進級前に確認! 知っておきたい5年・6年の課題[中学受験 4・5年生]
進級まであと数か月。新5年生、新6年生になる前に、整理しておきたい課題や目標についてお話しします。
<4年生>
伸び悩みやすい時期。意欲を失う原因は早めに見つけて
小学5年生から14歳頃までは思春期前期といわれ、論理的な思考力が伸び、感受性も大人に近づいてくる、発達の著しい時期です。この大切な時期、ぜひ自主的に学び、考える習慣をつけさせたいものです。5年生はちょうどその入り口にあたります。学習に集中できれば後々大きな成果につながりますが、その一方で学習に支障が出やすい時期でもあります。
まず、勉強が難しくなり、苦手意識が生まれやすくなります。学習時間が長くなるため、習い事との両立など、時間の使い方も大切になってきます。また、自我の芽生えとともに、人と自分の違いが気になり始め、学校や塾などでいじめなど人間関係の問題が起きやすくなります。心配事や悩みがあると、勉強どころではなくなってしまいます。
ですから、この1年は、勉強への意欲を失わせるような問題が起きていないか注意深く目配りをし、早めに対処するよう努めていただきたいと思います。
学習状況は2か月を目安に見直す
学習内容が難しくなるので、成績が下がることもあると思いますが、全体として平均程度の成績がとれていれば問題ありません。ただし、成績が1~2か月にわたって落ち続けている場合は注意が必要です。原因を突き止め、学習法や塾を変える、先生を変えるなど早めに手を打ってください。疲れて意欲が低下している場合、塾を1~2週間休むだけで元気になることもあります。休んだ後、復帰する週に学習する単元に集中して取り組み、良い成績をとれれば、自信の回復にもつながります。
いじめなどのトラブルが原因となっている場合もあります。お子さまの様子を注意深く見守り、学校や塾のお友達の保護者のかたともなるべく密にコミュニケーションをとって、深刻な事態にならないうちに解決の糸口を探ってください。
成績の良くない状況が続くと、ストレスも大きくなりますので、放置しないことが大切です。お子さまの学習状況は、2か月を目安に見直すようにしましょう。
5年生は「耕す」時期。成果より「継続」を目標に
成績が伸び悩みやすい時期ですので、性急に成果を求めるべきではありません。勉強を続けていれば思考力や表現力は伸びていきますが、その成果が見えるのは6年生以降になることが多いのです。疲れが見えたら早めに休ませ、外出などで気分転換をしながら、「だましだまし」学び続けることが大切です。無理を重ねて意欲がプツンと切れた状態になると、学習の再開が難しくなります。
5年生は、畑を耕して種をまく時期といえます。この1年、保護者のかたは「いつかは芽が出る」と割り切って、意欲低下の原因を取り除き、お子さまが楽しく学び続けられるよう、環境整備をしてあげてください。
<5年生>
目標は具体的に! 進級前に志望校の決定を
目標が具体的に見えないと、意欲はなかなかわいてこないもの。目標があいまいなまま勉強だけするというのでは、お子さまも不安になってしまいます。6年生になる前に、いくつかの学校をよく調べ、お子さまと一緒に学校見学に行く、ホームページやパンフレットを見るなどして、授業や学校行事の様子、部活動などについて具体的にイメージを膨らませながら志望校を決定してください。
そのうえで「この学校に行くにはあと1年で何が必要か」と考え、作戦を立てていきましょう。志望校への道筋が具体的に見えてくると、お子さまも心構えがしやすくなります。
理科・社会は「60点以上」をめざして
理科・社会に苦手な単元があるというお子さまは多いと思います。ただし、一般的に国語・算数に比べれば苦手克服に時間がかからない傾向があります。ゆっくりと、わかりやすく説明してもらえば理解できる単元も多いのです。理科・社会で極端に苦手な単元があると、難関校に挑戦するのは難しくなり、選択肢の幅を狭めてしまう可能性があります。
ですから、家庭学習や塾で取り組む問題の難易度が中程度であれば、できるだけ60点以上をめざすようにしてください。正答率60%、無理なら70%以上の問題は正答できるようにしましょう。正答率70%の問題が確実にできれば「基礎はOK」といえます。
苦手教科を丁寧に教えてくれる良い指導者を見つける
苦手教科、特に国語や算数については、一人ひとりの理解度を見て、語りかけながら教えてくれるような、良い指導者を見つけておきましょう。入試が近づくと「この難易度の問題はできるようにしなければ」といった課題が具体的になってきますので、わからないところをすぐに質問できるような先生がいれば安心です。
また、お子さまに「わからなかったら、すぐ先生に聞きなさいね」と声をかけておき、学校や塾、家庭教師の先生に気軽に質問する習慣をつけておくとよいですね。どこがわからないのか、教わる側が積極的に発信してくれたほうが、教える側も教えやすいものです。
この1年は、目標や課題をできるだけ明確にすることが大切です。お子さまはもちろん、学校や塾、家庭教師の先生、先輩保護者など、周囲のかたと話し合いながら課題を整理して、目標までの地図を描いていってください。
(筆者:森上展安)