-
総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
生活・健康・安全アドバイス - 家庭での対応
すぐに高熱を出し、解熱剤(座薬)を処方されるのですが、あまり使わない方がいいのでしょうか?
1歳1ヵ月になる男の子なのですがすぐに高熱(39度以上)を出します。
解熱剤(座薬)を処方されるのですが、まわりの人たちにできる限り使わないように(風邪のウイルスと戦わせないと駄目だ)とアドバイスされるので一度39.4度出たときに使ったきりになっています。
座薬というのは熱から来る苦しみを一時的でも楽にさせてあげるためのものだと思っていたのですがどうなのでしょうか? あまり使わない方がいいのでしょうか?
そのときのお子さんの状態にもよりますが、解熱剤(座薬)を使うことはおすすめしません。
乳幼児期にはいろいろなウイルス感染(突発性発疹(ほっしん)、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザ、その他風邪など)や細菌感染(扁桃腺炎(へんとうせんえん)、中耳炎など)にかかりやすく、熱を出すことが多いですね。
おまけに子どもはすぐに39度を越す高い熱を出します。
しかし、熱が出ていることは体に感染が起こっていることの証拠でもありますし、熱を出すことによって、免疫反応を高めて病気を治そうとする自然で生理的な現象とも考えられています。
ですので、解熱剤で熱を人工的に下げることは、必要がないとされています。熱が下がったことによって病気が治ったのか、単に薬で熱が下がっているのか区別がつかなくなってしまうことのほうが問題です。
熱が下がったので少し元気が出て外に出したりすると薬が切れるころに、また高い熱が出てしまうことがあり、かえって病気を長引かせることにもなります。
また、解熱剤の副作用のことも考えなくてはなりません。
アスピリンやスルピリンという解熱剤が小児のライ症候群という脳症を引き起こす可能性があることが指摘されています。またインフルエンザのときに、ある種の解熱剤(メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウムなど)を使うことが脳症という症状を引き起こしやすい可能性が指摘されています。
大人の場合は、熱があっても仕事に出なければならないことがあり、解熱剤で一時的に熱を下げてがんばることはありますが、子どもの場合は、その必要がありませんね。
薬で下げるよりは、額や首、わきの下などを冷やし、水分を十分与えることが効果的ですし理にかなっています。
お子さんによっては、高熱で痙攣(ひきつけ)を起こすこと(熱性けいれん)がしばしばありますが、この場合でも、解熱剤をまず与えるのではなく、痙攣を止める座薬を与えることが優先されています。
しかし、一時的にしろ熱を下げることが子どもにとって意義がある場合、熱の原因がわかっていて、高熱が体に悪い影響を与えると判断される状態のときや、解熱剤が病気の治療として用いられるような場合は解熱剤を使用します。
その都度よく主治医とご相談ください。