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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 歯に関すること
熱い食事を冷ますために息をかけますが、この息に唾液(だえき)が含まれていれば、親のもっている虫歯菌をつけることになりますか? また虫歯菌は熱で死ぬのでしょうか?
親のもっている虫歯菌が気になります。食事をあげるとき、同じスプーンを使用しないなど気をつけているのですが、熱い食事を冷ますために息をかけて冷ましてあげています。この息にも、もし唾液(だえき)が含まれていれば、虫歯菌をつけていることになるのでしょうか?
また、虫歯菌は熱で死にますか?
虫歯の原因はほとんど母子感染です。おうちのかたの虫歯菌はお子さんに移行しますので、おうちのかたの日ごろの口腔(こうくう)衛生が何より大事です。また虫歯菌は熱で死にます。
虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、その約80%が母親から子どもに移行します。すなわち虫歯は典型的な母子感染です。
一般に感染症とは、入ってくるばい菌(微生物)の強さと量に対して、生体側の抵抗力との戦いです。したがって虫歯菌が入ってきたからといって必ず感染するわけではありません。
まずおうちのかたの口の中に虫歯があれば、徹底的に治療し、朝晩きちんと歯をみがき、口の中を清潔に保ち細菌の数を減らすことです。
例えばコップ1杯の水でうがいをすると、口の中の細菌は75%減少し、歯ブラシでみがき、うがいをすると90%減少します。
したがってお子さんに食事をあげるときは、その直前に歯みがきをするか、うがいをすれば唾液中にほとんど細菌はいない状態になり、相当安全になります。お子さんに食事を与えるとき、おうちのかたは手を洗うと同時に、うがいをする習慣を身につけるとよいでしょう。また生体側を強化するためには、歯が生えたらフッ素剤を使うとよいでしょう。
人は多くの細菌やウイルスと共存しています。むしろ私たちは多くの微生物のお陰で健康に生きていられるのです。人を無菌にすることは不可能です。また虫歯菌は熱で死にます。食器を煮沸すれば消毒できます。
このようにすればスプーンやお箸を共有しても、食べ物の熱さを知るためにおうちのかたの舌でさわるのも、またお子さんのほっぺにちゅっとするのも、親子のスキンシップとして大切なことと思います。あまり神経質にならないようにしましょう。
ただし、おうちのかたの口で食べ物をかみ砕いてあげるのはやめてください。これは細菌も多量に入りますが、お子さんのかむ機能の発達を奪うことにもなるからです。