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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
生活・健康・安全アドバイス - 家庭での対応
大人が一度口に入れた食べ物をあげてはいけないと聞いたけれど、いつまで心がけていればよいですか?
ミュータンス菌を防ぐために、大人が口に入れた食べ物を子どもに与えない、お箸を共有しないと聞きましたが、いつまで心がければよいのでしょうか?
どうしてもということであれば、歯みがきができないうちは、避けた方がよいと言えます。ただし、お箸の共有などは、親子のスキンシップや集団生活上必要なことでもあります。
赤ちゃんは胎内にいるときは無菌(ばい菌のまったくいない)状態ですが、生まれたときからばい菌にさらされます。
ミュータンス菌もほとんどの人の口の中にある通常の細菌です。このミュータンス菌はねばねばした不溶性グルカンという物質を作り出して、酸を出す菌が歯の表面にくっつきやすくて、出てきた酸が歯の表面にずっととどまります。その酸により歯の表面からカルシウムが溶け出して、虫歯を作るのです。
虫歯の多い大人の口の中にはこのグルカンを多く出す型のミュータンス菌がたくさんあり、これが子どもの口の中に定着すると虫歯ができやすくなると言われています。
虫歯は一種の母子感染ですが、この感染を完全に防ぐのは不可能です。おうちのかたが味や熱さを知るために口をつけたものを与えるとか、お箸を共用するのは親子のスキンシップや集団生活上必要なことでもあります。
したがって何よりも大事なのは、おうちのかたの口の中の細菌を減らすことです。
虫歯や歯周病があったらすぐに治療を受け、きちんと歯みがきを行い、口の中を清潔に保つことです。お子さんに食事を与えるときは、おうちのかたは手を洗うと同時に、コップ一杯の水でうがいをしましょう。
ただし、虫歯になる原因は菌だけではなく、ほかの要素が重なってできるものです。お箸やスプーンの共有をさけるよりも甘い食べ物の制限や歯みがきで対処する方が健全な考え方と言えるでしょう。
ただし、大人が口に入れ噛んで軟らかくしたものをあげるのは止めましょう。これは大量の菌が含まれているのと、子どもが噛み砕いて食べるという機能の発達を奪ってしまいます。