【2021中学入試結果】難関校の傾向や高倍率になった伝統校は? 東京/神奈川(女子校編)

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2021年2月19日に森上教育研究所が主催する「2021年入試 首都圏中学入試の結果と分析」セミナーがオンラインで行われました。セミナーの発表と森上教育研究所の調査結果をもとに今年の中学入試の動向を詳しくお伝えします。今回は女子校の動向です。

上位校、高倍率校が受験者を減らし、比較的入りやすい女子校が人気に

今年の入試ではコロナ禍の影響で全体の受験者が減少することも予想されていましたが、女子については午後入試を中心に受験者数が伸びました。
2月1日、2日に午前午後と合わせて4校受験するというかたもかなり増えており、午後入試の受験は完全にトレンドとして定着したと言えます。
また女子校においても、高倍率の学校を徹底的に避け倍率の低い学校に受験者が集まる傾向が顕著でした。リスクを避けるために難関校を敬遠し、中位以下の比較的入りやすい女子校に人気が集まっています。

特に中位以下の伝統ある女子校が人気を集めた点が今年の最も大きな変化だと言えます。
要因としては、偏差値的に入りやすいレベルであり倍率もそれほど高くないことに加え、過去の中学受験ブームの頃に受験をされたかたが親世代となって、名前の通った伝統校に親しみを感じているということもあると考えられます。また、女子大系列の学校の場合は、学校改革が進んで認知度が高まった結果、人気が高まっているということもあるでしょう。

では入試日別にどのような学校に人気が集まり、どのような学校が受験生を減らしたのか見ていきます。

<2月1日午前>

1日午前入試では、難関校の雙葉、洗足学園、女子学院が受験者を減らした一方で、同じ難関校の桜蔭、フェリス女学院は受験者数を増やしました。
これらの増減を分けたのは、昨年までの倍率です。雙葉、洗足学園、女子学院は3倍前後の高倍率でしたが、桜蔭、フェリス女学院は1倍台にとどまっていました。
中堅校も軒並み受験者数を減らす中で受験者数を大きく増やした鴎友学園女子も、やはり昨年の倍率は2.03倍と他に比べるとやや低めでした。今年の受験者が高倍率を避けてとても慎重な受験をしたということが見てとれます。
吉祥女子は、2月4日の入試をやめて3回入試が2回になり受験機会が減ることでどのような影響が出るか注目されましたが、やや受験生が減り倍率も2.69倍から2.57倍と少し落ち着きました。

神奈川の横浜共立学園、横浜雙葉はほとんど倍率に変化がありませんでしたが、どちらも1倍台後半とどちらもやや低めの倍率です。全体に神奈川の女子校は倍率が低い傾向にあり、よい学校がそろっている中でややもったいない印象です。また、中位以下の女子校は全体に受験者数を大きく伸ばしました。特にスーパーサイエンスコースが新設される昭和女子大学附属昭和、山脇学園、跡見学園といった伝統校は受験者数が増え、倍率も高まっています。

<東京・神奈川 2月1日午前入試 女子校>

学校名 試験名 定員 受験者 合格者 実倍率
2021年度 2020年度 前年差 2021年度 2021年度 2020年度
桜蔭 3年度 235 561 532 29 283 1.98 1.88
女子学院 3年度 240 664 746 -82 274 2.42 2.72
雙葉 3年度 100 357 391 -34 115 3.10 3.31
洗足学園 第1回 80 306 349 -43 91 3.36 3.67
フェリス女学院 3年度 180 414 384 30 200 2.07 1.97
吉祥女子 第1回 134 530 555 -25 206 2.57 2.69
鷗友学園女子 第1回 180 577 484 93 243 2.37 2.03
横浜共立学園 A方式 150 318 329 -11 173 1.84 1.85
横浜雙葉 一般 100 159 163 -4 100 1.59 1.52
山脇学園 A 70 302 221 -219 78 3.87 2.38
昭和女子大学附属昭和 A 40 211 204 7 45 4.69 3.29
跡見学園 一般第1回 70 177 161 16 87 2.03 1.92

<2月1日午後>

1日午後入試においても、山脇学園は854名、跡見学園は272名と非常に多くの受験者を集めました。
特に山脇学園は、多くの学校が採用している算数1教科入試に加え国語の1教科入試も可能ということで人気を呼びました。
この2校に加え、実践女子学園も昨年比で99名受験者を増やし311名と非常に多くの受験者を集めるなど、女子校の午後入試の受験者が大きく増え、全体の受験者数を押し上げています。

<東京・神奈川 2月1日午後入試 女子校>

学校名 試験名 定員 受験者 合格者 実倍率
2021年度 2020年度 前年差 2021年度 2021年度 2020年度
山脇学園 国語1科 40 542 644 -102 162 3.35 2.15
山脇学園 算数1科 20 312 128 2.44
跡見学園 特待第1回 50 272 244 28 136 2.00 1.98
実践女子学園 第2回(午後A) 40 311 212 99 175 1.78 1.07

<2月2日午前>

難関校が敬遠される傾向がある中で、例外となる学校もあります。
2日午前入試では、豊島岡女子学園が毎年約1000名もの受験者を集める入試を行っていますが、来年から高校入試を取りやめるため、今年はより人気が高まり1006名が受験しました。
洗足学園は神奈川の女子校では唯一3倍を超える人気を今年も維持しています。
一方、吉祥女子は入試回数を減らし敬遠されたためか、2回目入試においても昨年比で64名受験者を減らし、倍率2.93倍に落ち着きました。
中位以下の学校では、1日午前入試で人気のあった昭和女子大学附属昭和、山脇学園、跡見学園が2日午前入試においても、多くの受験者を集めています。

<東京・神奈川 2月2日午前入試 女子校>

学校名 試験名 定員 受験者 合格者 実倍率
2021年度 2020年度 前年差 2021年度 2021年度 2020年度
豊島岡女子学園 1回 160 1,006 986 20 410 2.45 2.45
洗足学園 第2回 100 563 592 -29 166 3.39 3.79
吉祥女子 第2回 100 616 680 -64 210 2.93 3.27
山脇学園 B 50 484 319 165 147 3.29 3.07
昭和女子大学附属昭和 B 30 246 290 -44 36 6.83 5.00
跡見学園 一般第2回 60 213 161 52 72 2.96 2.40

<2月2日午後>

2日午後入試では、香蘭女学校が多くの受験者を集めていますが、昨年比で66名減ったものの倍率は4.60倍と高倍率をキープしています。
東京女学館も昨年比で71名受験者が減り、2.43倍となっています。
その一方でカリタス女子は66名も受験者を増やし、150名が受験しました。
中位以下の学校では、山脇学園、実践女子学園がここでも受験者を大幅に増やしています。
さらに富士見は、算数1教科入試の受験者が昨年比で85名も増え、倍率は1.61倍から3.08倍となっています。

<東京・神奈川 2月2日午後入試 女子校>

学校名 試験名 定員 受験者 合格者 実倍率
2021年度 2020年度 前年差 2021年度 2021年度 2020年度
香蘭女学校 第2回 60 561 627 -66 122 4.60 5.75
東京女学館 一般学級第3回 30 243 314 -71 100 2.43 2.78
カリタス女子 一般第3回 30 150 84 66 73 2.05 1.22
実践女子学園 第4回(午後A) 30 175 89 86 70 2.50 1.17
富士見 算数1教科 20 228 143 85 74 3.08 1.61
山脇学園 英語B 10 38 27 11 16 2.38 1.59
山脇学園 探究サイエンス 10 23 32 -9 8 2.88 2.91

<2月3日午前>

1日午前入試で大きく受験者数を伸ばした鴎友学園女子が、3日午前入試においても昨年比84名と大きく受験者数を伸ばしました。
雙葉、女子学院といった難関校を敬遠した受験者の受け入れ先の一部が、鴎友学園女子となり受験者増につながっているとみられます。
豊島岡女子学園も受験者は微減にとどまり、7.24倍と高倍率が続いています。
昭和女子大学附属昭和は、ここでも多くの受験者を集めました。

<東京・神奈川 2月3日午前入試 女子校>

学校名 試験名 定員 受験者 合格者 実倍率
2021年度 2020年度 前年差 2021年度 2021年度 2020年度
豊島岡女子学園 2回 40 514 529 -15 71 7.24 7.25
鷗友学園女子 第2回 40 454 370 84 92 4.93 3.46
横浜共立学園 B方式 30 228 216 12 77 2.96 3.13
学習院女子 一般生B 40 243 258 -15 40 6.08 6.45
東洋英和女学院 B日程 30 266 246 20 61 4.36 4.64
大妻 第3回 40 316 296 20 78 4.05 3.40
日本女子大学附属 第2回 40 195 209 -14 47 4.15 3.07
東京女学館 一般学級第4回 25 137 232 -95 70 1.96 5.80
晃華学園 第3回 25 128 99 29 26 4.92 3.81
富士見 第3回 40 208 177 31 85 2.45 3.05
大妻中野 第4回アドバンスト 25 114 111 3 77 1.48 2.18
昭和女子大学附属昭和 C 20 301 273 28 25 12.04 7.58

まとめ & 実践 TIPS

全体の受験者が減少することも予想される中、女子については午後入試を中心に受験者数が伸びました。午後入試の受験は完全に定着したと言えます。
女子校においても、高倍率の学校を徹底的に避け倍率の低い学校に受験者が集まる傾向が顕著で、難関校を敬遠し、中位以下の比較的入りやすい女子校に受験者が集まりました。特に中位以下の伝統ある女子校が人気を集めた点が今年の最も大きな変化だと言えます。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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