「きっと泣いちゃう」寂しさとうれしさ 子どもの卒業式に保護者もじんわり
中学校の3年間を終えるころには、幼かった子どももぐんと成長しているもの。だからこそ卒業式に臨む保護者もまた感慨深いものである。寂しさとうれしさをじんわりと感じたというマンガ家のおぐらなおみ氏が、我が子の卒業式を控えた時期の心情を語ってくれた。
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「卒業するのさびしいなあ。」という言葉がムスメの口から
出始めたのは年が明けてからすぐの頃でしょうか。
一日一回は必ず聞いていたように思うので、
心の中ではさらにもっと多くの「さびしさ」があったのでしょう。
受験が終わってから「卒業式、きっと泣いちゃう。」という言葉に
変わったのは、卒業することがさらに現実的になったのだと思われます。
ムスメのクラスは男女ともに仲がよく、毎朝楽しそうに学校に行く姿は
何よりも安心できるものでした。
我が家では夕飯時に「今日あった出来事」を発表することになっていて
ムスメの番になると笑ってしまって食事が中断することもままありました。
時には「ちょっと重い話」の発表になってしまい、
箸を動かしながら涙声……なんてこともあったのですが、
次の日には学校に行き、なんとか自分たちの力で解決できたようですから
やっぱりクラスのみんなが基本的には仲がよく、団結していたのでしょう。
終わりを目前にして寂しさを感じられるような中学生時代を送れたのは
本当に、心からよかったと思います。
高校生活もそんなふうに送ってもらえたら
お母さんは本当にうれしい。
そういえば、とふと思い出して中学校の入学式の写真を見てみました。
友だちと二人で写っているのは泣きべそ顔のムスメ。
なぜかというとムスメはちょっとした忘れ物をしてしまったからなのでした。
式も目前だというのに、ムスメは家に取りに帰ると言う。
それをいさめて(時間が本当になかったので)あわてて撮った写真です。
ピカピカの制服を着て、泣き顔を悟られないようにしているムスメの
今よりずっと幼い顔を見ながら、本当に早かった3年間のことを
じんわりと思いつつ–。
おめでとう、卒業おめでとう。