英語検定試験導入延期、記述式問題見送りで「大学入学共通テスト」はどう変わる?

センター試験に代わり、2020年度(2021年1月)から実施される大学入学共通テスト。センター試験との大きな変更点として、英語の資格・検定試験の導入と、数学・国語に記述式の問題を入れることが発表されていましたが、2019年11月に資格・検定試験導入の「延期」、12月には記述式問題採用の「見送り」が決定されました。

結局、大学入学共通テストはどのような試験となり、どんな対策が必要となるのでしょうか。進研ゼミ高校講座 進路情報責任者の相武貴志が解説します。

英語検定試験は2024年度実施に向けて検討、記述式問題導入は見送りへ

共通テストの枠組み内での英語資格・検定試験の「延期」が、11月1日に発表されました。資格・検定試験にかかる費用や会場が近くにないなど、公平性に関わる課題について様々な意見があり、延期という判断になったとみられます。共通テストへの英語の資格・検定試験の導入は、2024年度実施に向けて、今後1年間をめどに議論が続けられる予定です。

一方、数学・国語で、各小問3問程度の記述式問題が導入される予定でしたが、採点精度や受験生の自己採点の負荷などを不安視する意見もあり、共通テストに導入するかどうかもゼロベースから検討されることとなりました。

英語資格・検定試験と記述式問題の導入は、これまでのセンター試験と変わる部分として注目されてきただけに、今回の「延期」「見送り」は話題となっています。だからといって、共通テストがセンター試験と同じような内容に戻るかというと、そういうわけではありません。

ここでは、そもそも「なぜ大学入試が変わろうとしているのか」という根本を振り返りながら、センター試験と変わること、必要な学習法について整理していきたいと思います。

社会の変化とともに変わる教育・大学入試

2020年度から、文部科学省の定める学習指導要領が変わり、20年度から小学校、21年度から中学校、22年から高校で、順次新しい学習指導要領に沿った授業が始まります。学校教育と大学入試は、一体的に変わろうとしています。

その背景にあるのは、グローバル化、人口減少、AIの発達といった社会環境の変化です。変化が非常に激しく、先の予測がつかない社会の中で、「正解」のないさまざまな課題に対し、多様な価値観を持つ人々と協働し、解決していくことが今後ますます必要となってきます。

これからの時代に必要となる学力の3要素として、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」が挙げられています。これまでの入試では「知識・技能」が中心に評価されてきましたが、これからは学力の3要素を多面的・総合的に評価する入試に転換しようとしています。

具体的には、大学入学共通テストや各大学・学部の個別試験で思考力・判断力・表現力を、調査書や本人が記入する志望理由書などの出願書類を通して、学びに向かう主体性を総合的に評価することとなります。このように、社会環境の変化に合わせて求められる力が変わる中で、高校教育だけではなく大学入試も変えていこうとしているのです。

これらの背景を踏まえて、11月以降の変更で大学入学共通テストがどうなるかを具体的に解説していきましょう。

全教科がマーク式のみに。ただし出題方針は変わらず

国語の試験時間は、記述式問題が入る分、100分となる予定でしたが、センター試験と同じく80分となりました。変更前は、4大問に記述式1大問(小問3問)を加えて出題する予定でしたが、変更後は記述式の大問1問を削除することで、センター試験と同じように4大問になるようです。

数学① (数学Ⅰ、数学Ⅰ・数学A)は、試験時間が70分と、センター試験より10分長くなります。変更前は、複数の大問の中で記述式の小問を出題する予定でしたが、国語と同じように大問をそのまま削除することができないため、変更後は記述式部分をマーク式に変えるなどし、試験時間も70分にして実施するようです。

ただし、出題方針については、2019年6月に発表された実施大綱から変更はありません。すべての教科で日常生活や社会の事象と関連した素材が出題されるなど、思考力・判断力・表現力をより問う出題になると考えられます。
また、文章、グラフ、図表など、複数の資料を読み取り、情報を統合・考察する問題も出題される見通しです。

実はすでに、2020年1月に実施された最後のセンター試験でも、いくつかの教科で上記の傾向の出題はなされています。共通テストでは、このような問題が全教科で出題されると見られます。

英語はリスニング重視へ

資格・検定試験の導入は延期となりましたが、共通テストの英語の試験の出題方針・配点は、これまでの発表と変わりません。センター試験との違いは、リーディングとリスニングの配点が1:1となることです。センター試験では、筆記とリスニングの配点は4:1でしたから、これまで以上にリスニング対策は重要になっていきます。ただし、配点の扱いは各大学に任されているため、志望大学の情報を確認する必要があります。

例えば、東京大学ではこれまでセンター試験ではリスニングを必須としていませんでしたが、共通テストからリスニングを必須とし(配点60点)、リーディング(配点140点)と合わせて、共通テストの外国語を200点満点として合否判定に利用します。

「せっかく記述問題や資格検定試験に力を入れてきたのに……」と感じている高2生のかたも多いと思います。その点については言葉がありません。ただし、記述力は各大学の個別試験で必要となりますし、英語の資格・検定試験も、活用する募集単位の多少はありますが、国立大学の約2割が一般選抜で活用を予定、総合型・学校推薦型選抜では5割が活用を予定しています。共通テストの記述式問題は見送り、英語の資格・検定試験の活用は延期となりましたが、当初掲げた方針を進めようとする大学もあり、大学入試の変化は着実に進んでいると感じます。

<進研ゼミ 高校講座>では、授業で得た知識を前提に、初見の問題を解くのに必要な知識の運用力をワークやアプリ、添削課題で高めていきます。また、英語についても4技能を検定形式に合わせて対策できるなど、基礎から実力アップまでサポートします。
高校での一日一日を大切にしながら志望大学につながる勉強法の一つとして、ぜひご検討いただければと思います。

プロフィール

相武貴志

ベネッセコーポレーション
高校講座進路情報責任者
北海道・東海・近畿・九州・沖縄エリアの高校現場を歩く中で、大学合格を果たした生徒とその保護者、学校の実態を踏まえた進路指導に定評。

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