【理科①・②】2022年1月大学入学共通テストを徹底解説 今後の対策のカギは、情報を『読み解く力』と『整理する力』
先日、2年目の「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト) が実施されました。「理科①・理科②」について、どのような問題が出されたのか、昨年度からどのように変わったのかなどの分析と次年度以降の共通テストに向けた対策をお伝えしていきます。
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昨年度以上に、情報を読み取り整理する力が求められた
まずは、理科①・②の共通の傾向についてお伝えします。
昨年度同様に、知識そのものを問う問題だけでなく、資料の読み取りや実験結果の考察をさせる問題が出されました。昨年度に比べ、全体的に与えられる資料が多くなったため、解答に必要な情報を読み取り整理する力がより重要となりました。以下で、科目ごとに紹介していきます。
理科①(物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎)の分析
【物理基礎】1つの仮説を3種類の実験から考察させる問題が目新しい
スプーンが純金製かを判別するために、金属の比熱、密度、抵抗率の3つの物理的な性質から、検証・考察する問題が出されました。1つの題材について、3つの分野から出題されるのは、目新しく、会話形式の出題のため、状況を正しく理解し、解答する必要がありました。
【化学基礎】基本的な理解を問う問題を中心に、実験考察問題も出題
第1問は、昨年度の共通テストや過去のセンター試験と同様の小問集合形式で、化学基礎の範囲から幅広く出題されました。第2問は、エタノール水溶液の蒸留を題材として、エタノールの性質と実験に関する問題が出題されました。問題文やグラフを正確に読み解いて、実験操作や実験結果を考察する力が求められました。
【生物基礎】図・グラフを読み取り、知識を活用して判断する力が問われた
昨年度に引き続き、知識そのものを問う問題は減少し、見慣れない図やグラフについて、知識をふまえて解釈したり計算したりする必要がある問題が出題されました。リード文や設問文などの情報をすばやく整理し、知識を活用して論理的に判断する力が求められました。
【地学基礎】複数の図と文章を読み解く問題
初見の図の読み取りは従来のセンター試験でもありましたが、共通テストでは複数の図や問題文の読み取りが必要とされる問題が増えました。また、ハザードマップを作成する方法の是非を問うという、探究活動を意識した問題もありました。その一方で、教科書レベルの基礎知識で解けるような問題もありました。
理科②(物理・化学・生物・地学)の分析
【物理】実験結果から仮説の誤りの根拠を考察させる問題が目新しい
これまで同様に、物理の基礎知識を問う出題があった一方、これまでには見られなかった、実験の条件についての問題や実験結果から仮説の誤りを示す根拠を考察させる問題が出されました。このような問題は今後も出題されると思われ、実験の目的や結果を考察する力が求められます。
【化学】読解が必要な素材が多く扱われ、思考力や計算力を問う出題
昨年度に続き、見慣れない実験や反応をテーマにした問題や、グラフや図・表から必要な情報を読み取って判断するような、読解力や思考力を要する問題が多く出題されました。また、複数のステップで考える計算問題や、数値そのものをマークする形式の小問が2問出題されるなど、計算処理力も求められました。
【生物】分野融合問題が多く出題され、複数の情報を処理する⼒が求められた
昨年度に引き続き、複数の大問で分野融合問題が出題されました。全大問で実験や図表などから情報を読み取る必要のある問題がみられ、データを処理する力が求められました。1つのテーマについて、複数の観点で問われるため、生物の幅広い知識を活用する力が求められました。
【地学】探究活動を素材として、標準的な知識を問う問題
第1問は、「20世紀初頭の地学的発見」に関連して幅広い知識が問われました。探究活動を素材にした問題も多く、2020年に地質時代区分として命名された「チバニアン」にふれた問題もありました。題材は目新しいものの、問題自体は標準的な知識を問う問題が多い構成でした。
次年度以降に向けてどのような対策が必要か?
まず、基本的な知識が必要であることが前提になりますので、教科書を正しく理解して、典型的な問題が解けるようになることを優先させましょう。そのなかで、学校の授業で実験や探究活動があるときに、目的から実験の条件を考えたり、実験結果を正しく解釈したり、複数の資料から考えられることを他者に伝えたりなど、主体的に参加するようにしましょう。
- ・まずは基本的な知識を身につけること
- ・実験や探究活動に主体的に参加すること
まとめ & 実践 TIPS
「読解力」や「思考力」は普段の生活の中で身につけることができます。いつも当たり前だと思っていることに、「なぜ」「どうして」と疑問に持ち、それに関して調べて考えることが、いずれ「読解力」「思考力」となっていきます。ですので、学校での活動に積極的に参加して、主体的に活動してほしいと思います。
株式会社プランディット 編集事業部 理科課
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの理科の教材編集を担当。
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