【中学入試】小学校で学ぶ基礎と「自己肯定感」が前提

思考力入試、適性検査型入試などと呼ばれる新しい入試が、近年増え続けています。これらの入試で求められている思考力や表現力をつけるために適した学習法について、2回シリーズでお話しします。

◆首都圏で思考力・適性検査型入試を行う学校は約2倍に

2017年の中学入試では、思考力入試、適性検査型入試、リベラルアーツ入試といった、新しい形式の入試を行う学校が大幅に増えました。首都圏でいえば、2016年の実施校は28校、実施回数が33回でしたが、2017年は45校・64回と2倍近くになっています(森上教育研究所調べ)。その内容は、教科融合型の入試、プレゼンテーションや討論、グループワークや調べ学習型など様々でした。
また、「思考力」等の名前を冠していない入試においても、身近な問題を材料に自分の考えを述べる、グラフや表、絵画・写真など資料から読み取れることを述べるなど、教科・単元を横断し、思考力・表現力を問う問題はますます増えてきています。

◆初めて見るような「非定型」の問題こそ基礎が大切

このような問題は、ひと目で「こう解けばいい」とわかるような決まった型がない「非定型」であることが特徴です。「こんな問題、見たことない!」と誰もが思うような問題なんですね。ただし、小学校で習う、各教科の基本的な知識や考え方を使えば解けるようになっています。非定型の問題こそ、基礎が大切なのです。
たとえば、手を使ってしっかり計算する力や割合、倍数・約数といった数字に親しむこと、数や量というものを感覚的につかんでおくことは必要です。また、近年の入試問題では、扱う文章や資料の量が増える傾向にあり、自分の言葉で書かせる問題も増えていますから、読む力・書く力はどちらも必須です。時事問題について考える場合も、理科や社会で学ぶ基礎的な知識はおおいに役立ちます。

ですから、特に4・5年生の間は、教科別の基礎的な知識をしっかり身につけさせることが大切です。6年生になったら、過去問題に取り組みながら慣れていきましょう。良質な過去問題に取り組むうちに、「この問題には、算数のあの解き方が使える」「社会のあの知識を使って答えを書けばいいな」というふうに、しだいに頭の中の引き出しが動きやすくなっていきます。

◆対話型の学習で考える力と自己肯定感を養う

思考力・表現力を問う問題の多くは、正解がひとつとは限りません。
「正解」を教えてもらうのを待つような受け身の姿勢ではなく、問題を自分なりに考えて、出した答えを人に伝えていく主体性が大切です。ところが、日本の子どもたちの多くは、「間違えてしまうのではないか」「こんなことを言ったら人にどう思われるだろうか」という気持ちを抱きがちで、なかなか自分の考えを言えない傾向があります。まずは、「感じたこと、考えたことを自由に発言していいんだ」「自分なりのものの見方や考え方は、基本的に尊重される」という自己肯定感を育てることが必要なのです。

そのために有効なのが、対話型(アクティブ・ラーニング型)の学習法です。いつからでも構いませんので、ご家庭でぜひ取り入れていただきたいですね。
たとえば、ある問題を材料に親子で話し合ってみてください。お子さまが「~だと思う」「~じゃないかな」と答えたら、保護者のかたは、「どうしてそう思ったの?」「もう少し詳しく教えて」などと、問いを返していきましょう。まずは「否定しない」ことが大切です。

次回は、対話型学習についてさらに詳しくお話しします。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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