うまく文字数を調節して記述することがまだできません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小3男子のお母さま


質問

まだ3年生なのであまり難しい問題にあたった事はありませんが、長文から一部を抜き書きしたり、文中の言葉を使ったりして答える問題のときに、うまく文字数を調節して記述することがまだできません。作文でもあまり簡潔に書きすぎて、詳しいことがよくわからない内容になってしまっているようです。好きな読み物は『かいけつゾロリ』シリーズ等の冒険ものです。


小泉先生のアドバイス

事前に構想を立てる、最後のほうで調整するなどして、≪極力消さない≫という気持ちを持つ。

「抜き出し問題」を解く時のポイントは、「どのようなもの」を「どのくらいの大きさ」で抜き出すかの2点です。
「どのようなもの」とは、まずは、自分が探しているのはどんなものか(たとえば「場所」なのか「行動」なのか)をはっきりさせるということです。このことを明確にしないで、その字数にあてはまりそうな部分を探そうとする子どもがいますが、それでは力がつかないでしょう。
「どのくらいの大きさ」とは、条件の字数は「どのくらいの長さ」(字数が比較的少ない時)、あるいは「どのくらいの面積」(字数が多い時)なのかの目安をつけることです。問題文によって一行の字数が異なりますから、求めるもののだいたいの大きさを推測することは非常に大切です。そして「これかな?」と思えるものが見つかったら、字数をしっかり数えていきます。字数が多い場合は、たとえば10字ずつ区切りながら数えると正確に数えられるでしょう。

文中の言葉を使って答える場合(つまり記述問題の場合)も、「どのくらいの大きさ」で答案を仕上げるかという目安をつけることが大切です。たとえば解答欄が大きければ、それだけの量の答案が期待されているということです。問題作成者が問題を作る時は、模範解答とそれを書くのに必要な大きさの解答欄を用意するのが普通だからです。すなわち、1行分の解答欄と3行分の解答欄では、おのずと期待される答案の大きさが違う可能性が高いということです。大きな解答欄にわずかしか書いていない場合は、減点される(あるいは×になる)可能性が高いことをしっかりお子さまに認識させましょう。

字数制限のある記述の場合も、目安をつけることが重要です。制限字数が30字程度の場合は、書くべき内容を決めたら、制限字数にあわせて「文字を削っていく」という作業を行うことになると思います。逆に、30字を超えて50字、100字と字数が多い場合は、全体をいくつかのブロックに分けて、ブロックごとに内容を決め、最後にそれらを「組み立てる」という作業を行うことになると思います。このように字数によって全体のまとめかたが違ってくるので、十分に演習を繰り返して慣れることが大切です。
そしてだいたいの構想(おおよその内容や量)が決まったら、いよいよ書きはじめるわけですが、構想がしっかりしていないと「書いては消して」を繰り返すことになります。お子さまがそのような状態であれば、まずは何を書くのかを明確にしてから書くように指導してください。

字数制限がある問題の場合、答案の字数は制限字数の80~100%で仕上げるようにします。たとえば30字の字数制限があれば、24字以上、30字までで書きあげるということです。句読点も一字に数えるのが一般的ですから、字数を超えないように調整して仕上げます。たとえば「~思っていたから。」としたところ字数オーバーになってしまったなら、「~思ったから。」などにして文字を調整するということです。答案の内容の意味が変わらないことは前提ですが、できるだけ最後のほうで調整するほうが時間的にも短縮できます。このような調整もやはり何回か繰り返して、上手になってくると思います。

「入らなかったら消せば良い」というのではなく、字数内におさまるように事前に構想を立てる、なるべく最後のほうで調整するなどして、≪極力消さない≫という気持ちを持つことが大切だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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