2019年度中学受験の時事問題を振り返る

2019年5月26日、東京国際フォーラムで「ベネッセ進学フェア2019」が開催されました。私立中高一貫校約180校が一堂に集まり、各学校の先生方に直接質問できるほか、学校選びについて専門家に相談できるコーナーの設置や講演会の開催もあり、中学受験を考えている保護者のかたや子どもたちで賑わいました。
同フェアで開催された、早川明夫先生の時事問題特別授業の内容をお届けします。

今回は、事前にアンケートを行いました。その中で多かった質問が下記の6つです。
Q1 時事問題はいつごろまでの出来事が出題されるのか
Q2 どのような時事問題が多く出されるのか
Q3 時事問題はどのような対策が必要か
Q4 対策としてどのようなものを使ったらよいか
Q5 子どもに時事問題に対し興味・関心を持たせるためには、どのような工夫が必要か
Q6 来年度の入試でねらわれる時事問題は?
今回は、この中から、Q1、Q2について取り上げます。

時事問題はいつごろまでの出来事が出題されるのか?

時事問題とは、入試の前年に起こった世界の重大なニュースから出される問題のことです。時事問題がどのように作られているのか、一般的なケースを説明すると、まず、夏休み前に出題者を決めます。早い学校では4~5月に出題者を決め、夏休み中に問題を作成、9月以降の教科会で問題を吟味しています。

従って、時事問題には基本的には8月ごろまでの問題が取り上げられることが多いです。ただし、実際には11月や12月に起きた出来事が翌年の入試に出題されることもあります。たとえば今年の入試では、11月にパプアニューギニアで開催されたAPECについて浦和明の星女子中学校で出題されました。なので、お子さまが受験する学校の過去問を確認しておくことが大切です。

どのような問題が多く出されるのか? 2019年時事問題ランキング

では、実際の時事問題ではどんな問題が取り上げられるのでしょうか? 2019年の時事問題ランキングは以下の通りとなります。(分析対象校:138校)

1位 潜伏キリシタン関連遺産の世界遺産登録(21校)
2位 成人年齢の引き下げ(20校)
2位 米朝首脳会談(20校)
4位 天皇の生前退位、改元、元号(16校)
4位 候補者男女均等法(16校)
4位 スポーツの国際大会(16校)
7位 訪日観光客の増大(10校)
7位 沖縄の基地問題(10校)
9位 南北首脳会談(8校)
9位 熊谷市最高気温更新(8校)
9位 2018年の自然災害(8校)
9位 消費税(8校)
13位 難民・移民問題(7校)
14位 イギリスのEU離脱問題(5校)
14位 働き方改革(5校)
16位 イスラエルのアメリカ大使館エルサレムに移転(4校)
16位 プラスチックゴミ(4校)
16位 カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法(4校)

ご覧いただくとわかるように、近年では、実際に起こった政治の問題を取り上げる傾向が強まっています。これは、選挙権年齢が18歳に引き下げられたということに要因があります。早い生徒では、高校3年生で投票する可能性があります。そのためには、中学生の段階から主権者としての基礎的な知識や考え方を養っておく主権者教育をする必要があります。そういった役割を社会科が果たしているということでもあります。

これは、時事問題対策に関しても言えることですが、社会科では、暗記という「点」ではなく、なぜそれが起こったのか、それによって何が変わったのか、未来にどんな影響を与えるのかといった流れに自分のことを関連付けて学ぶことがとても大切です。
ご家庭ではニュースや新聞を見ながら、親子でそのことについて会話をし、まずは保護者のかたがどんな考えを持っているのか伝えるようにできるといいですね。

プロフィール


早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学地域連携センター講師。主な著書に『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』『地図っておもしろい!』(監修・執筆)ほか多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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