-
総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
生活・健康・安全アドバイス - 家庭での対応
高熱が出たときの急患にかかる目安や、座薬の使い方などを教えてください。
2歳8ヵ月になる女の子です。先日風邪で高熱が4、5日続き、夜中に急患で病院に行きました。急患で病院に行った方がよいかどうかの目安についてや、熱の高さについて教えていただきたいと思います。40度を越えても、子どもの状態が落ち着いていれば、翌日を待っても大丈夫でしょうか?
また今回は、座薬を夜中に2回ずつ3日も使用してしまいました。今は熱が下がってから1週間くらいたっていて、特に問題はないように見えますが、あとになって障害が発生するということもあるのでしょうか?
頭や体を冷やし、水分を十分に取っていれば翌日を待っても大丈夫だと思われます。ただし、けいれんなどの場合はすぐ受診する必要があります。
子どもは大人と比べて熱を出すことが多く、しかも高熱となる傾向があります。
子どもに特有なはしか(麻疹:ましん)、風疹、突発性発疹などが有名ですが、通常はウイルス性の風邪症候群による熱の場合が多く、数日でよくなります。
急患室で「とにかく解熱剤をください」とおっしゃるかたがいますが、熱が出るということは体が必要だから熱を出しているのです。また、熱を無理に下げてしまうと本当に病気がよくなって熱が下がったのかどうかがわからなくなってしまいます。最近では、熱が出たときにすぐに熱を下げるための注射とか、座薬(肛門:こうもんから挿入する薬)を使うことは推奨されていません。
むしろ、ある種の解熱剤はライ症候群(急激な脳の浮腫:ふしゅをきたしけいれんと意識障害を起こす)やインフルエンザの場合インフルエンザ脳症を起こす引き金になる可能性があり、できるだけ使用しないように勧告が出されています。熱があるときは頭や体を水や氷で冷やすことと、水分を十分に取ることの方が重要です。この方が、自然に体温を下げ、熱の副作用を少なくするのに効果があります。このような処置をしていれば、すぐに急患室に連れてこなくても、翌日の朝まで様子を見られてもよい場合がほとんどです。
すぐに連れてくる必要があるのは、けいれん(全身けいれんであることもありますし、半身だけの場合もあります)がある場合、眠ってばかりいるとか、嘔吐(おうと)がある場合、下痢が激しいとき、呼吸を苦しそうにしているような場合などです。
このような場合では、まず座薬を使うのではなく、すぐに病院に連れてきてください。熱性けいれん、急性脳症、脳炎、髄膜炎、気管支炎、肺炎、急性下痢症などが疑われます。
なおご相談の中で、お子さんに座薬を1晩に2回、3日間使われたようですが、これは通常の発熱に対しては使いすぎだと思われます。特に今までのところ問題はなかったようですし、これから何か障害が出るようなことはないと思われますので心配ありません。
薬で熱を下げるということは病気を治すということとは違うということを念頭においてください。