<新高1~高校新課程~>知っておきたい! 思考力重視の入試と新課程のポイント

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高校入試が終わってほっとされている保護者のかたも多いと思います。今年の入試から、新課程に対応した入試となりました。
中学校、高校の新課程では思考力が重視されるため、高校入試や大学入試では、先行してここ数年で思考力を評価する出題が増えてきています。
保護者も知っておきたい、思考力を評価する出題の特徴、思考力をはぐくむ新課程のポイントをお伝えします。

この記事のポイント

思考力を評価する出題の特徴とは?

高校では、令和4年度入学の高校1年生が新課程1期生となります。
思考力重視の新課程が始まり、3年後の「令和7年度大学入試」は新課程に対応した入試になります。
既に大学入試でも、先行して思考力重視の出題が増えてきています。
高校入試、大学入試の思考力を評価する出題を分析すると、3つの特徴が見えてきました。

【1】問題解決力
身の回りのふとした疑問を調べる場面、国連の持続可能な開発目標(SDGs)など社会の問題に取り組む場面において、どう考えるかを問うような出題が増えています。
たとえば、自分で問題点を見つけ、解決方法を考える場面で、どこがおかしいのかを発見させる出題、解決方法を複数考えさせる出題、どの解決方法がよいか吟味させる出題などです。

【2】創造的思考力
日々の生活場面でよく見かける広告、取扱説明書、お店のメニューなども題材として使われることが増えました。
また、グラフ・図・会話文・写真など、いろいろな情報を読み取り、組み合わせて判断する出題が増加しています。
いろいろな情報をつなげたり組み合わせたりして考えることで、わかることや問題点など、新しく発見したことを答えさせる出題がありました。

【3】論理的思考力
記述式問題で、自分の考えの理由を書かせるタイプの出題だけでなく、いくつかの異なる主張のうち、どれが自分の考えに近いかを選んでその理由を書かせるような出題も増えてきました。
理科では、実験の結果を自分なりに予想して書かせたり、英作文においても、「自分の考えや意見」を書かせたりする出題が増えてきています。

なぜ思考力が重視されるのか?

思考力は、お子さまが大学や社会に出て働くときにも役立つ力です。

新型コロナウイルス感染症の流行によって思いもしなかった状況になってしまったように、予測困難な社会では、「答え」がまだない問題に直面することが多くなるため、【1】の問題解決力がより求められる機会が増えるでしょう。
また、ここ数年でAI(人工知能)が急速に進化し活用される事例が増えました。
単純な作業はロボットやコンピュータが行うようになり、人は創造的な仕事に集中するようになっていくでしょう。その際、新たな発見やアイデアを生み出す【2】の創造的思考力があると役立ちます。

【3】の論理的思考力は、社会で多様な人と一緒に協力する場面で、感情的にならず、わかりやすく伝えることに役立ちます。
グローバル化が進み、いろいろな国の文化・価値観を持つ人々とのコミュニケーションの機会が増えると、なおさら必要になる力です。

思考力をはぐくむ新課程の学び方

社会でも役立つ思考力をはぐくむため、高校での学びも変わります。
「何を知っているか」「いかに多くのことを覚えるか」が重要なころは、効率よく知識を身に付けることができる講義型の授業が主流でした。
しかし、思考力が重視される新課程では、社会で役立つ実践的な学び方に変わります。新課程で推進される学び方を2つご紹介します。

一つ目は、学んだことを生かして問題を発見し、解決する「探究的な学び」です。
たとえば、自分が疑問、興味を持ったことや、地域や社会の課題について調べ解決方法を考えて発表する授業があります。
また、教科学習で学んだことを自分の言葉で説明したり、いろいろな資料を読み解いて発見したことについて発表したり議論したりするような授業もあります。

二つ目は、グループ学習などで、いろいろな人の考えを聞き、新たな発見をしたり、自分の思考を深めたりする学び方です。
自分とほかの人の考えは何が同じで何が違うのか、自分と異なる考えに気付くことは、社会で多様な人とコミュニケーションする際にも重要なことです。

まとめ & 実践 TIPS

これからの社会を生き抜くお子さまにとって、思考力は、高校の授業、大学入試だけではなく、大学、社会で活躍するために生涯必要な力です。

お子さまはこれからの高校生活で問題を発見し、解決方法を考える探究的な学びや、いろいろな考えを聞き自分の考えを広げ深めるグループ学習を通して、思考力をはぐくんでいくと思います。
新課程によって、社会と学校教育のつながりがより強くなったといえます。
保護者のかたからもお仕事のことや社会のことについて話をする機会をつくってみてください。

プロフィール

長谷川 康代(はせがわ やすよ)

ベネッセ文教総研 研究員。株式会社ベネッセコーポレーションで、妊産婦・育児雑誌の編集、乳幼児、小学校、中学校、高校、大学対象の教材開発に携わる。
2012年より全国の高校の先生方、有識者の先生方と、「これからの社会で活躍するために必要な力」の育成・評価に関する研究を行っている。
2015〜17年度、文部科学省より委託を受けた多様な学習成果の評価に関する調査研究の研究代表をつとめた。2021年度より現職。

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