「当たり前のこと」するだけで海外での評価アップも

海外の企業に就職し、海外を拠点として仕事をすることも、決して珍しくなくなってきた昨今。“グローバル化”に向けて、子どもの学力、特に英語力を高めないと…と危機感を覚える保護者も少なくないだろうが、実際のところはどうなのだろうか。「公立高校と私立高校の比較」というテーマで、塾の先生や企業の代表らとパネルディスカッションを行った安田教育研究所の安田理氏は、その時のエピソードを元に、こんな話をした。

 

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(パネルディスカッションに来場した)保護者のかたに安堵の表情が浮かんだのは、企業のかたが個人的なエピソードとして、次のような話をした時です。

 

《地方の中堅私大を出た友人がいる。学業に熱心だったわけでもなく、これといった特技もない。国内に就職口はなく、しかたなく「ワーキングホリデー」を利用して海外に出た。数年して訪ねたところ、明るく元気に働いていただけでなく、現地の会社でマネジメントまでしている。「おまえ、どうしちゃったの?」と聞くと、「約束の時間の5分前には来ている、列に並ぶ、ゴミを拾う……といった日本人としては当たり前のことをしていただけで、こっちではすごく評価されるんだよね」という言葉が返ってきた》

 

「グローバル社会のリーダー」「社内の公用語は英語」「TOEIC(R)テストが600点以上ないと採用されない」……最近はそうしたことがしばしば報道されます。こうしたものを日々目にしていると、保護者のかたとしては焦ってお子さまのお尻をたたきたくなるかもしれません。

 

しかし中学生ともなると、本人に自覚がないところで、いくら叱咤(しった)しても効果があるとは限りません。こんなことを言うとお怒りになる方もいらっしゃるかもしれませんが、時にはわが子の実力を客観的に眺めることも必要なのではないでしょうか。

 

それでも、お話ししたようなエピソードに見られるような力を身に付けるくらいのことであれば、我が家でも「何とかなりそう」に思えませんか。「当たり前のことができる力」は間違いなくお子さまの将来を支えてくれる力のひとつになるでしょう。

 

出典:「当たり前」を育む夏に -ベネッセ教育情報サイト

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