子どもの将来に対する保護者の考え方[中学受験]

中学受験生の保護者が考えている子どもの将来について調査した。子どもが男子と女子によって、どのような差異や共通点があるかについても分析してみよう。

下に掲げた表で、子どもの時と同様、「平均点」は「1.とてもそう思う~4.まったくそう思わない」を「1点~4点」として、回答者の平均を計算した。2.0点以下は肯定的(青)、2.6点以上を否定的(桃)、それ以外は「中間的」(緑)として色分けした。男子の保護者と女子の保護者で共通する肯定的な生き方は、(5)(7)(8)で、この3つの選択肢の平均値は、いずれも男子の保護者は女子の保護者よりも数値が低く、肯定的であった。特に、(8)は、「1.1点」で、93.9%の男子の保護者が「1.とてもそう思う」と回答している。同様に共通する「中間的」な生き方は(1)(6)だ。また、同様に共通する否定的な生き方は(3)で、男子の保護者は否定的だが女子の保護者は「中間的」な生き方は、(2)と(4)であった。女子の保護者に特徴的なのは、(3)以外に否定的な選択肢はないことだ。


お子さんの将来に対する保護者の考え方




生き方を分類すると、(5)(7)(8)は理想の人生(橙)、(1)(3)(6)は現実的な人生(紫)、(2)(4)は平穏な人生(黄)のように3つに分けられる。「平均点」のところでも述べたように、(5)(7)(8)の理想の人生は、男子の保護者と女子の保護者とも肯定的だ。子どもが社会に貢献し、自分の夢をかなえられるような人生を生きてもらいたいという願いがあるのは、男子の保護者と女子の保護者で変わらないことが分かる。

(1)(3)(6)の現実的な人生は、男子の保護者と女子の保護者とも「(3)他人に負けないようがんばり続けてもらいたい」は否定的で、(1)(6)については「中間的」で、現実的な人生を「中間的」としている傾向がある。現実的な人生は、意見が分かれ、二極化しているが、「2.まあそう思う」のほうが「3.あまりそう思わない」よりも多い傾向がある。(3)に否定的な傾向があるが、これは現実的な人生の否定ではなく、「他人に負けないよう……」という言葉に違和感があるのかも知れない。

このように、男子の保護者と女子の保護者で、共通点も多いが、(2)(4)の平穏な人生については、男子の保護者は否定的だが、女子の保護者は「中間的」と大きな違いがある。女子の保護者の、内訳を見ると「3.あまりそう思わない」のほうが「2.まあそう思う」よりも多少多く、現実的な人生と同様、二極化していることがわかる。理由として考えられるのは、女子の親としては平穏でも安全な人生がよいと考える人も多いのではないか。また、男子の親としては平穏なだけの人生は送ってもらいたくはないという保護者のほうが多いのではないか。

子どもの将来に対する考え方の場合は女子のほうが明確な傾向があったが、保護者の子どもの将来に対する考え方の場合は、男子の保護者のほうがはっきりしていた。また、男子の保護者は肯定・否定が明確だが、女子の保護者は「中間的」が多く、多様化しているが、それだけ人生の選択肢が多いということも考えられる。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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