「学力を伸ばしてくれる学校」2017年度大学合格実績からわかること[中学受験]

生徒の成長は、もちろん大学合格実績だけで測れるものではありません。しかし、入学時の難易度と合格大学の難易度、つまり「入り口」と「出口」の難易度を比べることで、6年間の在学中に、生徒の学力がどのくらい伸びたのかの目安がわかります。森上教育研究所では、首都圏の「学力を伸ばしてくれる学校」について毎年分析を行っています。
今回は、2017年度の大学合格実績から、「学力を伸ばしてくれる学校」の傾向や取り組みについてお話しします。

「学力を伸ばしてくれる学校」の分析方法

分析は、「人気首都圏国公立大」「東大・京大・一橋・東工」「早慶上智」に分けて行いました。分析方法について簡単にご説明しましょう。

たとえば中央大学附属横浜(女子)の場合、2017年度卒業生の入学時(2011年度)の偏差値(首都圏模試による)は48でした。2017年度卒業生100人あたりの「人気首都圏国公立大」(千葉大、埼玉大、横浜国立大)合格者は15.8人。これらの大学の合格者の平均偏差値は65.7です。つまり、

65.7-48.0=17.7

で、合格者において中央大学附属横浜は、入学時の偏差値に換算して17.7ポイントも伸ばしたといえます。

2017年度、大きく学力を伸ばした学校は?

2017年度の傾向をみますと、「人気首都圏国公立大」では、男女とも「学力を伸ばした」学校として、20位以内に公立中高一貫校が11校(都立三鷹、神奈川県立平塚、神奈川県立相模原、茨城県立並木、都立立川国際など)、私立校9校(中央大学附属横浜、清真学園、宝仙学園理数インター、茗渓学園、帝京大、開智未来、淑徳、成城学園など)が挙がっています。
私立では共学校が圧倒的に多く、男子校では都市大付属、女子校では日大豊山がランクインしました。

「東大・京大・一橋・東工」でみても、学力をよく伸ばした学校として国公立一貫校が上位を占めています。2007年に開校した東京学芸大学附属国際がランクインしているのも注目されます。私立では広尾学園、開智などの共学校が多いですが、男子の場合、桐蔭学園、城北学園、駒場東邦などの男子校が比較的多くランクインしているのが特徴です。「早慶上智」の場合、女子では光塩女子学院、富士見、共立女子、大妻多摩、カリタス女子などの女子校も多くランクインします。

全体的な傾向として、「東大・京大・一橋・東工」「早慶上智」の合格者より、「人気首都圏国公立大」の合格者のほうが、中学受験時と大学受験時の成績の差にばらつきが大きいことがわかりました。つまり、「人気首都圏国公立大」の合格実績は、中学受験の成績で決まるわけではなく、その学校が国公立大の合格を重視しているかによって変わってくるのです。

難関の中高一貫校から、難関大学への合格者が数多く出ることは誰でも予想でき、中学受験で難関にチャレンジするのはもちろん意味のあることです。その一方で、現状のお子さまの実力に見合った学校の中で、学力をよく伸ばしてくれるところを見つけておくと、特に併願校を選ぶ際に役立つと思います。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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