3年連続伸長の中学受験者数、午後入試の拡大で5万人規模に【中学受験】

2020年度の中学入試もすべての日程が終了し、それぞれの学校の受験者数がすべて出揃いました。今年の入試は受験率が14.3%で3年連続の伸長となりましたが、どのような傾向が見られたのでしょうか。森上教育研究所がお伝えします。

もはや1回のみの入試はごくごく一部の上位校のみの時代に

今年はなんといっても午後入試のインパクトがある入試でした。受験者数の推移を見ると、今年はおよそ5万人規模となりましたが、2018年の3万8000人、2019年の4万4000人と比べると、ここ3年は約5000人ずつ増加していることがわかります。

たしかに、全体として見ると1回のみの入試を実施しているのは、男子では開成・麻布・慶応普通部、女子では女子学院・桜蔭・立教女学院・雙葉・フェリスなどごくごく一部に限られてきました。

いわば、これは「強者の選択」で、1回の入試でも受験生をたくさん集める学校以外は、2回、3回と入試を実施し、少しずつでも受験生を集める選択をする、このような様相が現れてきました。

東京の入試は男子校・女子校の受験者数が増加する珍しい年だった

全体の傾向を見ると、男子校・女子校においては男女別学も含めて上位校・中堅校・中下位校と偏差値に関係なくほとんどの学校で受験者数が増加しました。一方、これまで人気だった共学校は一部の中下位校を除いてほぼ横ばいでした。男子校・女子校は上位校以外は横ばいか減少する傾向が多かった中、これは非常に珍しいといえるでしょう。

たとえば、2月1日午前の入試で受験者数の前年比を見ると、男子校は早稲田114%、駒場東邦109%、攻玉社122%、芝浦工大付属129%、成城111%、城北120%、巣鴨162%、女子校は共立女子116%、香蘭女学校108%、雙葉115%、洗足学園114%などが増加しています。

共学校に目を向けると、大学付属の学校は増加傾向があるものの(上位校だけでなく、中堅の付属も増加)、それ以外の受験者数はほぼ横ばいか減少する結果となりました。
なぜこのような珍しい現象が起こったのか、理由を推測すると二つ挙げられると思います。

一つは、去年までの男子校・女子校と共学校の倍率では1倍近く差があり、共学校が人気だったということ。共学校で受験生が増えるという予想のもとに、受かりやすそうな男子校・女子校に人気が集まったわけです。

もう一つは、今、中学受験をするお子さまの保護者のかたの世代が中学受験を経験した際は、男子校・女子校が中心で共学校があまりなかったため、自らの経験をもとに男子校・女子校を選んだのではないかということも考えられます。ただ、今年突然男子校・女子校が増えたことは世代では説明できないため、2番目の説は少し弱いかもしれません。

東京都の受験者数激増の理由には都の就学支援金も

東京以外の首都圏を見てみると、千葉・埼玉・茨城は受験者数が増加しましたが、来年これら3県では小学6年生人口がそのものが減少しているため、このまま受験者数が増え続けるとは言い切れません。今年大幅に受験者数が増加したのが埼玉県の大宮開成でした。大宮開成はその名のとおり大宮にある学校ですが、大宮は公立のさいたま市立大宮国際中学校が設立されたのをきっかけに併願先としての私立中学の受験需要が増えてきているように見受けられます。

神奈川県は、小6人口の減少も影響してか、そこまで受験生は増えませんでした。
東京の受験者数に比べると、同一日程の神奈川・茨城の増え方は緩やかですが、この要因の一つには東京都の高等学校等就学支援金によって世帯年収910万円以下の家庭で私立高校の授業料が軽減されること(記事作成時点では審議中)も大きいのではないでしょうか。

世帯の年収にもよりますが、私立の中高一貫校を選んだ場合も、高校で授業料の負担が半額程度で済む可能性も出てきました。この支援金を利用できる東京の学校に通うという選択肢が強い誘因として学校選択に影響したとも思われます。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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