入試に出る本教えます(1)【中学受験】

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中学入試の分析の仕事を長年やってきたせいか、書店に行って本をながめていて、「ああ、この本きっと来年の入試問題にでるんだろうな」と思うことがあります。

説明的文章で人気ナンバーワンの筆者は?

説明的文章では、新書から問題文を選ぶことが多いのですが、小学生の見聞や知識をふまえて読解できるような、動物・植物、自然環境や言語などをテーマにしたものがよく選ばれます。
最近、特によく出ているのは、稲垣栄洋さんの生物に関する説明文です。出題例として3冊挙げてみます。
※( )の数字は出題年度です

〇稲垣栄洋『イネという不思議な植物』(ちくまプリマー新書 2019年4月刊)
 出題校=愛光・岡山白陵・鎌倉女学院(20)
〇稲垣栄洋『雑草はなぜそこに生えているのか』(ちくまプリマー新書 2018年1月刊)
 出題校=大妻・青山学院横浜英和・浦和実業学園第1回午後・開智未来・城北埼玉2回(19)
〇稲垣栄洋『植物はなぜ動かないのか』(ちくまプリマー新書 2016年4月刊)
 出題校=本郷・サレジオ学院・開智先端・淑徳与野・洗足学園(17)頌栄女子学院・東京都市大付属2回(18)

いずれも「ちくまプリマー新書」です。中高生向けに書かれたこのシリーズは、中学入試の説明文の出典としては定番ですが、稲垣さんの本は、刊行してすぐ来年の入試問題に登場するという人気ぶりです。

来年の「入試に出る本」は?

では、来年の「入試にでる本」を教えましょう。今年も、稲垣栄洋さんお得意の生物に関する説明文が、またしてもちくまプリマー新書から6月に刊行されました。

〇稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる ~生き物をめぐる個性の秘密』(ちくまプリマー新書 2020年6月刊)

内容は、生物の研究をもとにして、「個性」とは何か?、「ふつう」とは何か?、「区別」とは何か?、「多様性」とは何か?、「らしさ」とは何か?、「勝つ」とは何か?、「強さ」とは何か?、「大切なもの」は何か?、「生きる」とは何か? という9つのテーマで説明してくれています。いかにも入試問題向きのテーマです。
出版社も、夏休み前に書店にならべて、「どうぞ先生方、入試問題に検討してくださいね」と言わんばかりですね。書店で見て、「ああ、これ出るんだろうな」と思った一冊でした。

まとめ & 実践 TIPS

入試に「よくでる作品」は、多くの先生が「入試問題にふさわしい」と考えている作品です。ですから、その作品を読んでおくこと、問題を考えることは、入試のレベルを知るために必要なことです。今回の稲垣栄洋さんの文章とそれをもとにした入試問題は、入試の準備学習の中に積極的に取り入れるようにしましょう。

(筆者:佐藤友樹)

プロフィール



森上教育研究所にて、長く国語入試問題の分析を担当。現在に至るまで、数多くの学習塾・予備校の国語テキスト、模擬試験を作成。30年以上続けている中学入試の国語分析は、もはや趣味として楽しむ領域。小学生向けの国語の問題・参考書の執筆多数。

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