6年生になって、国語の問題文が難しくなったりしたせいか点数がとれなくなってきた[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6女子(性格:大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま


質問

本なども好きでよく読んでおり、国語は5年生くらいまでは割と得意で、点数がとれる科目でしたが、6年生になって、問題文が難しくなったりしたせいか点数がとれなくなってきてしまいました。マーカーなどを使用したり工夫はしていますが、記述問題などが多くなると時間を取られて最後まで解ききれなかったりもします。


小泉先生のアドバイス

マーカーの使用から、説明的文章を読むことに慣れていない可能性が高いように思われる。

「5年生までは得意だったのに……」というのは、よく耳にするお悩みです。原因はいろいろ考えられますが、ご質問の文面から推測できるものを中心に考えていきたいと思います。

まず、考えられるのは、文章を「論理的」に読まずに感覚的に読んでいる可能性です。お子さまの性格は、「大ざっぱ」で「感情的なタイプ」ですから、ものごとを大きく感覚的にとらえる傾向があると思います。感覚的に問題を解きますと、低学年や中学年のうちは良いのですが、高学年の論理的な問題には対処できなくなってきます。問題文の解釈や問題の答がずれてきて、点数も下がってきます。

次に考えられるのが、説明文や論説文などの説明的文章を読むことに慣れていない可能性です。お子さまは本はお好きということですが、おそらく物語を読むことが多いでしょう。しかし、入試では物語文のほかに説明的文章や随筆も出題されます。随筆はまだしも、読み慣れない論理的な説明的文章にはかなり手を焼いているのではないでしょうか。それは、「マーカーなどを使用したり工夫はしていますが」というところからも推測されます。つまり、苦手な説明的文章を読む時に、集中力を増すためにマーカーを使っているのではないかということです。実際、説明的文章を読む時にマーカーを使用する子どもが増えているように感じます。塾内の模擬試験の時は、マーカーの使用を許している塾もあるとも聞きます。
しかし、本来はマーカーなど使わなくても鉛筆だけで十分なはずです。マーカーでマークしていくと時間も余計かかりますし、そもそも、本番の試験では「鉛筆・消しゴム・定規・コンパス以外のものを机の上に出しておいてはいけません」などの規定もありますから、試験にはマーカーはそぐわないでしょう。集中して読めるようになったら、徐々にマーカーから鉛筆に持ち換えていく必要があります。

あるいは、記述問題を解く時に時間がかかり過ぎているのかもしれません。記述問題の解き方を知らないか、あるいは「書いては消し、書いては消し……」をくり返している可能性が考えられます。もし後者であれば、書き方ではなくて問題文の読み方に問題があると思います。つまり、問題文がきっちりとは読めていないのです。記述の場合は書くべきことがぼんやりしていると、なかなか答案が仕上げられません。迷っているうちに時間がなくなってきて、残りの時間であとの問題をバタバタと片付けることになります。当然、良い結果が出るはずはないでしょう。

以上、お子さまの性格や文面の内容から、原因をいくつかピックアップしてきました。中でも、マーカーを使用していることから、説明的文章を読むことに慣れていない可能性が高いように思われます。
しかし、結論は急がずに、まずはお子さまが実際に問題を解いているところをじっくり見てみましょう。物語文に比べて説明的文章の読み方が遅い、記述問題の書き直しが多い、また、物語文の記述と比べて説明的文章の記述にやけに時間がかかる、などの特徴的な現象を見つけ出してください。説明的文章の読解が苦手ならば、論理的な文章の読み方を学び、さらに入試に頻出のテーマの問題文を多く読んで慣れてください。また、単に記述問題が苦手なら記述の書き方を学ぶ必要がありますが、説明的文章における記述だけが苦手なら、書き方というよりは文章がしっかり読めていないということになると思います。

原因は人によってさまざまですし、ひとつだけではなく複数の要因が重なっていることもあります。お子さまの様子をじっくり見て、原因を突き止められれば、まずは解決の一歩を踏み出したと言えるでしょう。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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