マイコプラズマ肺炎で9日間授業を受けられず、図形がわからなくなった[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小5女子(性格:神経質・論理的タイプ)のお母さま


質問

マイコプラズマ肺炎にかかり、9日間授業を受けなかったせいもあり、図形がわからなくなっていて理解するのに時間がかかります。


小泉先生のアドバイス

失われた9日間の授業内容の理解を早く終わらせることが重要。

「9日間授業を受けなかったせい」で図形がわからなくなるということは、十分にあり得ることだと思います。算数の各単元の中には非常に関連性の高いものがあり、単元Aを理解していないと単元Bの問題が解けないということがあるからです。たとえば、今回の話題である図形問題について、「立体図形」を中心にして関連した単元群を考えてみましょう(下図参照)。

まずは、「図形の性質」「平面図形」「立体図形」ですが、図形はこの順番に学ぶのが一般的です。「図形の性質」では、三角形や平行四辺形における角や辺の性質などを勉強します。また、合同や相似を学ぶのは、「平面図形」や「立体図形」で本格的に辺の長さ、面積、体積などを求めるための準備といって良いでしょう。これらの基本的なツールをしっかり学ばないと、「平面図形」や「立体図形」で大変困ることになります。もし、お休みされたせいでこのあたりの知識が抜けてしまったとしたら、図形がわからなくなるのは当然です。傷口が大きくならないうちに、早目の対処が必要でしょう。

図形が移動する時のある点の道のりやその図形が通ったあとの部分の面積を求める「図形の移動」も、図形の頻出問題です。移動する時の図形の動きを想像できないために、苦手とする生徒さんも少なくない単元でしょう。また、「図形の移動」の問題は、「速さ」の単元の知識が必要な難度の高い融合問題として出題されることもあります。このような問題では「速さ」は「図形」の関連単元となるため、「速さ」が苦手な生徒さんには特に難しい問題となります。

図形の問題では、これ以外にもほかの単元を含む問題があります。たとえば、図形の面積や体積を求める問題では「比の性質」を使うことが多くあります。中学受験においては「比」を使う問題は数多く出題されますが、それは方程式を使用することを避けるための手段のひとつです。ですから、「比」を上手に使えない生徒は、中学受験ではなかなか良い得点をとることができません。たとえば、「底辺比と面積比」などでつまずいている生徒さんも多いでしょうが、「比」も図形における要チェックの単元だといえます。

さて、このように図形の問題といっても、図形の基本的な知識のみが必要な問題からほかの単元の知識も必要な問題などさまざまです。なかなか難しいかもしれませんが、つまずいているところをはっきりさせることで一日でも早く弱点を克服することが大切でしょう。具体的には、9日間授業を受けなかった内容の単元をまずはチェックし、自学習または塾の補習にてその内容の理解と問題演習による定着をはかりましょう。さらに、図形問題の演習をしている時にお子さまがわからないと感じる問題が出てきたら、どこでつまずいているかはっきりさせて苦手を解消しておくことです。

苦手を放置しておくと、「わからない」の連鎖反応が広がり、やるべきことがどんどん増えていきます。塾で新しいことを学びながら、とりこぼしたところを学習するのはとても大変ですが、早目の修復はのちの学習を楽にします。お子さまの失われた9日間の授業内容の理解を、できるだけ早く終わらせることが重要だと思います。


【「立体図形」を中心とした関連する単元群】



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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