地域における薬科大学の新たな役割 附属薬局で展開する健康サポートとは?

  • 進路・職業

現在、薬局には従来の処方箋に基づく調剤にとどまらず、地域医療の拠点としての役割が求められるようになっています。「地域医療を担える知識や資質を備えた薬剤師の養成」をめざす明治薬科大学は、地域医療への貢献の場であり、学生の臨床教育の場でもある附属薬局を運営しています。
地域における薬科大学としての在り方を先導する明治薬科大学の活動を通じ、新しい時代の「薬局」「薬剤師」の役割と、その活用法を紹介します。

この記事のポイント

地域の健康サポート薬局として、多様な活動を展開

少子高齢化が進む中、医療スタッフの連携のもとで患者さんが自宅で医療を受けられる「地域包括ケアシステム」の構築が急務となっています。その一翼を担う「かかりつけ薬剤師」は、薬による治療をはじめとしたさまざまな相談に応えることができる薬剤師であり、そうした相談への対応機能において厚生労働省が告示する基準に適合する薬局を「健康サポート薬局」といいます。

明治薬科大学附属薬局は、健康サポート薬局として地域医療の拠点となり、保険調剤にとどまらず、薬の服用や食事・栄養、介護などと関わる健康相談を行うほか、薬科大学の附属薬局としての特長を生かしたサポートを展開。専門の機器を使った骨密度やコレステロールの測定、最新の研究に基づいた健康情報を紹介する市民講座の開講など、セルフメディケーションの推進や情報発信にも力を入れています。

地域での交流により、薬局・薬剤師をより身近な存在へ

明治薬科大学附属薬局の活動は、薬局内での健康サポートにとどまりません。同薬局の管理薬剤師・中島正登氏は、「これからの薬局薬剤師は、もっと薬局の外に出て活動すべき」といいます。実際に明治薬科大学附属薬局では、
・訪問看護ステーションと連携して在宅医療を支援する
・老人ホームや団地を訪問し健康相談やヘルスチェックの窓口を設置する
・介護の日に合わせ、ショッピングモールで健康に関する講演を行う
といった取り組みを実施。また同薬局は2021年8月から導入された、特定の機能を有する保険薬局の認定制度である「地域連携薬局」に、東京都から認定されました。これにより、高齢者も含め、さまざまな療養環境にある患者さんへの調剤・服薬指導・在宅訪問などを行うほか、医療機関・他薬局・介護施設などと患者さんの状況を情報共有し、地域包括ケアシステムにおけるネットワークのハブのような役割を果たそうとしています。

「地域の人々と触れ合う中で、私たち薬剤師にできることは、たくさんあると感じます。薬や健康について専門家に相談したいというニーズは確かに高いのですが、まだまだ薬局でそうした相談が気軽にできると認識されていない現状があります。ですから、薬剤師が薬局という箱の中でただ患者さんを待っているのではなく、外に出て自ら地域に溶け込むことで、薬局や薬剤師の活用の仕方を知ってもらうことが大事だと思っています。薬剤師を身近に感じていただくという点でも、その意義は大きい。また在宅医療の包括的な支援を推進するために、〈薬剤師ができること〉を介護関係者に知っていただき連携を深めるというメリットもあると感じています」。

大学の教育研究、地域への貢献が相互作用するモデルを実現

こうした包括的な地域医療や健康サポート活動を展開する明治薬科大学附属薬局は、薬剤師をめざす学生の貴重な教育や実習の場にもなっています。

実習期間中には、薬局業務の実習以外にも、イベントのサポートなど、地域コミュニティに参加するさまざまな課外活動も行っており、学生からも「薬局内外でのさまざまな活動にチャレンジすることによって、患者さんの気持ちや地域のニーズを肌で感じることができた」といった声をよく耳にすると、中島氏はいいます。

さらに、「臨床研究を推進する上で、薬科大学が地域のニーズに触れる場を持つことはとても重要」と、最後に指摘しました。

明治薬科大学附属薬局は、専門的な知見を地域に還元するだけではなく、地域の現状やニーズをキャッチアップすることによって、大学の臨床研究や、より実践的な学生の学びに貢献しています。このような相互作用が生まれる構図は、地域の一員としての役割が大学に求められる今の時代において、医療系大学が地域で真価を発揮する一つのモデルケースといえます。

まとめ & 実践 TIPS

明治薬科大学附属薬局のような「健康サポート薬局」「地域連携薬局」は、処方箋を携えて薬を受け取る用事がなくても、健康維持や在宅医療のことなど、生活に密着した相談ができる「頼れる機関」になっています。日常的に服用している薬に関することはもちろん、市販薬や健康食品、介護用品のことなど何でも相談できます。たとえ持病がなくても、疾病の予防や健康管理のためにいつでも相談できる窓口があるのは心強いもの。「どこに相談したらいいか…」と悩むことがあれば、薬局を利用してみてはいかがでしょうか。

明治薬科大学
https://www.my-pharm.ac.jp/

明治薬科大学附属薬局
https://www.my-pharm.ac.jp/outsite/fuyaku.html

プロフィール



お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

  • 進路・職業

子育て・教育Q&A