来年はどうなる?【国語・算数編】 2020年度中学入試の教科別出題の傾向から予想

2020年2月19日、東京都千代田区の市ヶ谷アルカディア私学会館で、森上教育研究所が主催する「2020年入試 首都圏中学入試の結果と分析」セミナーが行われました。
今回は、セミナーの内容から、今年の入学試験の傾向を教科別に分析した内容をレポートします。まずは、国語と算数です。来年度以降中学受験を考えているご家庭はぜひ参考にしてください。

物語文は親子や友人関係を超えた「第三者」との関係がテーマになる傾向

国語の入試問題の傾向は、平山入試研究所の小泉浩明先生から、首都圏の国立・私立中学校を中心に89校、180問題を分析した結果が発表されました。
問題傾向を全体的に見ると「物語文」「説明的文章」「韻文(韻文+解説を含む)」「随筆」「思考問題」などといった文種では、説明的文章が前年の46.6%から43.9%にやや減少、韻文が2.7%から3.3%にやや増加しました。また、「記述」「選択肢」「抜き出し」といった設問は、偏差値が61を超える超上位校では選択肢問題が5.8%増加しましたが、偏差値60〜55の上位校では、選択肢問題が減少しました。

次に、テーマとしては「他者・大人」を扱ったものが目立ったと小泉先生は話します。
「物語文というのは、私=主人公と他の人との関係が描かれることが多いものですが、今までは、子どもにとって親しみがわきやすい親子や友人、ペットなどといったテーマを扱った物語が採用されることがほとんどでしたが、今年はそれを超えて家族でも教師でもない、第三者としての大人との関係を考える問題が非常に増えました。

また、病人や障害者といった社会的弱者を扱ったものも多く見られます。少子高齢化、格差社会などの社会現象を反映して、社会的弱者を扱ったテーマは今後も伸びそうです」(小泉先生)。

そして、ここ数年「深化」と「広がり」が見られる国語の出題傾向が今後どのようになっていくのかという予想では、「『深化』について言うと、『二つ選びなさい』や『すべて選びなさい』というような複数選択の問題は、昨年出題していた学校の半数が出題を取りやめている代わりに、新規に出題する学校も多く、全体としての出題数はさほど変わりませんでした。そのため、これからも急激に増加するということはなさそうです。

また100文字以上の長文の選択肢を出題する学校は昨年より増加しましたが、150〜160文字のような超長文を出す傾向は収束していき、100文字前後が主流になる可能性が高いです。また、短い選択肢で細かい文字の入れ替えなどで誤りを誘発するような問題よりも、細かさはないものの、読解力を重視したある程度長い選択肢問題が増えそうです。

『広がり』という観点では、自分で考える・想像する・発想する問題の出題は増加しています。グラフや絵を用いて考えさせる、計算を必要とするなどの科目横断的な問題は、昨年と比べると出題している学校の入れ替わりはあったものの、全体数としては変化はありませんでした。科目横断的な問題は今後増えるにしても大問として大きく出題するより、小問として出題される可能性のほうが高いでしょう」(小泉先生)。

正答率の低い定番問題を解けるかが合否を分ける

続いて、算数の入試問題について、算数オリンピック大会顧問で、みんなの算数オンラインを主宰する竹内洋人先生から、首都圏の国立・私立中学校を中心に85校の入試問題の分析と解説が行われました。
分野別の出題傾向としては、「割合」と「速さ」が増加し、「平面図形」が減少しました。偏差値50台の学校に限ると、「速さ」は減少しているものの、そのぶん、偏差値60以上の学校では「速さ」の問題が大きく増加したため、このような結果になったと竹内先生は分析します。

さらに、2020年度の算数の入試問題の具体的なポイントとして、5つが挙げられました。
「1つ目は、ここ数年の傾向として記述説明問題が引き続き増加しているということでした。中でも、今年はイコールの意味や鳩の巣原理など、定義や原理、法則について『なぜそうなるか』を説明させる問題が多く見られました。

2つ目は、今年は回転体が多かったということ。立体問題自体の割合は昨年とあまり変わっていないものの、角柱や角錐の単純な切断問題が減って、そのぶん、回転体が出題されました。全体的に複雑さが少し増して、計算量が増加している印象も受け、『解法のメドは立つが計算ミスが怖い』というこれまでの回転体の問題から、今年は『解法のメドが立ちにくい』問題が目に付きました。

3つ目は球体です。数として多いわけではありませんが、回転体と同じく立体問題のバリエーションが増えており、切断面の作図ができるかどうかが重要になってきます。

4つ目は、頻出の難問は最難関でも変わらずに出題されるということです。思考力タイプの問題は差がつきづらいため、どこかで見たことのあるような定番の難問をしっかりと対策しておくことが得点の安定に繋がります。解法を暗記するのではなく、なぜそうなるか説明できるようにしておきましょう。

最後に5つ目は、全体として作業量や計算量が増加しているということです。『速さ』の問題では、問題条件やグラフの読み取りが複雑化し、場合の数では計算一発で終わるのではなく、実際に書き出したり調べたりする作業を必要とする問題が徐々に増えつつあります」(竹内先生)。

以上の傾向から、今後どのような対策を行うのがよいかという方針については、「増えつつある思考力系の問題については、従来は6年生の夏以降の過去問演習で本格的に触れることになるケースが多いですが、5年生から取り組める問題も多く出題されているので、早い段階から慣れておくのがいいでしょう。
ただ、実際に安定した得点源となるのは定番問題。正答率の低い定番問題をどれだけ解けるかということが合否を分けるポイントになります」という考えを示しました。

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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