11月四模試から分析する2022年度入試の志望者動向・倍率直前予測(男子編)

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中学入試もいよいよ本番直前となりました。森上教育研究所では、11月に実施された四模試(四谷大塚、日能研、SAPIX、首都圏模試)で、昨年から志望者数を大きく伸ばした学校と減少した学校を分析しました。この分析結果と昨年度入試の実倍率に基づき、2022年度入試の倍率予想についてお伝えします。今回は男子の動向です。

難関校は志望者数の減少傾向が続く一方で、共学校人気が顕著に

難しい学校を避ける傾向は今年も継続

11月の四模試も、4月〜10月までの模擬試験と同様に受験者数は増加傾向です。学校種別で見て特に志望者数が増加しているのは、共学校で、どの地域においても増加しています。

学校ランク別で見ると偏差値50前後の中堅校が志望者数を伸ばし、偏差値60以上の難関校については志望者を減らす傾向が継続しています。特に東京、神奈川の難関男子校で志望者数の減少傾向が顕著で、昨年に引き続き、難しい学校は避けようという心理が働いていると考えられます。

2月1日は難関校の志望者が減少する一方で中堅男子校、共学校が人気

2月1日に入試を行う学校で見ると、全体の状況を反映して難関校はほとんどの学校が志望者数を減らしています。たとえば駒場東邦の入試倍率は昨年の2.19倍から1.75倍に下がると考えられます。同様に桐朋は2.49倍から1.92倍へ、早稲田も2.71倍から2.47倍に倍率が下がりそうです。

逆に志望者数を増やしている男子校は、中堅校の獨協、日大豊山です。両校とも昨年度は人気が高まり倍率が上がりましたが、2022年度もその傾向は続きさらに倍率が上がりそうです。共学校では多くの学校で志望者が増えており、昨年も人気のあった広尾学園小石川は3.88倍、成城学園は4.02倍、山手学院は3.72倍、関東学院は2.68倍へと倍率が上がり、難関校の渋谷教育渋谷も2.77倍から3.80倍へと倍率が高まりそうです。

これまで男子の共学校志願者はずっと減り続けており、人気の進学先ではありませんでしたが、増加へと転じている点が今年の大きな特徴といえます。この復調の理由としては、教育内容や進学実績への評価の高まりがあると思われます。

2月2日は受けやすい傾向がさらに強まる

2月2日に入試を行う学校は、これまで比較的倍率が低く受けやすい状況が続いていましたが、この傾向は2022年度も続きそうです。桐朋は1.85倍から1.64倍、世田谷学園は1.91倍から1.63倍、栄光学園は3.06倍から2.61倍、巣鴨が2.78倍から2.14倍へとそれぞれ倍率を下げ、難関校でありながら受けやすい状況になっています。

2月2日は付属校も多いのですが、学習院中等科は2.78倍から2.26倍、青山学院中等部は2.99倍から2.66倍へと倍率が下がっています。2月2日は、獨協、青稜、聖学院、日大第一など中堅校、中位校の人気校を除けば多くの学校が志望者数を減らし、受けやすい傾向が続くでしょう。

午後入試、1月入試は志望者数減少へ、併願は抑え気味

午後入試は昨年に続き志望者数の減少傾向へ

昨年は多くの学校を併願せず受験校数を絞る傾向が見られましたが、今年もその傾向は続き、午後入試の志望者数を減らす学校も見られます。たとえば2月1日午後入試の青稜は3.51倍から2.95倍へ、巣鴨の算数一科入試は2.58倍から2.16倍へとそれぞれ倍率を落とし若干受けやすくなります。

ただし同じく2月1日午後に入試が行われる共学の人気校については倍率が高まりそうです。関東学院は1.96倍から3.17倍、広尾学園小石川は1.47倍から2.12倍のように人気の共学校については受験者が増えると考えられますので注意が必要です。

1月入試の埼玉、千葉は慎重な出願傾向に

1月に入試が行われる埼玉、千葉については、やはりコロナの影響を気にされているかたも多いのか、全体的に難関校を中心に志望者数があまり増えず、慎重な出願傾向が続くと見られます。埼玉の学校を個別に見ていくと、昨年大変な人気となった青山学院浦和ルーテルは倍率が高くなりすぎたせいか、昨年の5.00倍から3.03倍まで倍率が下がり、大幅に受験者が減りそうです。一方、栄東や大宮開成といった受験生の多い進学校はさらに受験者数が増えそうですが、元々それほど倍率が高くありませんので受けやすさは変わりないでしょう。

千葉の学校では、東海大浦安、千葉日大第一といった付属校人気は継続し、それぞれ2倍弱の倍率をキープすると考えられます。さらに二松学舎大附属柏、昭和学院については3倍前後まで倍率が高まりそうです。千葉に関しては、倍率が厳しくなる中堅校がいくつかあり、そうした学校を第1志望で考えているかたは、競争が厳しくなってきていることを念頭に最後の追い込み学習を行う必要があるでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

共学校はどの地域でも志望者が増加し、学校ランク別では偏差値50前後の中堅校が志望者数を伸ばしています。一方で偏差値60以上の難関校については志望者は減少傾向が継続し、特に東京、神奈川の難関男子校で減少傾向が顕著です。1月に入試が行われる埼玉・千葉の学校、午後に行われる入試の志望者数は一部を除いて全体に減少傾向にあり、併願は抑え気味となる傾向となりそうです。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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