大学について、知らない? 知ってるつもり?~志望大選択で保護者に何ができるか~

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大学進学を希望する高校生にとって、1、2年生のうちに具体的に志望大を描けているかどうかは、学習の動機づけの面でとても大切です。
しかし実際は1、2年生のうちはまだエンジンがかかっておらず、志望大が決まっていない高校生も多いものです。

志望大についてアドバイスをし、奮起を促したいと思っても、地域がある程度限られる中学入試や高校入試と違って大学は全国にあります。
大学の状況を理解するのは大変ですし、保護者の皆さんの世代のころとはずいぶん状況が変わっています。アドバイスをするのもなかなか難しいものです。
どのようにすればよいでしょうか。

この記事のポイント

「大学」の前に「学問/学部・学科」を!

志望「大」選択といっても、一般に高校では「自分が何に興味があるか、どのような職業や学問に身を投じたいか」ということから考えるように指導されます。

つまり、学部・学科(学問)を先に選び、その学部・学科がある(その学問が学べる)大学をピックアップして、その中から複数の志望大を想定していくのが原則です。そして最後にその中から受験する大学を決めていきます。

まずはお子さま自身の考えを聞くことから始めましょう。保護者のかたに話をしていないだけで、学校では志望学部や志望大の意思表明を既に行っているかもしれません。

その際、大学のイメージやブランドではなく、やりたいことや学べることにこだわって考えられているかということを押さえておいてください。
いわゆる「大学のブランド」、つまり、大学名でその人物が評価される、という傾向はかなり薄れつつあります。
「大学で何を学び、何を身に付けたのか」ということを就職面接で問う企業も増えています。まず「何を学ぶのか」を中心に据えて進学先を考えはじめることが大切です。

学部・学科については、ここ最近企業でも重視されるようになった「データサイエンス」学部や、さまざまな学問を複合して「地域」にフォーカスした地域○○学部など、保護者の皆さんの世代では存在しなかった学部が増えています。

大学は社会と直接つながる教育機関として、社会の状況に合わせて変化しています。以前は「つぶしが効く法学部か経済学部」のようなことがいわれていましたが、現在の社会状況で引く手あまたなのはIT系やデータサイエンス系の人材です。保護者のかたの過去の価値観でお子さまに話をしないようにお気を付けください。

志望大選択で保護者にしかできないこと

大学受験は本人が自分自身の人生を選び取っていくプロセスであり、将来訪れる岐路においてもよりよい選択ができるようになるためのトレーニングでもあります。本人が自ら動き、考えることに意味があります。

その志望大選択において保護者にしかできないことがあります。それは、国立・公立・私立の選択、自宅から通学してほしいのか自宅外通学可能なのかなどの経済的な条件の提示です。このことはできるだけ早いうちからお子さまと話をしておきましょう。(国や大学、民間の奨学金や授業料減免などの制度もありますので、必要に応じて別の記事やサイトをご参照ください。)

高校によりますが、1、2年生の夏休み前後や12月ごろに進路をテーマにした三者面談が実施されます。三者面談の案内があったら、それを機にお子さまと志望に関する話をして、面談に臨んでいただけたらと思います。

一方でお子さまから志望について相談され、何らか答えてあげたいと思われることもあるでしょう。その際には、自分の経験に基づいてアドバイスをするというよりも、大学の状況をお子さまと一緒に調べる機会を作ってみてください。時代は変わっています。また、会話を通じてお子さま自身の考えを深めることにつながります。

大学調べの観点と方法

では、大学をどのような観点で調べたらよいでしょうか。

(1)大学調べのサイトの利用

ここでは、弊社の「マナビジョン」を使ってご紹介します。

>>関連:「マナビジョン」を見てみる

学問について知りたい場合は上部のメニューの「職業・学問を調べる」のアイコンをクリック。学部系統ごとの概要の説明を入り口に、その学問が学べる大学の検索をしてみましょう。

また、国公私立の別、地域などの条件から検索する場合は「大学を調べる」のアイコンをクリックして、条件を入力していきましょう。

学校で弊社のテストを受験していれば、結果の偏差値やGTZ(*)を入力して、合格可能性についても考えてみましょう。大学の偏差値は、大学偏差値一覧を参考にしてください。

>>関連:大学偏差値一覧をみてみる

*GTZ:「学習到達ゾーン」という、ベネッセが設定している基準です。S1~D3まであり、S1が最も偏差値が高いゾーン、D3が最も偏差値が低いゾーンになります。

たくさんの大学が検索結果に出てきたときには、大学を4つまで並べて一覧比較することもできます。

(2)大学の状況のトレンドを知る

弊社のグループ会社進研アドが提供している「Between情報サイト」では、大学の教育改革や入試改革のトレンドを知ることができます。

大学関係者向けのサイトですので専門的なお話や用語が多くなっていますが、記事タイトルをながめてみるだけでもどのような方向に大学が変わっていっているのかがうかがえます。興味があるものがあれば開いて読んでみましょう。

>>関連:「Between情報サイト」を見てみる

また、大学のホームページでは、受験生の保護者向けのページを作って、どのような教育を行っているのかなどをわかりやすく紹介しているところもあります。気になる大学があれば、ホームページを見てみましょう。

(3)多面的に見る

前に述べたとおり、「大学で何を学び、何を身に付けたのか」が問われる時代です。大学の教育内容もとても重要な大学選択の観点です。

THE世界大学ランキング日本版」では、学部ごとではなく大学全体ではありますが、「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4つの観点でランキングが示されています。偏差値ランキングでは見えない大学の価値が見えてくることと思います。

>>関連:「THE世界大学ランキング日本語版」を見てみる

まとめ & 実践 TIPS

最も大切なのは、今後長きにわたってお子さまが成長し続けられることです。

高校時代の努力を引き出し、入学後も社会で求められる力を付けてくれるような志望大に出合えるよう、高校生にはいろいろな大学の情報に触れてもらいたいと思います。保護者の皆さんもぜひ応援して差し上げてください。

ただ、多感な高校時代ですので、保護者のかたから「ここはどう?」「あそこはどう?」と言われることがかえってモチベーションを下げる可能性もあります。好機は三者面談前、アドバイスではなく一緒に調べる姿勢で、ということを心がけましょう。

プロフィール


西島 一博(にしじま かずひろ)

ベネッセ文教総研所長。株式会社ベネッセコーポレーションで、高校、中学校、小学校対象のさまざまな教材開発に携わる。2016年度より高校用教材・生徒手帳などの制作・販売を行うグループ会社、株式会社ラーンズの代表取締役社長を務め、2021年度より現職。ベネッセ文教総研では、主として中高接続、高校教育、高大接続の領域での研究、情報発信を行っている。

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