志望校選択にどう生かす? 大学合格実績 [高校受験]

お子さまの志望校決定にあたって、気になるのが大学合格実績です。
今回は各高校の大学合格実績の数値を見る際、注意したいことについてお話しします。

定員厳格化により、私立大学合格者数が減っている

2017年の大学入試で話題になったのは、私立大学の定員厳格化による合格者数減です。
政府の地方創生政策の一環として、大都市圏の大規模私立大学への学生集中を抑制するため、2016年から、定員8,000人以上の大規模大学では定員の1.2倍以上入学させると、私立大学経常費補助金が全額不交付になるという措置が取られ始めました。定員超過の基準は今後さらに厳しくなり、2018年には1.1倍以上で不交付、2019年には定員を超えた分だけ補助金が減額されることになります。

これを受けて、2017年入試では、多くの大学が合格者数を減らしました。たとえば慶應大では昨年より1,283人、早稲田大では1,889人の合格者数減となり、いずれも10%以上の減少となっています。(「大学通信」調べ、一般入試<センター試験利用込み>)
そのため、多くの私立大学では倍率が上がり、厳しい入試となりました。

このことは、各高校の大学合格実績にも大きな影響を与えています。私立大合格者数そのものが減っているので、当然、多くの高校の私立大合格者数は減少しています。この傾向は、今後も続く可能性があります。ですから、単に合格者の人数だけを見て、「実績が落ちている」と判断すべきではありません。

合格者がいちばん多い大学、二番目に多い大学に注目

3月から5月にかけては、雑誌やインターネットで、東大・京大や早慶、MARCH、関関同立など、高校別の大学合格者ランキングが特集され、注目されるかたも多いかと思います。また、高校合同説明会に行くと、各校のブースに「東大3年連続合格」などと、難関大学の合格実績が貼り出されている場合があります。
数名でも難関大学の合格者数に目が行きがちですが、お子さまの志望校選択にあたってより注目していただきたいのは、その高校で合格者数の多い大学のほうです。明治大+法政大、日大+東洋大など、合格者の多い大学の組み合わせにはある程度傾向がありますので、合格者数1位・2位の大学を書き出してみると、ボリュームゾーンの生徒がどの大学を受けているのか、その高校の合格実績の現実的な面が見えてきます。

「量」より「率」に注目を

また、難関大学への合格実績に注目するなら、合格者数だけでなく、卒業者数も見比べて「合格率」を見ることも大切です。たとえばA高校は東大に10名合格、B高校は5名合格というデータだけを見ると、A高校のほうが優れているように見えますが、卒業者数がA高校500名、B高校200名とすれば、合格率はそれぞれ2.0%、2.5%となり、B高校のほうが優れているといえます。

高校のホームページをどう見るか

高校のホームページには、毎年、大学合格実績が示されることが多いと思いますが、表記のしかたは各校でまちまちです。「進学実績」「進路状況」と書かれていても、表記されているのは「のべ合格者数」である場合がほとんどです。その場合、たとえば「東大1・慶應大1・早稲田大1」と書かれていた場合、3人がこの3校にそれぞれ合格したのか、1人が3校を併願してすべて合格したのかはあいまいです。志望校選択にあたって、最も参考になるのは、実際にどの大学に進んだかを示す「進学者数」といえます。「進学者数」を公表している学校はまだ少ないですが、それをしている学校は「実力校」と言えます。 ホームページでの情報公開のしかたは、高校によって文化やカラーがあるようです。大学名だけで数字が出ていなかったり、過去3か年の実績といった表記の学校は、おおむね実績は芳しくないと判断していいでしょう。

このように、ホームページからも様々な情報は得られますが、数値だけではわからないこともたくさんあります。卒業生が実際に進んだ学部や進路とカリキュラムの関係など、気になることはぜひ学校説明会などで具体的に尋ねてみてください。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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