対話しながら課題解決を目指す力をどう育てる? [中学入試]

2017年3月に告示され、小学校は2020年度、中学校は21年度から全面実施される新学習指導要領。
問題を自分で見つけて、他者と協力しながら解決する力を育てる「主体的・対話的で深い学び」、いわゆるアクティブ・ラーニングが全教科で導入されることが大きなポイントです。中学入試でも総合型、適性検査型、思考力型などと呼ばれる教科横断的な問題が増え、学んだ知識を使いこなして課題解決を目指す力が求められています。
今回は、課題解決を目指す思考力を育てるために注意すべき点についてお話しします。

他者の考えを受け入れながらアイデアを出していく

自分で課題を見つけ、他の人と力を合わせて解決を目指す力は、今後ますます求められるでしょう。私たちは、そのような力を発揮する場として「全国小学生グループプレゼンテーション大会」(NPO学校支援協議会・ロジニケーション・ジャパン主宰)を創設したのですが、子どもたちの発表はとても面白く聴きごたえがあります。

昨年12月に行われたプレ大会では、「国民の祝日をあと1日増やすとしたら、何という祝日を作りますか」というテーマで工夫をこらしたプレゼンが繰り広げられました。優勝は「4月12日、友情の日」を提案した武蔵野東学園。入学式や始業式があり、出会いの月である4月、友だちが1人から2人に増えていくという意味で12日にしたのだそうです。
こういったプレゼンでは、まず課題の意図をよく理解する必要があります。国民の祝日とは何か、ほかにどんな祝日があるか知らないと発想は生まれません。また、子どもたちのアイデアをうまく生かすファシリテーターの存在の大きさを強く感じました。自分のアイデアが友だちに受け入れられ、友だちのアイデアを受け入れてさらに考え、皆の発想が組み合わさって形になっていく体験は、子どもたちにとってとても刺激的なようです。楽しみながら場数を踏むことで、他者と協力して課題解決を目指す力は伸びていくのではないでしょうか。

ご家庭でも、友だちと身近な問題について話し合ったり、一緒にひとつの作品を仕上げる機会はぜひ増やしていただきたいと思います。科学の実験やプログラミング、グループで作品づくりをする美術や音楽のワークショップといったイベントがあれば、参加してみるのもよいですね。

「相手次第で変われる」体験で思考力が広がる

ワークショップ型のイベントに参加する前に「うちの子は引っ込み思案だから発言できないかも」「ぼくがぼくがといって、人の話を聞かないから嫌われるのでは」などと心配する保護者のかたもいらっしゃいますが、実はテーマやグループのメンバー次第で、子どもたちの態度や役割はかなり違ってきます。

いつもは聞き役に回っている子が、別のグループではまとめ役を務めたり、ふだんは自分本位に見える子がしっかり人の話を聞いてあげていたり。一人の子どもの中にも様々な面がありますが、家族の中では役割やキャラクターが固定してしまいがちです。「相手や環境次第で自分は変われる」「このメンバーの中では自分がリーダーを務めたほうがいいかな」と感じられることはとても大切です。グループで行う習い事やスポーツもよいと思います。家族とは異なる様々な集団の中に入ってみることで、立場や役割を変えながら考える思考力が育ちます。

外の風を入れてくれる、保護者以外の大人と触れ合う機会を

小学生が気軽に「他者との対話」を味わえる相手としておすすめなのが、おじやおばといった親戚です。お子さまを小さい頃から知っていて、話をよく聞いてくれて否定しないけれど、保護者のかたとはものの見方や考え方が異なる——そんな大人が近くにいるととてもよいですね。
親しいご近所のかたや、習い事の先生、スポーツのコーチなどもよいと思います。保護者以外の大人と気軽に話す機会があることは、子どもたちの思考力や発想を広げてくれます。そのような機会を、意識してぜひ増やしてあげてください。対話を通して身につく思考力は、中学入試での強い武器になるだけでなく、合格後の学びの基礎となることでしょう。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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