模試の成績が上がらない!?「隠れ苦手」をどう発見・克服するか

中3生になると、模擬試験を受ける機会が増えてくると思います。よく耳にするのが、定期テストではきちんと点数が取れるのに、「模試や実力テストになると成績が上がらない」というケースです。そこには、定期テストからは見えにくい「苦手」が隠れているのかもしれません。

今回はこのような「隠れ苦手」の対策についてお話しします。

「隠れ苦手」は「活用できるほど理解できていない」のが原因

定期テストでは点が取れるのに…という子は、まじめでコツコツと勉強しているタイプに多いようです。授業で学んだことを、学んだとおりに尋ねられれば答えられるけれど、違った方向から問われると答えられない。あるいは、定期テストまでは集中して暗記や問題演習に努めるけれど、終わると全部忘れてしまうというケースもよく見られます。

新学習指導要領、大学入試改革の方向性を受けて、各都道府県の公立高校の入試でも、学んだ知識をそのまま吐き出すのではなく、活用するところまでを求める問題が増えつつあります。公立高校受験を前提とした模試も、当然各都道府県の公立高校入試の傾向を反映しています。

範囲の決まっている定期テストでしか点数が取れないのは、「学んだ内容が定着していない」「活用できるほど内容を理解できていない」ことが大きな原因だと思います。

模試は合格可能性の数値より「答案」「成績表」の分析が重要

ところで、保護者のかたは、模試の答案や成績表をどこまでご覧になっているでしょうか。
模試の結果は、つい合格可能性判定の数値だけを見て一喜一憂しがちですが、この「隠れ苦手」は答案や単元や問題の傾向別に分析がなされた成績表を見ることで発見できます。答案からは、漢字の間違いや計算ミス、単位の付け忘れといったお子さまのミスの傾向もわかります。

できれば、答案や成績表を見ながら、お子さまとどこが難しかったか話し合ってみると良いですね。「この問題はあの単元を使うって気づかなかった」「気づいた時には時間切れになっていて答えが書けなかった」など、話しているうちに、お子さま自身の中で課題が明確になってくると思います。

いちばん避けたいのは、合格可能性判定の数値だけを見て叱りつけることです。苦手の原因も不明確なまま、子どものやる気をそぐだけで何も良いことはありません。

模試からわかる「国語の苦手」は見逃さない

模試で苦手が明確になりやすいのが国語です。定期テストは、授業で習った文章について答えられればある程度点数が取れますが、模試では初見の文章を読解し、文章からわかることを記述するといった力が求められるためです。
初見の文章や資料を読み取り、そこから考えて答えを出す思考力・判断力・表現力は、今後どの教科でも求められますから、国語の苦手は放置すべきではありません。

模試で国語の点数が取れていない場合は、短い問題文を使った易しい読解問題や、字数の少ない簡単な記述問題を使って、地道に基礎力を上げていく必要があると思います。

ノートの取り方からわかること

「定期テストでしか点が取れない」状態を克服するためには、つねに「主体的に頭を使うこと」が必要です。授業も、板書を写すだけの受け身の姿勢ではなく、積極的に受けられるようになるといいですね。
機会があれば、お子さまに授業のノートを見せてもらうといいかもしれません。先生が大事だといったところは強調する、参考書の図表をコピーしてノートに貼って描き込むなど、お子さま独自の学び方が見えてきます。
「こんな取り方はダメ」「もっとキレイに書きなさい」などと否定的な言い方をせずに、お子さまの工夫について尋ねながら、気づいたことをアドバイスしてあげてください。図にまとめることで頭を整理する子、字で書いたほうが頭に入る子、先生の脱線エピソードまでメモすることで記憶を鮮明にする子など、子どもによって個性はありますが、どんな方法であれ、主体的に頭を使えるようになると成績アップしやすくなります。

定期テストの後は消えてしまう勉強のしかたではなく、高校入試にも、その先の一生にも長く役に立つ知識となるよう、お子さまの学びを応援してあげてください。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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