乱れてしまった学習ペースを立て直すには「余り時間」の見える化がポイント!【中学受験】

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学校や塾の休校期間が長引いたことで、お子さんの学習ペースの乱れが気になっている保護者のかたが増えています。
ご家庭で子どもに合わせた学習のリズムをつくるうえで、注意すべきなのはどのようなことでしょうか。
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」で主任相談員を務める、教育家・小川大介先生に、生活の立て直しから学習スケジュールの立て方の基本までお話を伺いました。

この記事のポイント

「余り時間」を学習に充てるという発想を!

新型コロナウイルス感染症蔓延防止のための自粛の影響で、これまでとは異なる生活リズムで過ごしているお子さんも少なくないでしょう。保護者のかたには、「十分に勉強ができているのかしら」「わからないところができているのではないだろうか」など学習面での心配が生まれているかもしれません。

しかし、そんな不安にかき立てられて「勉強しなさい」「宿題は終わった?」という声かけばかりしていると、お子さんは勉強へのやる気を失ってしまいます。

このような状況において大切なのは、まず睡眠・食事・入浴・遊び(リラックスタイム)など子どもにとって必要な時間を確保し、生活にリズムをつくってあげることです。必要な時間を十分に確保したうえで、「これくらいであれば学習に割ける」という目安を一緒に持っていきましょう。
勉強のための時間を取ろうとするのではなく、生活の中の「あまった時間」を勉強に使おうという発想を持つことが必要なのです。

睡眠をないがしろにしてはいけませんし、ご家族と会話を交わしながらゆっくり過ごす食事の時間も子どもにとっては大切な時間です。一緒にお風呂に入る習慣があれば、時間を決めて入りましょう。

また、勉強のために、遊びの時間を削らなければいけないと思う保護者のかたも少なくありませんが、自分のしたいことを犠牲にすればお子さんの学習への意欲は下がってしまいます。
心地よく過ごせる1日とはどのようなものかをお子さんと相談し、たとえば「この番組絶対見たい」「1時間は友達とゲームをしたい」という子どもの要望がわかったら、スケジュールに組み込みましょう。

一方で、ダラダラしている時間は、エネルギーも下がる「もったいない時間」です。そこを「余り時間」だと捉え、勉強に充てるのです。
このように生活リズムを整えることが、家庭学習を行うための大前提なのです。

子どもと話し合いながら現実的な学習計画を立てる

1日の生活リズムが整い、「余り時間」が見えれば、次はそこで何をどれぐらい学習できそうかがわかります。この時点で注意すべきは、「現実的な」学習計画を立てることです。

お子さまと話し合いながら、「1週間のうち算数に取り込めるのは4日間だとわかったね。水曜日は2時間できるけれど、他の日は1時間半ずつが精一杯みたいだけれどどう思う?」などと話し合っていきましょう。
お子さんからも、「国語は1回勉強を始めると長く時間がかかるから、細切れだとやりにくい」「応用問題は時間がかかるから土日に取り組みたい」など、本人の感想や意見が出ることもあるでしょう。そうしたら、「じゃあ、国語は土曜日と日曜日に多めに時間を取ろうか?」など、その子の持つ傾向や各教科の取り組みやすさなどによって、スケジュールを組んでいくのです。

1週間分ほどを目安に、現実的な学習計画を立てていきましょう。

積み残しは優先順位を決めて、余裕のある時間で解消!

1週間のスケシュールを組んでみると、「金曜日の夕方と土曜日の昼頃は、復習や苦手な部分の見直しにも充てられそう」など学習の積み残しを解消する時間も明確になっていきます。

やり直したい単元が10個あったとしたら、あれもこれも取り組ませようとするのではなく最優先のものをはっきりさせて、向き合わせましょう。
たとえば、学年が上がると再度出てくる分野については、今は細かいところまで理解していなくてもOKだという判断などもできます。「今解消しておかないとまずい」という危険度が高いものに印をつけて、それを復習の時間に重点的に組み込みましょう。

「全部をこなす」ことに執着すると、お子さんが終わる気がしない計画が目の前にあらわれているように感じてしまうかもしれません。「こんなの無理……」と最初から意欲が下がってしまっては、学習が一歩も進みません。
それよりも「これならできそう!」と思えるように学習範囲を絞り込んであげ、一歩目を踏み出しやすくさせてあげる方が得策です。また、結局はそちらの方が取り組める全体量も増えます。
保護者の方が優先順位づけの意識を持つことで、子どもの学習意欲も高められるということは、ぜひ覚えておいていただきたいポイントです。

まとめ & 実践 TIPS

その子に即した生活リズムを構築し、「余り時間」を学習に充てましょう。そして、学習計画は現実的なものの作成が大切です。お子さんがとてもこなせる気がしない計画を立ててしまえば、かえって意欲を奪ってしまうことになります。
「これはやれそう?」「この時間にはどんな勉強をしたらよいと思う?」などお子さんと対話をしながら、スケジュールを作っていってみてください。そうすれば、学習リズムが大幅に改善するはずです。
健康的な生活をベースに、お子さんがやる気を持って学習に向かえるような支援を大切にしてください。

プロフィール


小川大介(おがわ だいすけ)

教育家
見守る子育て研究所 所長
1973年生まれ。京都大学法学部卒業。
学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、コーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。現在は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。
受験学習はもとより、幼児期からの子供の能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評があり、各メディアで活躍中。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)など著書多数。You Tubeチャンネル「見守る子育て研究所」も今夏より開設。

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