学習の指標となる『思考コード』分類から見る中学受験問題の傾向<男子校編>

2018年度の入試の際、首都圏模試はそれぞれの中学校に対し、出題傾向について知識・理解思考などの基礎力を問う問題と論理的思考の応用力を問う問題、そして創造的思考を問う問題をどのような配点で出題したかアンケートを行いました。いわゆる『思考コード』と名付けられた分類です。
森上教育研究所では、その『思考コード』分類を利用して以下の分析をしました。入試対策に役立てる一つの指標として、参考にしてみてください。今回は、男子校の傾向をご紹介します。

学力を測ることのできる『思考コード』

これまで、学校選びは偏差値をもとに第一志望や併願校など受験する学校を選ぶことがほとんどでした。しかし、2018年度の入試をもとに、首都圏模試では、一つひとつの問題を解く際に必要な力を『思考コード』として分類しました。

これにより、従来、偏差値では評価しにくかった思考力・表現力・想像力のそれぞれの領域で、それぞれの学校の入試で必要とされる領域が何なのかを大量観察できるようになりました。これは、中学受験をするお子さまが、今後どのような学習に力を入れたらよいかを知る指標になります。

『思考コード』は、考える力(A・B・C)と、読み取る力(1・2・3。※1が単純、3が複雑)の二軸をかけ合わせて測ります。考える力の振り分けは以下の通りです。
A=知識・理解思考(基礎力)
B=論理的思考(応用力)
C=創造的思考

この『思考コード』分類を利用して分析し、偏差値と相関させてグラフ化すると、男子校と女子校で顕著な違いが表れることがわかりました。
特に注目してほしいのは、算数での配点%(率)と偏差値の相関です。
まず、算数で出題されたA問題のグラフを見てみましょう。

算数Aは、偏差値40~50の学校群と偏差値65~70の学校群に二極化しています。偏差値が高めの学校群は基礎力を問うAの問題の配点は10~30%のところに集まり、偏差値が低めの学校群は配点が60~70%のところに集まっています。近似値を引くと、偏差値の高さと基礎力を問う問題は負の相関があることがわかると思います。

次に算数Bのグラフを見てみます。

応用力を問う算数Bの問題の配点は、逆に、偏差値が高めの学校群は70~90%のところに集まり、偏差値が低めの学校群は25~40%のところに集まっています。

つまり、偏差値が低い学校は易しい基礎の問題を多く出題し、偏差値の高い学校ほどBの応用力を問う問題を多く出題しているということになります。こちらは、近似値を引くと偏差値の高さと基礎力を問う問題は正の相関が大きいことがわかります。

偏差値の高低に二極化する傾向が明らかな男子校、対策はどうする?

男子校の数学のグラフは、AもBもグラフの両端に学校が集まっており、真ん中くらいの偏差値のところには、学校がほとんどありません。これは、男子校はほとんどが難関校であるためです。

はじめに、「中学受験をするお子さまが、今後どのような学習に力を入れたらよいかを知る指標になる」とお話ししましたが、これでは、学校の数が少ない真ん中くらいの偏差値をもつ受験生は入試対策をするのが困難になってしまいます。

そこでおすすめなのが、同じような難度をもつ女子校の入試問題を使ってトレーニングするということです。なぜなら、女子校の多くが難度相応のA・B問題の配点になっているからです。
過去問などに取り組む際に気を付けなければいけないのは、「その問題が選抜にふさわしい問題なのかどうか」ということです。難しすぎて受験生が誰も正解できない問題だったり、易しすぎて誰でも正解できる問題だったりすると、その問題では選抜されることはまずないからです。こうした問題のばらつきを合格最低点と突き合わせて、塾の先生と相談しながら、よくよく精査してほしいと思います。

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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