2021年度の大学入学共通テスト 5教科7科目の中で特徴的だったことは? 今後の出題予想と対策も

大学入試センター試験は、2021年1月から大学入学共通テストに変わりました。
これまで5教科7科目の特徴を紹介してきましたが、今回は1月30・31日に行われた大学入学共通テストの第2日程も含めて、5教科7科目を横断して特徴的だったことがらをご紹介します。

この記事のポイント

会話形式の問題が増え、登場人物はのべ400名近くに

2021年1月から実施された大学入学共通テスト(以下、共通レギュラーテスト)では、身近なテーマやさまざまな資料を用いた読解力を重視する出題が目立ちました。そして問題の導入部分で、高校生を中心とする登場人物の会話が示されるパターンが多くみられました。

では今回の共通テスト第1日程・第2日程を通じて、いったいどのくらいの登場人物がいたのでしょうか。
ざっと数えたところ、のべ400名近く登場していました。会話形式での出題が多い英語で登場人物が多くなるのは予想できますが、共通テストで地歴・公民科目等でも会話形式での出題が増えたため、これだけ登場人物が多くなったと考えられます。

また登場人物の名前も、国語、物理、公民科目(現代社会/倫理/政治・経済/倫理、政治・経済)などでは、アルファベットのAさん、Bさんでしたが、アルファベット以外にも次のような名前がありました。

こうした登場人物の名前や組合せに出題者の主張が見え隠れすることもありますが、世界史では漢字の姓を用いた登場人物、地理などではカタカナの名前が用いられる傾向がありました。
なおセンター試験の地学では教科名の地学(ジオサイエンス)を想起させる「ジオくん」というキャラクターが登場していましたが、共通テストの地学でも地質調査をする「ジオさん」(第3問〔第2日程〕)が登場しています。

「授業まとめノート」「発表資料のスライド」からの出題

共通テストでは多くの資料が扱われ、資料の読解力を求める出題も多くみられました。
そして問題で扱われた資料には、高校生が学習した内容をまとめたノートや発表資料など、高校生自身が「学習した内容をどのように理解したか」,「どのようにまとめて伝えようとしたか」という資料がありました。

  • 発表資料のスライド(英語(リーディング):第5問〔第1日程〕)
  • 講義で使用しているワークシート(英語(リスニング):第5問〔第1・2日程〕)
  • 授業内容を理解するためのノート(国語:第1問〔第1日程〕)
  • 父が高校のときの宿題プリント(生物基礎:第1問〔第1日程〕)
  • テーマ学習の発表要旨(日本史B:第2問〔第1日程〕)
  • 本を読んで印象的な部分の抜き書き(倫理:第1問〔第1日程〕)

調べ学習の成果をまとめたり、発表したりする機会の多かった今の受験生にとって、まとめ資料はなじみのあるものと思われます。
しかし資料をまとめるにあたり、知識不足や誤解があると不正確なまとめ資料となります。

たとえば生物基礎では生物の知識がどうも怪しい父が高校時代に提出しなかった宿題プリントに、どこに誤りがあるかを指摘させる問題(第1問〔第1日程〕)がありました。このように、高校生がまとめ資料をつくるという場面設定が増えてくると、まとめた資料の「どこに誤りがあるのか?」「不足している観点は何か?」などを問うパターンもさらに出てくるものと思われます。

教科横断的な観点の出題にも注目

そして数は多くないのですが、教科横断的な観点での出題がみられたことも印象的でした。
新しい学習指導要領では「カリキュラム・マネジメント」という言葉が盛り込まれていますが、この「カリキュラム・マネジメント」とは「教科横断的な教育課程の編成」というものです。

たとえば小学校4年の算数の教科書では「折れ線グラフ」を学習するページに、同じ4年で学習する理科の「天気と気温」との関連を示すマークが入っていたりします。これは算数の授業で「折れ線グラフは理科の天気でも使うよ」と言われて、子どもたちが他教科との関連を意識できるしかけです。

このように小学校の新しい教科書では、すでに教科横断的な観点が反映されています。今回の共通テストでは、解答に直接は影響しないものの、他教科でよくみられる観点・テーマを扱った出題もみられました。

  • 都道府県別の就業者数割合(数学ⅠA:第2問〔第1日程〕)
  • 米軍基地のあった地区の新旧地形図の比較(日本史A:第5問〔第2日程〕)
  • 敗戦後から1995年までの食料消費量(日本史A:第4問・日本史B:第6問〔第2日程〕)

日本史A(第5問〔第2日程〕)では、米軍基地があった地域の昔と今の地形図を比較して読み取る問題が出題されました。
地理では昔と今の地形図を比較する問題は一般的ですが、日本史でこのような出題がされることは珍しいと思われます。
また日本史では敗戦後から1995年までの食料消費量を示す統計表の欠けている部分を選ぶ問題(日本史A:第4問、日本史B:第6問〔第2日程〕)が出されました。問題そのものは掲載できないため、イメージとしては以下のようなものになります。

この出題手法は、秋田県の公立高校入試でよくみられるものですが、このような工夫された高校入試や中学入試の出題手法も、今後の共通テストでみられるかもしれません。

共通テストにはどのような対策が必要か?

センター試験と比べて大きく変わった共通テストですが、今後どのような出題が予想され、どのような対策が必要となるのでしょうか。

見た目上の会話形式の増加、資料の読解や考察を求める出題の増加などの変化はありますが、問題を解く上で必要となる知識・理解、読解や考察は、これまでどおり教科書レベルの重要事項の定着が前提となることには変わりありません。

そのうえで、学習内容をまとめ、その結果を他の人と共有し対話したり、学習した内容と日常生活との関連を考えたりするなど、学んだ内容を自分ごと化することが、共通テストで出題される形式への慣れだけでなく、学習内容のより深い理解につながると思われます。

まとめ & 実践 TIPS

さまざまな変化のみられた共通テストですが、対策としてはこれまでと同様に教科書レベルの重要事項をしっかり押さえるとともに、学習事項をさまざまな学習活動や日常生活を通じて自分ごと化して理解を深めることをおすすめします。

株式会社プランディット 社会課 十河(そごう)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの社会(地歴公民)の教材編集を担当。

プロフィール

株式会社プランディット

1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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