「算数1教科入試」を午後入試に導入する学校が増加 どんな受験生をターゲットにしている? 2021年度入試結果【東京/神奈川 中学受験】

近年導入が進み注目が集まっている算数1教科入試。2021年度入試ではどの程度の受験者を集めたのか、どのような受験生をターゲットとした入試なのかについて、森上教育研究所がお伝えします。

受験者数の増減はありつつも、神奈川以外は倍率は高めで推移する学校が多数

近年、私立中学入試では午後入試に算数のみで受験できる1教科入試を導入する学校が増えてきています。そうした算数1教科入試にどの程度受験者が集まっているのか、代表的な学校の2021年の受験者動向を、まずお伝えします。

埼玉では栄東が1月16日に行った算数1教科入試で多くの受験者を集めました。昨年に比べると1割程度受験者は減ったものの、男子は4.30倍、女子は3.23倍の高倍率となり、かなり難しい入試と言えます。千葉では1月20日午後の昭和学院の算数1教科入試が男女とも受験者数を約4倍に増やす人気となり、男子は2.35倍、女子は2.68倍と倍率も高まっています。

東京の男子校では2月1日午後に実施される巣鴨と世田谷学園の算数1教科入試が有名ですが、巣鴨は昨年より約15%、世田谷学園は約20%受験者を減らし、倍率は巣鴨は2.58倍、世田谷学園は1.89倍と昨年に比べ若干緩和されました。それでも人気が高く厳しい入試であることには変わりありません。

東京の女子校では、山脇学園として初めて2月1日午後に算数1教科入試を行ったところ大変な人気を集め、312名が受験し倍率は2.44倍となりました。同じく2月1日午後に行われた田園調布学園の算数1教科入試は、山脇学園の影響を受け昨年に比べて受験者数を約4割減らしましたが、211名が受験し倍率は昨年よりも若干緩和した1.80倍となりました。また、品川女子学院は最も早く女子校で午後入試に算数1教科入試を始めた学校ですが、昨年から約2割減ったものの210名が受験し、倍率は2.08倍と若干緩和しました。他にも富士見が2月2日午後に、十文字が3日午後に行っている算数1教科入試の受験者数を着実に伸ばしています。

神奈川では男子校の鎌倉学園が2月1日午後に算数1教科入試を行いましたが、昨年から受験者数を3割近く減らし、倍率は1.91倍と緩和しています。女子校の湘南白百合学園が2月1日午後に行っている算数1教科入試も、受験者数を約1割減らし倍率が1.59倍に下がっています。神奈川に関しては全体の受験者数が今後も増えないと考えられるため、受けやすい状況が続くと思われます。

以上のように、算数1教科入試は学校によって受験者数の増減はありつつも、全体に受験者が減少傾向の神奈川以外は、倍率は高めで推移する学校が多数であると言えます。

4教科入試対策を基本としつつ、算数が飛び抜けて得意な場合は1教科入試も視野に

算数1教科入試の出題内容はというと、やはり4教科入試に比べると難しく設定されています。学校側も算数だけで合否を決めるわけですから、通常入試よりはハイレベルな出題をして算数が得意なお子さんを取りたいという意図で問題を設定しています。したがって、他の科目はあまり点が取れないけれど算数は飛び抜けて得意であるというお子さんにとっては、強みを生かすことができるよい入試制度と言えます。

ただ、春~夏の間は、算数以外の教科の学力を伸ばす余地は十分にあるでしょう。基本となるのはやはり4教科入試ですから、まずは4教科で満遍なく点数を取れるようになることを目指して学習を続けることをおすすめします。そのうえで、算数が飛び向けて得意な場合、他の教科の点数が中々伸びない場合に、算数1教科入試での受験も視野に入れてハイレベルな問題に取り組み、力を伸ばしていきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

近年、私立中学入試では午後入試に算数のみで受験できる1教科入試を導入する学校が増えてきています。
算数1教科入試の受験者数は、各学校ごとに増減はありますが、神奈川以外はおおむね倍率は高めで推移している学校が多数を占めています。算数1教科入試は算数が得意であるというお子さんを対象としています。
ただ、今の時点では4教科入試を前提とした学習を基本として、算数が飛び向けて得意な場合で、加えて他の教科の点数がなかなか伸びない場合に、1教科入試での受験も視野に入れてハイレベルな問題に取り組み、力を伸ばしていきましょう。

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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