周りが推薦で合格。焦る我が子にどう声かける?
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11月になると推薦入試の合格発表を行う大学も増えてきます。
募集人員全体に占める推薦入試(学校推薦型選抜・総合型選抜)の割合は年々増えており、国公立大学でも後期日程を廃止して推薦を取り入れるなど、推薦入試を実施する大学も増えています。
クラスの半分以上の生徒が年内に進路が決まるというケースもあるようですから、周りの様子を見てモヤモヤしたり不安になったりするなど、気持ちが揺らぐこともありますよね。
そんな時に保護者としてどうフォローすればよいのか、コーチングの視点で考えてみたいと思います。
1.不安や焦りの根っこにあるものを想像する
「仲の良い友達がどんどん推薦で合格していて、いいなぁって思っちゃう」などとお子さまが口にした時、その背景には何があるのでしょうか。
実はこの部分を決めつけてしまいがちなので注意が必要なのです。
「早く受験勉強から解放されたいだけでしょ」
「逃げたいと思っているからそんなことを言っている」
といった決めつけがあると、それはお子さまにも伝わってしまいます。
でも実際のところはもう少し複雑だったり、別の理由があったりする場合も。
たとえば、受験勉強が計画通りに進まず、最後までやりきれるかどうか見通しが持てなくて不安だったり、模試で志望大の志願者数が昨年度より増えていて一般選抜の倍率が上がるんじゃないかと感じていたり、周りの友達が合格すると受験勉強で大変な時に励まし合えないし、推薦で合格したクラスメイトの空気を壊すようなことを言ってしまわないか、と危惧(きぐ)していたりするのかもしれません。ひと言で不安と言っても、何が不安なのかは複雑で原因も一つとは限りません。
お子さま自身がそのモヤモヤの原因をきちんとつかみきれていないこともありますので、さりげなく聞いてあげながら言語化するお手伝いをしてあげれば、スッキリできるはず。
2.どんなにネガティブでも最後まで全部「聴く」
モヤモヤの原因がつかめてきたら、それに伴ってお子さまの中にいろんな感情がわき上がってくるかもしれません。
「自分も早く勉強から解放されたい」
「私も推薦にすればよかった」
「早速遊びに行く話なんかしていてムカツク。聞きたくない」
など、ネガティブな思いが出てきてしまうのもしかたがないこと。周りの友達に言いにくい話だからこそ、保護者のかたが聞いてあげられたらよいですね。
その時に大切なのは、否定せずに最後まで全部聴くこと。
「そんなこと言わないの」「だから言ったじゃない」などと言いたくなることもあるかもしれませんが、そこはぐっとガマンして、「そうなんだ」「そう思うんだね」と全部出しきるまで促してあげてください。
思っていることを受け止めてもらえれば、自然と「じゃあそこからどうする?」と落ち着いて考えやすくなります。
また、お子さまが話したことを問題視して解決策を探そうとする必要はありません。自分の胸の内に留めているとモヤモヤし続けてしまうので、外に出すお手伝いをしてあげるだけでよいのです。「聴く」ことにはそれだけの効果があります。
3.「1年後、充実した学生生活を送るには?」と想像することを促す
思いを話して冷静さを取り戻してきたら、少し視野を広げるサポートをしてあげましょう。
具体的には、お子さまに「1年後に心から充実した学生生活を送っているとして、そこにたどり着くために今どんなことをしたらいいかな?」など、たどり着きたいゴールをイメージする問いかけをしてあげてください。
ポイントはできるだけ具体的に、理想の状態を想像すること。
どんな服で学校に行き、どんな友達と一緒にいて、どんなタイムテーブルで1日を過ごしているか。どんな授業が面白いと感じていて、どんな先生から指導してもらっているか。難しいしレポートも大変だけどやりがいのある授業は何かなど、妄想していきます。
そんなふうにイメージした後、その理想の学生生活に到達した自分は、そのためにどんなことをがんばったのか、と考えてもらいます。お立ち台でヒーローインタビューされている自分が、なぜその結果を達成できたのかを語っているイメージです。たとえば「苦手な数学は基礎問題集に戻って1周解いて、英語はとにかくリーディングのスピードを上げるために、短めの文章を毎日時間を計って読んだことがよかったかな」のように、具体的に考えるのが効果的です。
話していくうちに、受験勉強の先に本当に達成したいものと、そのために必要な行動が見えてくるはずです。
まとめ & 実践 TIPS
周りが合格を手にし始めると、これまでがんばってきた人が、ふっと緊張の糸が切れそうになったり、焦りを感じてしまったりするのは自然なこと。推薦で志望大を受験したものの思った結果が得られず、一般選抜まで勉強を続けなければならないけれど気持ちがなかなか切り替えられない……というお子さまもいらっしゃるかもしれません。それで一時的に足踏みしたとしても「やっぱりがんばろう」と前を向かせてくれるのは、「どうしても合格してあの大学に行きたい、これを学びたい」という強い気持ちです。たどり着きたいゴールはどこか、この機会に保護者のかたも一緒に確認してあげてください。
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