厳しい状況が続く2023年度中学入試 併願校どう選ぶ?

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6年生は、中学受験対策を本格化し併願校を検討する時期となりました。今回は、これまでの模試の受験動向から見える2023年度入試の予測と、併願校の選び方について森上教育研究所がお伝えします。

2023年度も受験者数は高止まりが続き厳しい入試状況に

難関校から中位校まで2月1日午前は3倍前後の倍率に

中学受験者数は、ここ数年コロナ禍に見舞われる中でも増加を続けてきました。今年度の模試の状況を見てもこの傾向は変わらず、2023年度の受験者数は高止まりが続くと予想されます。

2月1日の午前入試の倍率は、難関校から中堅校、中位校に至るまで3倍程度となる見込みです。多くの受験生にとって1回目の受験となる2月1日午前入試で合格を手にするのは3分の1程度となり、かなり厳しい入試状況といえます。

女子の共学校、進学校、中位校の受験者数が増加

受験者数が増えると予想されるのは、女子の場合は共学校です。女子校の共学化が進んでいることが背景にあります。ただし女子校の受験者が減るわけではなく、女子の受験者の総数が増えると考えられます。男子についてはあまり変化は見られませんが、男子校の受験者数がやや増えると予想されています。

系列大学への進学がほとんどの付属校、系列大学以外の大学進学者も多い半付属校、系列大学がない進学校という分け方で見ると、付属校や半付属校は倍率が高く敬遠されがちです。したがって2023年度は進学校が伸びるとみられます。

レベル別で見ると偏差値40から50までの中位校が、さまざまな入試を設定して受験者数を増やし、多くの中間層が受験に参入すると考えられます。難関校や上位校についてはコロナ禍の影響で学力を伸ばしきれない層もあり、倍率は下降気味です。ただし、受ける人が減っても易化はせず、難しい問題を出して一定レベル以上の入学者を確保しています。

併願先としていかに安全校を選ぶかがカギ

倍率の低い埼玉の学校、午後入試に注目

厳しい入試状況が予想される2023年度入試においては、第1志望校だけではなく、併願先として安全校をしっかりと選ぶことが重要です。安全校を考える方法のまず一つ目は、低い倍率の学校を狙うというシンプルな方法です。

たとえば、1月に入試を行う埼玉の学校は、倍率がほぼ1倍台です。同様に1月に入試を行う千葉の多くの学校は2.5倍前後ですから、かなり受けやすいことがわかります。受験者が増えた場合も倍率は低めに抑えられていますので、安心して受験できます。

同様に2月1日午後と2日午後の入試にも、倍率を意図的に2倍以下に下げている学校がいくつもあります。倍率を1.9倍にキープしている東京都市大学付属が典型例ですが、倍率を低く保って併願先として選んでほしいとアピールしているわけです。こういった学校を併願先として選ぶのも一つの方法です。

入りやすい偏差値で学力を伸ばしている学校を選ぶ

安全校を選ぶ二つ目の方法は、入り口となる偏差値は入りやすいけれども出口となる大学合格実績のよい「学力を伸ばしている」学校を選ぶというやり方です。たとえば、お子さんの志望校を選ぶ際の妥当な偏差値が50だとすると、偏差値45の学校の中で、偏差値50の学校と同等の大学合格実績のある学校を併願先に選べば、入りやすくかつお子さんの偏差値に合った学校に入学したのと同等の結果が期待できます。

資料1、2は、GMARCHの合格実績をもとに割り出した、学力を伸ばした学校の男女別の一覧です。①が2016年の入学時の首都圏模試の偏差値、②は2022年度の卒業生100人当たりのGMARCHの合格者数、③は②の合格者数に相当する出口の偏差値です。④の偏差値の差が学力の伸びとなります。たとえば宝仙学園共学部理数インターは、①の入学時の偏差値は48ですが、GMARCHの合格者数は③にあるように偏差値58.7の学校と同等で、偏差値10.7ポイント分学力を伸ばしたことになります。

資料1

資料2

また、2026年度から日本学園が明治大学系列の明治大学付属世田谷となることが決まりました。卒業生の7割が明治大学に入学できるようになると広報されているので、偏差値は50程度になると見込まれていますが、GMARCHに7割が進学しているのは偏差値55の学校に相当します。進学先が明治大学に限られはしますが、こうした系属校を併願先として考えてもよいでしょう。

資料も参考にして、お子さんにぴったりの安全校を併願先として選び、第1志望を安心して目指せるよう受験までの作戦をしっかりと立てましょう。

まとめ & 実践 TIPS

2023年度入試の中学受験者数は高止まりが続き、厳しい入試状況になるとみられるため、併願先として安全校を選ぶことが重要になります。併願先を選ぶ方法としては、埼玉の学校や午後入試といった低い倍率の学校を狙うシンプルな方法と、入り口の偏差値は入りやすいけれども大学合格実績の良い「学力を伸ばしている」学校を選ぶという方法があります。資料も参考にお子さんにぴったりの安全校を選びましょう。

※記事内の表の詳細は、以下のリンクよりご参照ください。
【森上教育研究所】中学受験と私学中等教育8月号抜粋.pdf

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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