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総合監修:二瓶 健次 先生
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生活・健康・安全アドバイス - 家庭での対応
ありがとう、ごめんなさいなどが言えません。強く言うと泣きだしてむせて吐きそうになります。
3歳になった女の子です。じょうずにおしゃべりできますが、ありがとう、ごめんなさい、こんにちは、などがいえません。
ものすごくはずかしいようなのです。大切な言葉なので、娘に言わせようとしますが、かたくなに心を閉ざし、ふさぎこみ、強く言うと泣き出しむせて吐きそうになります。やさしく、おだてぎみに言っても言えません。まわりの同年代の仲良しのお友達5人がみなありがとうと言ってお菓子を食べるなか、うちの子だけがありがとうが言えず、食べないという状態です。
理由を聞くと、だまりこみます。1歳半ごろまでは、活発でした。仲良しなお母さん友達に何でも言える子でした。2歳になってすぐ下の子が生まれました。赤ちゃんの存在が内気な性格になった理由なのでしょうか?
無理に言わせようとするのは逆効果になってしまいます。遊びの中でいろいろな場面設定をして楽しくやりとりができるように、しばらくはお母さんが代弁してあげて下さい。
あいさつは人と人の関わりをスムーズにする社会的なマナーとしてとても大切なことです。
1歳を過ぎると最初はまねをしながら、人と別れる時に「バイバイ」の動作ができるようになったり、母親が「ありがとう」と声をかけるとぺこっと頭を下げたりすることができます。2歳を過ぎるとあいさつの仕方がきちんとわかるようになり、言葉の急激な発達とともに声に出して「こんにちは」「ありがとう」「ごめんなさい」などが言えるようになります。
本来3歳位になるとお友達がしていることと同じようにしたいという気持ちが強くなり、お友達がお菓子を食べていれば自分もそこで一緒に食べることの楽しみがわかってきます。「ありがとう」を言えばお菓子を食べられるとわかっていれば、お友達につられてモジモジしながらでも子どもは「ありがとう」と言おうとします。
ご相談のお子さんは自分だけ食べずにみんなの輪の中にいなくても平気で、それよりも絶対に言わないという状況のようですね。
活発だったという1歳半の頃は「バイバイ」や頭を下げてあいさつをすることはできていたのでしょうか?
また、お子さんの現在の状態は一方的なおしゃべりではなく会話として言葉のやりとりができているか、人の話をきちんと聞いて指示に従うことができるか、同年齢のお子さんの中に自然に交わり、コミュニケーションはとれているのか、人前で緊張、不安が強く対人関係の取り方が少し難しい、などお子さんの全体的な発達に関する経過はどうでしょうか。
お子さんの場合は消極的、恥ずかしがりやといった性格の問題よりも少し社会性の未熟さやコミュニケーションの苦手さがあるように感じられますが、ご心配であれば一度発達の専門機関を受診され、お子さんの発達の状況を把握されておくとよいかもしれません。
あいさつの場面で無理やり言わせることは避けたほうがいいでしょう。ますます抵抗し逆効果になります。
お母さんが「ありがとう」と代弁して、お子さんの頭を少し下げさせるようにするとよいでしょう。この時、相手の顔をきちんと見るように声かけも必要です。また、おもちゃを使って様々な場面設定をしながら、やりとり遊びができるとよいでしょう。
例えばままごと遊びやパペット(指人形)などを使って、お子さんとお母さんとの関係、お友達との関係など具体的にどのような状況でどのような言葉を使うかを遊びの中で教えてあげるのがよいでしょう。