多い場合があります。
そうするとその学校は「併願校」としての人気が高いとわかります。そうした学校の特徴を押さえておけば、その学校を併願したい場合に本命ではないけれどあえて倍率の低い1日午前で合格し、それ以降に第1志望校にチャレンジするといった戦略を立てていくことも可能です。

男子校や女子校に比べ倍率が高く変動要素の多い共学校は注意

ただし、共学校を志望する場合は、男子校や女子校に比べて倍率が高いことに加えて、男子が急激に増えて女子が急激に減る年、その逆の傾向の年があるため注意が必要です。
女子は国語が優秀な場合が多いのであまり差がつかない傾向があり、算数が得意な男子のほうが人数が非常に多い場合など合格可能性が読みにくくなります。

また共学校はすべての日程をとおして倍率が高い場合が多いので、ある程度倍率が落ち着いていて、かつ合格可能性60%なり70%なりの偏差値がある男子校や女子校でまず合格を得たうえで共学校に挑戦するといった入試戦略を考えてもよいでしょう。

隔年現象、反転現象、定番倍率に注目を

受験者数の動向は過去4年のデータがあれば傾向がつかめます。
女子校にありがちなのが隔年現象といわれる、受験者数が増減を交互に繰り返す入試状況です。今年の入試で例を挙げると、昨年増加した受験者数が今年は減少した女子学院がそれに当たります。

また受験者数が3年も続けて減少していると割安感が出て反転し、人気が出て難化することもあります。
今年受験者数が減少から増加に転じた芝や桐朋は、そうした反転現象が起こったといえます。どんなに受験生が増えようと決まった倍率を出そうとする学校もあります。決まった倍率は安心感があります。その典型例が埼玉の栄東です。

倍率が高くなれば失点は許されません。
しかし、たいていは算数の2問ないし3問といった合否を分ける問題で差がつきます。例年その問題は異なるでしょうが、その問題の正答率がわかれば手がかりになります。仮に正答率が45%の問題を解けるなら、100-45=偏差値55という計算で、偏差値55相当の学校の合格を得ることができる、という目安になります。

まとめ & 実践 TIPS

受験校選びでは倍率にも注意を払う必要があります。
学校側は受験者数しか公表せず受験直前までわからないことが多いので、塾のWebサイトや通っている塾で気になる学校の前年度の倍率や変化を押さえておきましょう。
受験者数が最も多い日程・入試方式と2月1日午前に行われる入試をチェックし、倍率をもとに戦略を立てるのもおすすめです。ただし共学校の場合は合格可能性が読みにくく倍率が高い場合が多いので注意が必要です。
また、過去4年の受験者数のデータがあると動向がわかるので、隔年現象、反転現象、定番倍率にも注目するとよいでしょう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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