【中学受験】2021年度入試の時事問題対策 ここが必須!「新型コロナウイルス」と日本の歴史や文化と重要人物、社会制度と「感染症」とのかかわり
2021年度の中学入試で出題される可能性が高い日本の時事問題と、勉強すべきポイントについて、「私立中高一貫校進学フェア オンライン」で配信されている文教大学の早川明夫先生の時事問題特別セミナーの内容からご紹介します。
「新型コロナウイルス」を出発点に、日本の歴史、文化へと視野を広げてみる
2021年度入試に向けてこれだけは押さえておきたい時事問題、前回の世界編に続いて日本編をお伝えしたいと思います。日本編においても「新型コロナウイルス」は外せません。この新型コロナウイルスに関連して、日本社会の歴史や文化、社会制度と「感染症」とのかかわりが問われる可能性があります。
まず、感染症の歴史を日本に限って考えてみましょう。
小学校の教科書にも感染症に関連することが書かれています。何かというと、聖武天皇が各国ごとに国分寺と国分尼寺を作り、さらに総国分寺である東大寺に高さ16メートルの大仏を作らせたことです。
その理由は、凶作や飢饉に見舞われたこと、そして当時の朝廷で貴族や皇族の間で権力争いが続き、九州で貴族が反乱を起こしていたこと。
さらに、感染症である天然痘が流行していたことです。
聖武天皇は、仏教の力を借りてこのように乱れていた社会を鎮めようとして、国分寺や大仏を作らせたのです。
東大寺の大仏は、実は金メッキです。大仏に金メッキをするには、水銀に金を溶かし青銅の大仏の表面に塗り熱を加えます。そうすると水銀だけが蒸発し後に金が残ります。これを3回くらい繰り返すと金メッキが完成します。
この仕事に携わった人は恐らく大量の有害な水銀の蒸気を吸い込んだでしょう。中には水銀中毒で亡くなった人もいたと思います。
天然痘を抑えるという願いもあって大仏が作られましたが、この東大寺の大仏作りが日本で最初の本格的な公害だと私は考えています。
小学校の教科書には大仏以外にも感染症に関連したことが出てきます。
それは「祇園祭」です。京都で夏に行われるお祭りですが、実はこのお祭りは感染症を防ぐためのお祭りだと言われています。
皆さんの住んでいらっしゃるところでも、魔除けあるいは天然痘などの感染症を防ぐためのお祭りが行われているところがあるかもしれません。お祭りだけではなく、おもちゃにもそうした思いが込められているものがあります。
左の写真は岐阜県飛騨高山のおもちゃで「さるぼぼ」、右の写真は福島県会津地方のおもちゃで「赤べこ」といいます。これらはいずれも感染症を防ぐため、あるいは感染症から子どもを守るためのお守りのようなものです。
両方に共通しているのは赤色であることです。なぜかというと一説には病気をもたらす鬼は赤が嫌いだからだということです。また、江戸時代には「はしか絵」という浮世絵も出されています。
このように、日本では昔からお祭りやおもちゃ、絵などで感染症から人々を守ろうとしてきたわけです。
感染症と日本の科学の歴史、社会制度の関わりについて考える
明治になると、感染症の研究で有名な科学者が3人登場します。
一人は2024年からの新しい千円札のモデルにもなっている「北里柴三郎」です。
ドイツに留学し、結核菌を発見したコッホに学び、破傷風という感染症の治療法を発見し、伝染病の研究所を設立しました。この北里柴三郎の下で研究し、赤痢菌を発見したのが「志賀潔」です。
さらに、もう一人、北里柴三郎の研究所で感染症を研究し、アフリカで黄熱病という感染症を研究し、それに感染して亡くなったのが「野口英世」です。
日本の感染症にかかわる科学の歴史を振り返るうえでは、この3人の科学者の名前はしっかりと頭に入れておいてください。
現在、日本において感染症対策の中心となっている役所はどこでしょうか。
大きな方針は厚生労働省などで決めますが、実際にいろいろな細かな仕事をやっているのは、地方自治体に設けられている「保健所」です。保健所の地図記号は病院と似ていますので、しっかりと区別して、保健所の地図記号のかたちを頭に入れておいてください。
この感染症の対策を行っている保健所などが行っている活動は、「公衆衛生」といいます。
この公衆衛生は、憲法第25条に基づいているものです。憲法にはこの第25条や第9条のように重要な条文がいくつかありますが、来年の入試では間違いなくこの第25条が多くの学校で出題されるでしょう。次に示す第25条の全文は、ぜひ自分で書けるようにしておいてください。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を生存権といいます。この第25条に基づいて日本では社会保障制度が整備されているというわけです。来年の入試の時事問題対策では、このようにさまざまな角度から感染症について勉強しておいてください。
安倍内閣総辞職、令和2年7月豪雨などの2020年の重大事件に関連した勉強をしておく
国内の2020年の重大事件としては、安倍内閣が総辞職し新たに菅内閣が発足したことが挙げられます。
安倍内閣は憲政史上最長の政権です。連続で見た場合に2番目に長かったのは、佐藤栄作、次に吉田茂です。通算で見た場合は、安倍元首相の次が桂太郎、その後が佐藤栄作、伊藤博文となります。
ここで挙げた総理大臣がどのようなことを行ったのかという業績もまとめておくといいでしょう。併せて、どのようなときに総理大臣は辞めるのか、あるいはどのようにして総理大臣は選ばれるのか、総理大臣の資格とはどのようなものか、こういったことを憲法の条文などをもとに確認しておきましょう。
また、2020年は令和2年7月豪雨がありました。日本三大急流のうちの二つ、最上川と球磨川で氾濫が起こりました。河川の氾濫というとハザードマップもよく取り上げられます。ぜひ皆さんが住んでいらっしゃる地域のハザードマップを手に入れて、自分の家の安全など確認しておきましょう。
日本国内で起きた重大な出来事も、2020年12月末までのものであれば出題される可能性があります。しっかりとチェックしておいてください。
まとめ & 実践 TIPS
新型コロナウイルスに関連して、日本社会の歴史や文化、社会制度と「感染症」とのかかわりが問われる可能性があります。
大仏の建立などの感染症の歴史や、お祭りやおもちゃ、絵と感染症とのかかわりも知っておきましょう。
さらに、感染症の研究で有名な科学者「北里柴三郎」「志賀潔」「野口英世」の名前、感染症対策を行う保健所の活動、「公衆衛生」の根拠となる憲法25条についても覚えておいてください。
それ以外にも2020年は、安倍内閣が総辞職、令和2年7月豪雨といった重大事件があったので、総理大臣の関連知識を調べるとともに、ハザードパップも確認しておきましょう。
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