【時事問題】世界遺産登録・日本の自然災害【2022年度入試対策】

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北海道・北東北の縄文遺跡群、そして奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界遺産に登録されました。どちらも自然の豊かさが大きな特徴となっています。しかし、自然はときに災害をもたらします。自然がもつ人々への影響を理解しておきましょう。

この記事のポイント

北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録

2021年、2つの世界遺産が登録されました。北のほうでは北海道・北東北の縄文遺跡群、南のほうでは、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島です。

北海道・北東北の縄文遺跡群とは

北海道・北東北の縄文遺跡群は、どのような点が評価されたのでしょうか?

世界史的には人々が定住生活を送るようになるのは農業や牧畜が始まってからです。ところが、日本の縄文時代では、狩猟・漁労・採集といった段階でありながら定住生活を行っていたということを示す遺跡があります。この点が大変評価されました

では、定住生活をしていたことを裏付けているものにどのようなものがあるのでしょうか?3つあります。

【縄文時代の定住生活を裏付けるもの3つ】

  • 1.貝塚の存在
  • 2.土器の製作
  • 3.竪穴住居の柱が太い

貝塚が存在したということは、長い間その近くで人々が暮らしていたことを示します。

土器の製作については、土器を持ち歩いての移住生活は考えにくいため、定住の根拠の1つといってよいでしょう。

竪穴住居の柱が大変太いということについては、移住生活であれば柱は必要ないか、あっても細いものです。この遺跡群の竪穴住居の柱が非常に太いことから、定住生活をしていたということが考えられます。

青森県の三内丸山遺跡

北海道・北東北の縄文遺跡群は17の遺跡から構成されています。その中で特に有名なのが、青森県にある「三内丸山遺跡」です。小学校の歴史の教科書に必ず登場します。

【三内丸山遺跡の特徴】

  • ・約1500年間、最も多いときで500人くらいの人たちが定住していた。
  • ・いろいろな所と交易(物々交換)をしていた。

三内丸山遺跡からは、北海道産の黒曜石で作られた石鏃(せきぞく)、つまりやじりが数多く出土しています。これにより、津軽海峡を越えて北海道から青森、あるいは青森から北海道に行き来が行われていたということが考えられます。

ちなみに、黒曜石は大変鋭利です。黒曜石の破片を使って、弓矢の先につけるやじりを作ったり、ナイフのように使われたりしたようです。

実際に持ってきた黒曜石の破片で紙を切ってみましょう。普通の石では紙を切ることはできません。破けてしまうと思います。でも、この黒曜石なら紙を切ることができます。長いひげなども、黒曜石の鋭い所にあてて切っていたかもしれませんね。

なぜ1500年もの間、定住生活ができたのか

三内丸山遺跡で1500年もの間、なぜ人々が定住生活をすることができたのでしょうか?

それは、東北地方の北部に木の実などがとても豊富にあったからです。木の実を求めてイノシシや鹿といった中小の動物もたくさんいました。森にはどんぐり、ヤマブドウも。川にはサケやマスもたくさん上ってきます。

東北地方は大変自然に恵まれていて、安定的に食料を確保できたのです。そのため、早い段階から定住生活を送ることが可能でした。

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録

南のほうでは奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が、世界自然遺産に登録されました。

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の特徴

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が評価されたのは、生物の多様性が非常に高いからです。

この4つの島の面積は日本の国土面積の約0.5%にすぎません。ところが、そこに日本国内の生物の約23%が生息しているのです。

有名な固有種はアマミノクロウサギやイリオモテヤマネコなど

この4島に関連して特に有名な生物は、奄美大島と徳之島にしかいない「アマミノクロウサギ」です。

また、西表島には「イリオモテヤマネコ」がいます。日本では、この西表島のイリオモテヤマネコと対馬のツシマヤマネコしかヤマネコはいません。

沖縄島には、飛べない鳥「ヤンバルクイナ」なども見られます。

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島には、その土地にしか見られない固有種とか、あるいは大変数が少なくなった絶滅寸前の動物たちが数多くいます。

生物多様性を守るための3つの条約

さきほど北海道・北東北の縄文遺跡群は非常に自然に恵まれていたというお話をしましたが、南の奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島も、動物たちにとって非常に恵まれた環境にあったわけです。

両方とも共通しているのは、とても生物の多様性に富んでいたことかと思います。

そうした多様性を守るための3つの条約があります。ぜひ、この3つの条約を頭に入れておいてください。

【生物多様性を守るための3つの条約】

条約名 内容
ラムサール条約 渡り鳥など、水鳥にとって大事な湿地を保護する条約。ラムサールはイランにある(地図上で確認を)。
ワシントン条約 絶滅危惧種を保護するための条約。
生物多様性条約 生物の多様性を守るための条約。

日本は自然災害が多い国

世界遺産の話のなかで、非常に自然に恵まれているというお話をしました。確かに、自然は私たちに数多くの恵みをもたらしてくれます。ところが、その一方で、数多くの災害をもたらすこともあります。

東日本大震災とその影響

ちょうど10年前、2011年3月11日に、東日本大震災が発生し、数多くの人が亡くなりました。

今でも自分の住んでいたところに帰れないという人々がいます。特に福島ですね。福島の原子力発電所が爆発事故を起こして、依然として高い濃度の放射線があるために、帰れなくなっています。

重要な気象関係の用語「線状降水帯」「フェーン現象」

いろいろな自然災害が起こっていますが、これに関連して特に重要な気象関係の言葉を紹介しておきましょう。

その1つが「線状降水帯」です。大雨を降らせる積乱雲が次々と発生し、特定の場所に長時間にわたって雨を降らせます。線状降水帯という言葉は、正確に漢字で書けるようにしておいてください。

ほかに、「フェーン現象」という言葉も重要です。

日本で多数発生する自然災害

2021年7月には、静岡県熱海市で大雨による土砂災害が発生。約20人のかたがお亡くなりになりました。※

こうした大雨だけでなく、地震や火山活動なども含め、日本は非常に自然災害が多い国なんですね。

※11月末現在では26人

なぜ日本は災害が多いのか?

日本の国土面積は、世界の陸地の何%くらいあると思いますか? 答えは、約0.25%です。

その約0.25%のところに、世界にある15枚程度のプレートのうち4枚が集中しています。これが1つの原因となり、日本では地震や火山が多くなっています。活動中の火山(活火山)は世界に約1,500、日本には111ありますから、世界の活火山の約7%が日本列島に集中しているわけですね。

地震のエネルギーの強さを示す言葉に「マグニチュード」があります。マグニチュード6以上は大きな地震。世界で起こるマグニチュード6以上の地震の約20%が、日本及びその周辺で起こっています。

さらに日本列島には、世界で運転中の原子力発電所のうち約10%が集中しています。※

世界の陸地の約0.25%である日本に、このようにいろいろなものが集中しているということですね。まさに日本は災害列島であると言っても、言い過ぎではないでしょう。

※世界の運転中原子力発電所は434基、日本は33基なので33÷434=0.0760。少数第2位を四捨五入して約10%

まとめ & 実践 TIPS

日本の豊かな自然は、人々の暮らしや生物の多様性に大きな影響を与えてきました。

今回世界遺産に登録となった北海道・北東北の縄文遺跡群や、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島については、登録にあたって評価されたポイント、奄美大島や徳之島、沖縄島、西表島に生息する固有種や絶滅が危惧されている種などを押さえましょう。生物の多様性に関係する3つの条約もぜひ覚えてください。

一方で、自然は私たちの生活にとって脅威となることもあります。「線状降水帯」や「フェーン現象」といった気象関係の言葉を押さえるとともに、なぜ日本には地震や活火山が多いのかも見ておきましょう。

プロフィール


早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学地域連携センター講師。主な著書に『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』『地図っておもしろい!』(監修・執筆)ほか多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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