[中1~中3生]進級前に話し合っておきたい将来と進路選択

新しい年を迎え、進級も間近な3学期は、少し長いスパンで先のことを考えるのに良いタイミングです。今回は、将来と進路選択についてお話しします。

不透明な時代だからこそ「変化」をチャンスととらえて

世界ではグローバル化・情報化がこれまでにないスピードで進んでおり、先の予測がしにくい状態となっています。
人工知能(AI)を研究しているオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授は、2013年に発表した論文の中で「今後10~20年程度で、約47%の仕事が自動化される可能性が高い」と予測しています。また、デューク大学(当時)のキャシー・デビットソン教授は、2011年、ニューヨークタイムズ紙のインタビューの中で「2011年にアメリカの小学校に入学した子の約65%は、大学卒業時に今は存在しない仕事に就くだろう」と語っています。「この仕事に就けば」、「この企業に就職すれば」将来は安心、といったことが見えにくくなっているのです。
とはいえ、技術革新等により、なくなる仕事がでてきたり、新しい仕事が生まれたりというのは過去にもあったことです。変化を恐れずチャンスと捉えることが、今後ますます必要となってくるでしょう。

グローバル化はさらに進み、世界市場が仕事の舞台に

世界の中の日本も大きく変化しつつあります。日本のGDP(国内総生産)の世界に占める割合は、一時は米国に次いで約18%を記録しましたが、1995年以降徐々に低下し、2014年には5.9%まで減少、今後も低下は続くと予測されています。世界経済に占めるGDPの割合は欧米も減少傾向にあり、成長を続けているのは中国、インド、東南アジア諸国です。アフリカでも、エチオピアなどが高い経済成長率を記録しています。国内市場は縮小傾向にあるため、多くの日本企業が海外にビジネスの力点を移しつつあります。

このようなことから、現在の子どもたちが大人になる頃には、今以上に多くの職種で世界市場を意識することが当たり前になってくると考えられます。新興国で働くケースも、さらに増えてくるでしょう。
グローバル社会で大切なのは、単なる英語力にとどまらず、価値観や背景の異なる人とも意思を通じ合えるコミュニケーション力や、どんな環境でも生きていけるタフさではないでしょうか。

目的ではなく、手段として「英語」や「情報技術」を学ぶ時代へ

グローバル化・情報化を受け、英語教育やICT教育の強化が検討されています。2020年度からの大学入試では、英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)を総合的に評価するため、民間の資格・検定試験を活用することが検討されています。同じく2020年度より、歌やゲームなどで英語に親しむ「外国語活動」の開始を小学校3年生からに早め、5年生からは英語を教科として学ぶことになりました。また、「プログラミング教育」も小学校で必修化されることとなりました。

近年は「英語格差」「情報格差(デジタルデバイド)」といった言葉も聞かれるようになりました。英語力や、コンピュータやインターネットなどの情報技術によって、収入や社会的地位などに差が生まれるというものです。たしかに、英語や情報技術を身につけていたほうが、将来、選択の幅が広がると考えられますが、それらは目的ではなく「手段」にすぎません。
英語や情報技術を役立てて「何を学ぶか」「何を成し遂げるか」が、今後ますます重要となってくるでしょう。

将来について話題にし、話し合う機会を

進路選択において最も大切な点は、「自分の特性は何か」「どんな道に進めば、自分の特性を生かし、社会に貢献できるか」を見極めることだと考えています。予測が難しい時代だからこそ、目先の利害にとらわれず、根本的なところを考えてみることが大切です。
お子さまは、将来どんな大人になりたいと考えているのでしょうか。そして、今の中学生が社会の主力になる2030年頃、世界はどのように変わっているでしょうか。その先の世界をつくりあげていくのが、今の子どもたちです。
この機会に、ぜひお子さまと、将来について話し合ってみてはいかがでしょう。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A