偏差値や合格可能性の数値をどう活用するか

中3の2学期以降は、お子さまが模擬試験を受ける機会が増えてくると思います。
今回は、偏差値や合格可能性の数値をどう活用するかについてお話しします。

志望校に合わせた上手な模試の受け方を

2学期には、各都道府県の公立高校の出題傾向に準じた標準的な模試を月1回程度受けることをおすすめします。定期的に受けることで、お子さまの相対的な学力の推移がわかります。また、私立高校を受ける場合、個別入試相談会で模試2回分の成績を求められ、その成績が推薦入試を受けられるかどうかの参考資料となるケースがあります。模試を3回以上受けていれば、結果の良いほうから2回分選んで持っていくことができますね。

また、難関の国立・私立校、あるいは自校作成問題が出題される公立難関校を受ける場合、それらに対応した模試があれば本番までに1、2度受けてみるとよいでしょう。ただし、そういった模試には学力の高い生徒が集まるため、偏差値は低めに出ますから、入試相談会の材料には使えません。お子さまの志望校に合った模試を選ぶことが大切です。

合格可能性は、2学期中盤まではあくまで「参考数値」ととらえて

2学期の中盤までは、まだ受験勉強に本腰が入っていないお子さまも多いと思います。部活の引退の時期が秋以降であるとか、夏休みに部活を引退したけれど、なかなか勉強への切り替えができないというケースも多いのではないでしょうか。10月頃には合格可能性が50%以下でも、追い込みで実力をつけてくる子も数多くいます。ですから、2学期中盤までは模試はあくまで「苦手やミスの傾向を知り、志望校に近づくためのツール」ととらえましょう。受験校の決定に比重を移すのは11月以降でよいと思います。

なお、合格可能性の数値が思わしくない場合、保護者のかたもショックを受けがちだと思いますが、その気持ちをそのまま子どもにぶつけるのは避けたいものです。まずは冷静に模試当日の状況について少しお子さまと話してみてはいかがでしょうか。苦手な単元が出題された、隣の人の癖が気になって集中できなかったなど、様々なことで成績は大きく左右されます。苦手やミスが原因であれば対策が立てられますし、アクシデントであれば、本来の実力が発揮できれば良い結果が望めることがわかります。

相対的な学力の推移に注目

偏差値が上昇傾向にあれば、より挑戦志向で受験校を考えられますし、下降していれば併願校をより慎重に選ぶ必要があります。ただし、第一志望校は安易に変えるべきではありません。
自分は一生懸命やっているつもりでも、周囲がもっと頑張っていれば偏差値は上がりません。成果が上がらない場合、お子さまが「頑張っているのになぜ……」と落ち込むのは当然です。そんなとき、保護者のかたが「このままでは受かりそうもないから、志望校を変えなくちゃ」などと本人の前で動揺するのはよくありません。併願校や志望校の変更について検討するのは、本人の前では避けたいものです。

より明るい気持ちになれる目標設定を

「偏差値をあと3ポイント上げないと、A校を受けるのは難しいよ」といった言い方は、事実としては正しいとしても、言われたほうの負担感は増してしまいます。たとえば「ミスを減らして各教科3点ずつ上げれば、挑戦校も狙えそうだね」とか、「苦手教科の点数をあと10点上げたら、この学校も合格圏に入ってくるよ」といった励まし方はどうでしょうか。
口を出されたくはないけれど、自分の頑張りを見ていてほしいという子もいれば、時には強い言葉で励ましてほしい子もいると思います。成績表を見ながら、お子さまに合ったアドバイスのしかたを工夫し、志望校に最短距離で近づく方法について一緒に考えてあげていただければと思います。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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