2022年首都圏私立中学受験者動向分析・今年の特徴

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2022年2月18日に森上教育研究所が主催する「2022年入試 首都圏中学入試の結果と分析」セミナーがオンラインで行われました。今回は、早稲田アカデミー教務本部長・中学受験部長竹中孝二氏とサピックス小学部広野雅明氏の発表をもとに今年の中学入試の特徴についてお伝えします。

中学受験率はさらに増加へ

コロナ禍により私立中学の価値が見直される傾向に

2022年度の1都3県の私立国立中の受験者総数は、首都圏模試センターによれば推定5万1,100人に達し過去最多となり、受験率も17.3%と過去最高になりました。この増加の理由は、コロナ禍の中で私立中学の価値が改めて認められたという点があると考えられます。

私立中学は建学の精神や理念が大前提となっていることもあり、手厚い教育活動、面倒見のよさに魅力を感じるかたも多かったのでしょう。また大学進学実績を着実に伸ばす学校や、多様化する学習への対応や環境整備を積極的に行う学校が多いという点においても、私立中学の優位性を確認されて受験されるかたを増やす結果となったと考えられます。

低学年からの通塾者数も増加

私立中学の価値が見直された結果、早期からの受験意識も高まっており、低学年から通塾されるお子さんも増加傾向にあります。早稲田アカデミーの小学校4年生の4月の開校時の塾生の人数は、2015年の人数を100%とした場合、2022年は209.2%と倍にまで増加しています。

さらに図表1で早稲田アカデミーの2022年の卒業生の入塾時期を見ると、小学3年生の下期と上期の割合が高く、これまで中学受験のための通塾開始時期とされていた小学4年生より多くなっています。早稲田アカデミーは公立中高一貫校を目指す講座があるため小学5、6年生での入塾の割合が多くなっていますが、このコロナ禍の情勢を見て5年生から私立中学を目指して入塾されたかたも多く含まれていると見ています。

小学1、2年生で入塾するお子さんはこの時点では1.6%と1.9%とさすがに少数派です。しかし、通塾の低年齢化が今のペースで進めば今年の1年生が卒業する頃には20%くらいには増えていてもおかしくないでしょう。

図表1

受験生1人あたりの出願校数は増加、受験校数は微増

コロナ禍の影響で実際の受験校数はやや控えめに

次に2022年入試において受験生は1人あたり何校出願したかという出願校数、実際に何校受験したかという受験校数に注目してみます。サピックス生の1月入試2月入試の平均出願校数は、男子は7.95校、女子は8.31校。早稲田アカデミーの塾生は男女合わせて7.68校。いずれも前年よりも0.37校から0.56校増加しました。受験校数はサピックス生は男子が5.60校、女子は5.66校。早稲田アカデミーの塾生は男女合わせて5.67校。いずれも前年より0.2校増と微増となりました。

出願校数の増加には、ネット出願なども含めて気軽に出願できる環境が整いつつあることが要因として挙げられます。さらに、試験会場での徹底したコロナ対策や濃厚接触者や陽性者となってしまった受験生への別室受験や別日受験などの対応を早期に打ち出す中学校が多かったことも安心感につながり、昨年に比べ出願校数が伸びたと考えられます。

ただ、コロナ情勢の深刻化が続く中、実際に電車に乗って時間をかけて学校に受験に行くことには不安を感じたご家庭も多かったのでしょう。埼玉や千葉の受験生は例年であれば早期の合格を確保して東京でも受験されるかたが多いのですが、今年は早期に合格を得られた場合は後半に予定していた受験は控えて地元への進学を決めたかたが多かったと思われます。

午後受験の一般化も出願校数・受験校数増加の一因に

出願校数の増加の要因として、午後受験の一般化も挙げられます。図表2は早稲田アカデミーの塾生の午後入試の受験率の推移を表したものですが、年々増加を続けています。東京で午後入試を実施する中学校は増加しており、受験情報誌においても午前・午後入試で別々に偏差値が示されるなど、認知度が高まっています。

午後入試では単科入試などの特色ある入試の選択肢が増えてきたことも、受験のしやすさにつながっている面があるでしょう。さらに去年から今年にかけてはコロナ禍の影響で午後からの面接が中止になる学校も多く、午後の時間を別の学校の受験に活用されたかたも多かったようです。今後も午後入試一般化の流れは続くと考えられます。

図表2

まとめ & 実践 TIPS

2022年度の1都3県の私立国立中の受験者総数は過去最多、受験率も過去最高となりました。その結果低学年からの通塾者数も増加しており、低年齢化は今後も進むでしょう。受験生1人あたりの出願校数は、気軽に出願できる環境も整ったことや学校が感染対策を打ち出したこと、午後受験の一般化もあり増加しました。ただし、コロナ情勢の深刻化のため受験を控えるご家庭も多かったとみられ受験校数は微増にとどまりました。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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