大学入学共通テスト分析速報【英語】 センター試験とどう違った? 今後の出題傾向や対策は?

令和3年1月16日、大学入学共通テストが実施されました。初めての実施ということもあり、受験生のみならず多くの人々が注目する試験となりました。特に英語は、配点の大幅な変更(リーディング150点・リスニング50点→リーディング・リスニング各100点)などが事前に発表されており、話題になっていました。
そこで今回は、大学入学共通テスト「英語」の分析と次年度以降の対策について、昨年度まで実施されていたセンター試験と比較しながらお伝えします。

この記事のポイント

リーディング:全大問で読解問題のみの出題に

まず、リーディングについてお伝えします。リーディングについて、特筆すべき内容は主に以下の3点になります。

  • ・アクセント・語い・文法問題がなくなり、読解問題のみの出題に変更
  • ・日常生活でのコミュニケーションを意識した出題が増加
  • ・英文だけでなく、複数の資料や図表の情報を同時処理する力が問われた

アクセント・語い・文法問題がなくなり、読解問題のみの出題に変更

大学入試センター試験(以下、センター試験)ではアクセントや語い、文法といった知識を問う出題が例年出題されていました。

しかし、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)ではすべての大問が読解問題となり、問題文もすべて英文へと変更となりました。すべての大問が読解問題となったことで、全体的に語数が増加したことにも注目です。昨年度センター試験英語(筆記)と比較して約1400語増加し、全体で約4200語となり、センター試験以上に速読力が求められる出題となりました。

日常生活でのコミュニケーションを意識した出題が増加

読解問題のテーマは多岐にわたっており、様々なジャンル・場面設定で出題されました。

第1問Aでは、ルームメイトと忘れ物について、ショートメッセージでやりとりする文章が出題されました。
問題文は実際のショートメッセージの画面を想起させるレイアウトとなっており、受験生にとって身近な場面設定だったと言えます。
また、第2問Bではクラブ活動の時間短縮について、オンラインで行われているやりとりを読み、それぞれの主張を整理し、解答する問題が出題されました。

受験生がイメージしやすい日常的なコミュニケーションの場面を題材とした出題も多く、実践的な英語力が求められる傾向がうかがえました。

英文だけでなく、複数の資料や図表の情報を同時処理する力が問われた

英文の読み取りに加えて、付随する資料や図表を活用して情報を整理する問題がセンター試験と比較してより多く出題されました。

第4問では、2通のメールと時刻表、加えて水族館の来客人数を示したグラフが提示され、それらを統合して整理したうえで最適な予定を立てる問題などが出題されました。単なる英文の読み取り・図表の読み取りではなく、複数の資料から得られた情報や条件を統合する必要があるため、情報を迅速に処理する力が求められました。

センター試験と比較すると、英文を理解することを主目的とした問題から、英文を理解したうえでそれを活用して解答する問題へと変化していると言えます。

リスニング:音声情報と視覚情報の同時処理がカギに

次に、リスニングについてお伝えします。

  • ・センター試験と比較して、音声情報と視覚情報の同時処理を求められる問題が増加
  • ・第3問~第6問は「1回のみ」放送される出題形式

センター試験と比較して、音声情報と視覚情報の同時処理を求められる問題が増加

リーディングと同じくリスニングも、センター試験と比べてグラフや表・ワークシートといった視覚情報の読み取りが必要な問題が増加しました。

第5問では「幸福観」についての講義を受けているという状況設定の中で、授業のワークシートを完成させる問題が出題されました。聞きとった情報をもとに、ワークシートの記述に合うように選択肢を判断することや、グラフの情報と合わせて答えを導き出すことが求められました。

英文を聞きとり、その要点を言い換えた選択肢を選ぶ必要がある問題が増加したため、大意をよりすばやく的確につかむ力が必要となりました。

第3問~第6問は「1回のみ」放送される出題形式

センター試験では、すべての大問が2回放送される問題形式でしたが、共通テストのリスニングは第1問・第2問のみ2回放送、第3問~第6問は1回のみの放送へと変更になりました。

第3問~第6問は、第1問・第2問と比較してより詳細な場面設定がされているうえに、いずれも日常生活においても音声情報が繰り返して話されることがないような設定となっていました。
例えば、第6問では、4人の話者による意見交換を聞きとる問題が出題され、複数人の意見の要点をすばやく把握する必要がありました。

センター試験と比べて、より実践的なコミュニケーションの場面を想定した出題が増加したため、日常生活での会話の聞きとりと同じく1回のみで理解する必然性が生まれたと考えられます。

次年度以降に向けて、どのような対策が必要か?

初の共通テストを終えて、次年度以降にどのような対策が必要かを、リーディング・リスニングそれぞれについて以下のようにまとめました。

  • ・リーディング:英文全体の要旨や論理展開をすばやく把握する速読力と、複数の情報を整理して解答を導く思考力の醸成が求められる
  • ・リスニング:要点を整理する力と、他の表現への言い換えに気づく柔軟な思考を養う必要がある

リーディングは、センター試験と比較して語数も情報量も増加しているため、これまで以上の速読力が求められます。

また、文法問題は単独での出題はありませんが、文意を理解するための基礎として、文法力は引き続き求められていると言えます。語い・文法といった英文読解の基礎力を鍛えたうえで、複数の資料を統合して解答する問題の演習を多く取り入れ、迅速に対応する情報処理能力を養成することが大切になっていきます。

リスニングでは、会話や発話の要点をすばやくつかむ力が求められます。

場面の詳細な設定や、資料・図表の増加に伴い、これまでのセンター試験以上に問題の放送前に読み取っておく必要のある情報が増加しました。与えられた情報を統合して答えを導き出すというプロセスはリーディングに求められている力と共通しているため、リーディングの演習がリスニングの対策につながる部分も大いにあると言えます。また、リスニングは聞きとった情報が他の表現に言い換えられて設問に関連する出題も見受けられますので、言い換え表現に気づけるよう、様々な英語表現に触れる演習も対策として必要です。

まとめ & 実践 TIPS

大学入学共通テストの英語では、リーディング・リスニングともにこれまでよりも実践的なコミュニケーションの場面が想定された問題へと変化しました。
知識偏重ではなく、英語本来の言語としての機能を意識した出題は、今後も続くことが想定されます。
日々のコミュニケーションの中でも、話し手の言いたいことや文章の要点をすばやくつかむことを意識することが大切になってくると言えます。

株式会社プランディット 英語課 堀内(ほりうち)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの英語教材の編集を担当。

プロフィール

株式会社プランディット

1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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