11月四模試から分析する2022年度入試の志望者動向・倍率直前予測(女子編)

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中学入試もいよいよ本番直前となりました。森上教育研究所では、11月に実施された四模試(四谷大塚、日能研、SAPIX、首都圏模試)で、昨年から志望者数を大きく伸ばした学校と減少した学校を分析しました。この分析結果と昨年度入試の実倍率に基づき、2022年度入試の倍率予想についてお伝えします。今回は女子の動向です。

難関校志望者が減少する一方で、共学校、中堅女子校が人気に

どの地域でも受験者数は増加、安全志向はより強まる

女子については、どの地域においても受験者数は増加傾向にあり、これは2022年度の特徴のひとつといえます。学校種別で見て志望者が増加しているのは男子と同様共学校で、難関女子校の志望者数は減少し避けられる傾向にあります。ただし偏差値50前後の比較的受けやすい中堅女子校の志望者は、どこも増加傾向にあります。

これは中堅女子校の倍率が比較的低く抑えられているため、より安全に合格を勝ち取れる学校を選ぼうという受験者の安全志向が表れているといえます。こうした傾向は昨年に引き続き今年も強まる傾向にあると考えられます。

2月1日は難関女子校の倍率は低下し、共学校、中堅女子校が人気

2月1日に入試を行う学校で見ると、全体の傾向を反映し難関校は志望者数を減らしているところがほとんどです。特に桜蔭は四模試の志望者数を1割程度減らし、入試の倍率は昨年の1.98倍から1.77倍に下がると考えられます。同様に、鷗友学園は2.37倍から2.03倍へ、立教女学院は2.38倍から1.98倍へ、東洋英和女学院は2.24倍から1.83倍へとそれぞれ倍率が下がりそうです。

いずれも2倍を切りそうな倍率となっており、難関であることは変わりありませんが非常に受けやすい倍率となっています。難しいところは避けようとする受験者が多いということでしょう。

一方で志望者が増加しているのは、広尾学園小石川、三田国際、青稜といった共学校です。広尾学園小石川は昨年の2.18倍から4.75倍へ、三田国際は3.50倍から5.64倍へ、青稜は3.09倍から4.55倍へと大幅に倍率が高まると予想しています。

また、女子の場合、中堅女子校の人気も高く、たとえば実践女子学園は1.98倍から7.03倍、山脇学園は3.87倍から5.11倍とこれらも高い倍率になりそうです。ただし、志望者数の増加から非常に高い倍率を予想していますが、実際は学校側が倍率に大きな変化がないよう多くの合格者を出す傾向がありますから、若干難度は上がりますが大幅に難しくなるとは考えにくいでしょう。

2月2日も難関校は低倍率、付属校人気も一段落へ

2月2日午前に入試を行う学校は、一部の人気校を除いて倍率は低めの傾向にありますが、2022年度もその傾向は続き、おおむね落ち着いた倍率となりそうです。たとえば白百合学園、共立女子は志望者数を減らし、白百合学園は2.35倍から2.11倍へ、共立女子が2.49倍から2.02倍へと倍率を下げそうです。

また、昨年大変な人気となった昭和女子大昭和は倍率が高くなりすぎた反動で志望者が減り、昨年の6.83倍から5.51倍へと倍率を下げると考えられます。人気が続いていた付属校ですが、青山学院中等部が6.07倍から5.40倍へと倍率をやや下げるのを筆頭に、人気はやや落ち着きを取り戻しそうです。

そして人気が高まるのがやはり共学校と中堅女子校です。共学校では渋谷教育渋谷が3.88倍から5.14倍へ、青稜は4.41倍から5.72倍へと倍率が上がると見られます。女子校では、三輪田学園が1.90倍から2.30倍へ、恵泉女学園が2.39倍から2.83倍へ、富士見が2.49倍から2.81倍へ、跡見学園が2.96倍から3.39倍へと倍率を上げそうです。

午後入試は倍率が高まる傾向、1月入試は抑え気味ながら人気校の倍率はアップ

午後入試は大幅に倍率が高まる学校も

午後入試を行う学校については、男子は志望者が減少する学校が目立ちましたが、女子は志望者が増加する学校も多くなっています。たとえば、湘南白百合学園の算数一科入試は志望者が倍増し、昨年の1.30倍から2.68倍に倍率が跳ね上がると見られています。

他にも広尾学園小石川は1.37倍から1.90倍、品川女子学院の算数一科入試は2.08倍から2.41倍、広尾学園インターは3.27倍から3.62倍とそれぞれ倍率が高まる学校が多くなっているので注意が必要です。

1月入試の埼玉、千葉は出願は抑え気味ながら一部人気が高まる学校も

1月に入試が行われる埼玉、千葉については、コロナの影響もあり難関校を中心に志望者数があまり増えず慎重な出願傾向と見られます。ただし、女子の場合は志望者が増える学校も多くなっています。埼玉の学校では、栄東や大宮開成といった進学校に加え、大妻嵐山なども受験者数が増えそうです。ただし倍率が上がっても2倍前後ですので受けやすさは変わりありません。昨年人気となった青山学院浦和ルーテルは、昨年の4.10倍から2.44倍に倍率が下がり、人気は落ち着きそうです。

千葉の学校では、付属校の東海大浦安は1.64倍から2.75倍、千葉日大第一は1.77倍から2.32倍へと倍率がかなり上がってきそうです。さらに中堅校の麗澤、光英ヴェリタス、昭和学院なども3倍から5倍と高い倍率となっており、第1志望として考えている場合は男子同様厳しい競争となるでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

女子はどの地域においても受験者数は増加傾向にあり、特に共学校、偏差値50前後の比較的受けやすい中堅女子校で増加傾向です。一方難関女子校の志望者数は減少し避けられる傾向にあり、受験者の安全志向が今年も強まる傾向にあります。中堅女子校の人気は高まっていますが、合格者を多く出すことで実際に大幅に難しくなるとは考えにくいでしょう。午後に行われる入試は一部倍率が高まる学校もあり、1月に入試が行われる埼玉・千葉の学校も、全体に志望者数は減少傾向にあるものの人気が高まる学校があることには注意も必要です。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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