-
総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
病気と予防アドバイス - その他の症状
痛いことがあっても泣きません。テレビで無痛無汗症について報道されていましたが、心配です。
痛いことがあっても泣かないので、逆に心配になります。痛くなくて泣くときはあります。
例えば注射のときにも、顔にボールペンが当たり皮膚が擦りむけ血がにじんでも、テーブルの角に頭をぶつけて目の上に赤くタンコブができても泣きません。家の中を、はいずり回ります。たぶん、目も見えていて聞こえも発達していると思います。
先日、無痛無汗症をテレビ番組で見て、わが子のことも心配になりました。
無痛無汗症の可能性については、もう少し詳しく本人の様子をうかがう必要があります。
先天性無痛無汗症という病気は極めてまれな病気です。
この病気は生まれつき痛みや熱さを感じることがありませんので、歯が生え始める乳児期では口の粘膜を歯で傷つけたり舌や唇をかんだり、舌で歯を押し出して、歯が抜けてしまったりします。熱い飲み物で口の中を火傷(やけど)したりすることもあります。もう少し年齢が大きくなると行動範囲が広がるために、大きなケガや火傷(やけど)を繰り返すようになります。
また、汗をかくことができませんので、いつも皮膚は乾燥しています。外気の温度が上がると汗による体温の調節ができないために、体温が異常に上がってしまいます。そのため乳児期ではしばしば原因不明の高熱として気づかれることがあります。また、痛みの感覚がないけれども、汗はかくという無痛症だけのタイプもあります。
しかし、無痛無汗症といった病気がなくても、痛みの刺激に対してあまり泣いたりしないお子さんもいます。がまん強い子どもだとほめられることもあります。また、何らかの原因で発達が遅れているような場合にも、痛みに対する反応が少し低下することがあります。
ご相談のお子さんは現在8ヵ月ですが、歯は生えていますか、口の中はどうですか、暑いときに体や顔に汗をかいていますか、原因不明の発熱があったことはありませんか。この様なことがなければ心配ないと思います。
ご心配であれば、小児神経を専門とする小児科を受診するのがよいでしょう。この病気はきわめてまれな病気であり、10年ほど前に、先天性無痛無汗症の親の会が設立されましたが、親の会に所属している人は現在60名くらいで、日本全体でもせいぜい200人くらいと思われます。親の会にお問い合わせになっても良いです。