2019年度中学受験 偏差値にかかわらず大学入試改革を意識した問題に
2019年度の首都圏中学入試にはどんな傾向が見られたのでしょうか。入試問題の傾向と、増えつつある「新しい名称の入試」のあり方について、森上教育研究所がお伝えします。
問題文が長文化、難化したものの入試結果には影響せず
入試問題の傾向としては、今年は、女子校の進学校では女子学院や桜蔭、男子校の進学校では開成で出題された問題が少し難しくなったという印象を皆さんお持ちのようです。これは、中学入試でも、新しくなる大学入試を意識して記述式が増え文章が長くなり、今までよく見ていた問題ではないから難しく見えるということが言えそうです。
レベルが上がったように見えますが、実際は出題の難度が上がっても合格傾向は変わりません。みんなができない問題は合否に関係ないため、入試の結果には影響しませんが、学校側は新しい大学入試に対応しようという努力をしていることが見て取れます。
一方、中位校から下の学校では、適性検査・英語入試・思考力型入試などといった「新しい名称の入試」が、相変わらず受験生を増やしています。採用校が増えている分、受かりやすくなっているのが特徴で、倍率が1倍台の学校も多くありました。
中位校から下は今後「適性検査型」へのシフトも
今まで、日本の中学受験の世界は、超エリートのための試験ではなく、「真面目にやれば受かる」ような道を歩んできました。しかし、今の世界の潮流を考えると、このやり方にも問題が出てくるかもしれません。
たとえば、プログラミング教育一つを取ってみても、日本が子ども向けのおもちゃみたいなものを操りながらプログラミングを教えているのに対し、シンガポールや中国、韓国というアジアの諸外国では、一部のエリート層はプログラミングの論理を突き詰めて学んでいるわけです。一方、日本の中学受験では、勉強する過程で、「これは入試に出ないからやらなくても大丈夫」というような学び方があるのも事実です。
上で挙げた新しい名称の入試や、新しい大学入試に対応した学びというのはいわば、「今後の知性」です。大学入試の方向性もそうですが、「自分でコツコツ知識を蓄える」というのではなく、「知識があるのは当然で、その上でみんなと相談をして、新しい知恵を生み出していく」というような集合的な知性というものが今後はグローバルスタンダードになっていくことでしょう。そういうことを評価の基準にして勉強をしていこうという思惑が、上で挙げた新しい名称の入試を実施しているような学校にはあるのでしょう。しかし、この考え方も中学受験ではまだまだそれは少数派。皆さんいまのところ確実な、従来型の入試で参加する人が主流となっています。
そうした意味では、中学受験も、今がちょうど端境期です。今後は新しい学習指導要領が実施されれば、いろいろな評価が生まれてくることと思いますが、今、最もはっきりしているのは適性検査型が増えるということです。
新しい大学入試の形が見えてきた今、中位校より下の学校では、適性検査型の入試が主流になり、「今後の知性」に向けて学習を取り入れる流れができそうです。
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