2012年度入試問題　学校別分析4　【麻布中、筑波大学附属駒場中、開成中】[2012年度入試で何が問われたか＜算数＞　首都圏上位10校の問題を徹底分析　第5回]

　首都圏上位10校の入試問題を、1問1問、(1)難易度、(2)要求される能力、(3)目新しさという3つの軸から分析。その中から「合否を分けた問題」「合否に影響のなかった問題」「低学年でもじっくり挑戦させたい問題」はどの問題だったのかを、宮本算数教室の宮本哲也先生にお話しいただきました。
※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの宮本先生の講演を抄録したものです。

2012年度入試問題　学校別分析4　【麻布中、筑波大学附属駒場中、開成中】

　前回に引き続き男子校の分析を行います。
　今回は、麻布中、筑波大学附属駒場中、開成中です。

麻布中
　大問6題、小問17問の構成で、試験時間は60分です。出題の難易度は昨年度より下がりました。合格に必要な得点率は80％です。小問14問正解で82％ですので、3問しか落とせないことになります。

　大問1は立体図形ですが、くり抜く形、位置がわかりやすいので取り組みやすいです。親切な出し方といえます。全問正解しましょう。

　大問2は規則性の問題です。(1)(2)は規則性では珍しい論証ですが、難しくはありません。

　大問3は、難しくはないのですがちょっとくせ者です。目新しい問題なので、比の扱いに慣れていないととまどうかもしれません。比の扱いに習熟しておくようにしましょう。

　大問4は場合の数。非常におもしろい問題です。解いていてわくわくします。少し書き出せばしくみがわかりますので、低学年のお子さまにおすすめの問題です。

　大問5は、今年度のはやりの数の性質です。書き出せば解けるでしょう。全問正解したい問題です。

　「2012年度の合否を分けた1題」は大問6です。平面図形の問題です。(1)は簡単で、(2)はア→イ→ウとだんだんと難しくなっていきます。最後のウの問題がいきなり出題されたら非常に難しいのですが、とても丁寧に誘導的につくられているので、解きづらくはありません。

　今年度の麻布攻略のポイントは、難易度BとCの問題を避けて残りを全部正解するということです。ただ来年はもっと難しくなると思いますので、今年度以外の過去問もやって対策してください。


筑波大学附属駒場中
　大問4題、小問12問の構成で、試験時間は40分です。出題の難易度は昨年度より下がりました。合格に必要な得点率は85％です。小問1問しか落とせません。試験時間が男子校にしては非常に短く、40分しかありません。

　大問1は点の移動の問題です。筑波大学附属駒場中の点の移動の問題はくせ者であることが多いのですが、今年度はひねりのない単純な問題でした。7分くらいで全問正解したいところです。

　大問2は水量変化の問題です。条件がやや複雑ですが、難しくはありません。これも7～8分で全問正解したい問題です。

　大問3は今年度はやりの、数の性質です。一見あれ？と思うかもしれませんが、見た目は違っていても何度も解いているはずの問題です。(3)も丁寧に整理すれば難しくはありません。ただ書き出しにはまると時間を使ってしまうので、いったん飛ばすか、この問題は捨ててもかまいません。

　「2012年度の合否を分けた1題」は大問4です。条件整理の問題です。
低学年でもパズルが好きなお子さまであれば、この問題のような図をたくさん与えて、好きなだけ書き出させてみてください。書いているうちにパターンが限定されてくることがわかるので、すんなり解けます。「2012年度の合否を分けた1題」は、この問題です。試行錯誤を嫌がらずにできれば、この問題は解けますが、試行錯誤に慣れていないと(2)(3)はとまどうかもしれません。大問4が解けないと、今年度の筑波大学附属駒場中の合格は難しいです。


開成中
　大問4題、小問10問の構成で、試験時間は60分です。出題の難易度は昨年よりかなり上がりました。骨太で開成中らしい問題でした。合格に必要な得点率は70％です。

　大問1は条件整理の問題です。おもしろい問題でした。(3)は書き出しにはまると時間を使ってしまうので、時間がかかりそうだなと判断したらちゅうちょなく飛ばしてください。

　大問2は、(1)は簡単なのですが、(2)は非常に危険な問題です。気付けばあっという間に解けるのですが、気付かないと泥沼にはまってしまいそうです。回転体が苦手なお子さまは後回しにしましょう。

　大問3はぜったいに落としてはいけない問題です。焦らず確実に正解しましょう。

　「2012年度の合否を分けた1題」は大問4で、今年度のはやり、数の性質の問題です。
面白い問題です。(4)は難問なのですが、誘導が丁寧なので解きづらくはありません。開成中らしい重厚な問題です。ぜひ、時間無制限で解いてみてください。「2012年度の合否を分けた1題」は、この問題です。大問4が全部解ければ大丈夫だと思います。

各中学校の入試問題はこちらでご確認ください
麻布中学校　10年間入試と研究　平成25年度用中学受験　2	筑波大学附属駒場中学校　10年間入試と研究　平成25年度用中学受験　1	開成中学校　9年間入試と研究　平成25年度用中学受験　3