秋以降重要になる模試の効果的な受け方[高校受験]
秋に入ると、これまでの受験勉強での学力の進捗(しんちょく)状況を見るために、また志望校を絞るために、模擬試験を受けることになります。そこで、今回は模試について少しふれておきましょう。
■志望校の欄に難易度の低い学校も書いてみる
模試では、志望校欄に学校名を書くことで、各校の合格の可能性を出してくれるので、勉強を進めるうえで、ひとつの手がかりになります。志望校の欄には通常6校くらい校名を書けますが、そのうち1校くらいは思いきって難易度の低い学校を書くといいでしょう。今の段階でも「合格可能性80%」と出れば、それがどこであれ、お子さまはうれしくなって前向きな気持ちになるものです。
■目先の模試のための勉強はしない
模試での偏差値によって、出願できる私立高校が左右されるとなれば(中学校経由ではなく、受験生と保護者が私立高校と直接個別相談する都道府県もあります)、なんとしても模試で高い偏差値を取りたくなります。そのため、これからの時期に保護者のかたが陥りがちなのが「次の模試でいい結果を出すための勉強」をさせてしまう、というケースです。
しかし、目先の模試のためのこじんまりした対策(各教科ザッとひと通り目を通す、できなかった問題の解答・解説に目を通すなど)では、学力の骨格をなすような骨太な実力(自分のアタマで考える、長文の記述をこなすなど)は身に付きません。バレエの専門家から聞いた話ですが、「次の発表会のための練習ばかりしている子は大成しない」そうです。
先日のロンドンオリンピックで、各競技の中継を見ていて気付かれたかたも多いと思いますが、陸上100メートル、200メートルのボルト選手や水泳の北島選手といった個人から、サッカーのチームまで、大切なのは、決勝当日あるいは強敵との試合当日にピークを持ってくことです。
仮に模試の結果がよく、志望の私立高校に出願できたとしても、本番の入試で高得点を取れなければ受かりません。それに公立高校は模試の成績はまったく関係ありません。
ですから、保護者のかたは、早い時期の1回1回の模試で勉強法を変えたりするのではなく、長期プランのもとで着実に学力を伸ばすことを考え、本命校の試験当日にピークが来るようにお子さまを持っていってあげていただきたいと思うのです。