就職氷河期の大学選びは「偏差値よりも就職実績」!?
就職氷河期といわれて久しい昨今。大学選びは偏差値よりも「就職実績や就職率で進路指導を行う時代が来る」と言う森上教育研究所主宰の森上展安氏が、大学での就活支援の実情を解説する。
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卒業生の就活支援を実施している中高一貫校での、就活支援のある講演会でのこと。就活セミナーの講師の方が、参加した学生に「現時点までに行われてきた大学の就活セミナーの内容」を尋ねると、そのほとんどが「企業への応募から内定までの手続き」「SPIテストなどの筆記試験対策」「マナー講座」「企業の人事担当者を招いた職種・業界・企業紹介」など、就職に必要な一般的な知識の伝達に止まっていました。
最も重要な、具体的な自分の「強み」の調査方法や、その「強み」をもとに将来行いたい仕事を考えるための自己分析を行っている大学は、10%にも満たなかったのです。
このことからも、大学の就活セミナーが実戦的ではないことは明らかです。もちろん、内定を取るための方法やテクニックを指導する大学はありませんでした。最も肝心な部分が学生任せになっており、これでは来年の1月ごろから始まるエントリーシートや面談に対応することは難しいというのが、講師の見解でした。
2011年から、大学は就職率等の情報公開を求められるようになりました。少子化のなかで生き残りをかけて、これまで以上に学生の就職指導に重点を置いています。しかしその実態は、これまでに行ってきた指導の焼き直しに過ぎない大学がほとんど。的を射た指導を行っている大学は少数で、その格差は大きいようです。
そういった就職指導面での大学格差がさらに大きくなっていけば、学生が希望する企業の内定を勝ち取れるかどうかは、学生個人の力量だけでなく、大学の就活支援の質によって大きな違いとなっていくでしょう。今後、大学の評価は入口の偏差値にとどまらず、より多面的になってくると思われます。