二瓶 健次 先生

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目について2歳7ヵ月
寄せられたご相談

絵本や積み木で遊んでいるときに、何色かを聞くと迷っているようで、色の識別ができていないのではと心配です。

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絵本や積み木で遊んでいる際に気になることがあります。
「ピンクはどれ?」と質問すると迷うことなくピンクを指差します。黄色も同様に指差しできます。ただ、赤・青・緑・オレンジに関しては、同じように聞くと迷っていろいろな色を指し、こちらの様子を見て、また別の色を指すといった感じです。ふだんの生活で特に問題もなかったので性格的なものかなと思っていたのですが、最近は色の識別ができていないのではと心配になっています。
成長の過程でしょうか? しばらく様子を見た方がいいのか、それとも眼科などで検査してもらった方がいいのでしょうか?

先生からのアドバイス
仁科 幸子 先生

小児の色覚異常のほとんどは先天色覚異常ですが、小児期に正確に判定することは困難です。ほかに目や脳の疾患があって色を混同する可能性がないとは限らないため、眼科や小児科を受診してみてください。

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本当に色の識別ができていないのか、それとも色の名称が理解できていないのか、2歳半という年齢では判断が極めて難しいと思います。子どもの発達の過程で、色の概念の理解がどのぐらいかというと、2歳過ぎで赤、青などの名称を聞くと指差しが可能になり、3歳になると基本的な色の名称を答えることができるようになります。多くは赤、青の理解からスタートしますが、お子さんによっては自分が好きな色あるいはふだん目にすることが多い色から覚えることもあります。
ご家族やご親戚(しんせき)に、どなたか色覚に異常のあるかたはいらっしゃいますか?

小児の色覚異常のほとんどは先天色覚異常です。目の奥の網膜には、色を識別する錐体(すいたい)細胞があり、赤、緑、青の3種類の錐体色素があります。その中のひとつの錐体色素が欠損している状態を色盲、不完全な状態を色弱と従来は言っていましたが、頻度が高いのは赤色素の不完全な第1色弱と、緑色素の不完全な第2色弱です。
現在は色弱、色盲という表現は不適切なため、使われません。(注:実際には色覚異常という表現も使わない傾向になってきています。1型色覚、2型色覚、3型色覚などと呼ばれますが、理解しにくいと思うので、このままとします)
遺伝の形式としては、性に関係する伴性(X染色体)劣性の遺伝形式をとるため、程度はさまざまですが、日本人では男児の約5%に見られます。女児は0.2%以下に見られ、遺伝的保因者が10%程度と言われています。

色覚異常を見分ける簡単な検査には、3〜4歳からできる検査もありますが、小児期には正確な診断や色覚異常の程度を判定をすることはできません。
色覚はそれぞれの人がもつ素質ですので、変えることはできませんし、進行するものでもありません。
程度が軽い場合には、日常生活に支障をきたすことはほとんどありませんが、状況によって混同する配色があるため、進学や就職へ向けて、適切な時期にきちんとした検査を受けておかれるとよいと思います。

お子さんの場合、年齢的に色覚異常かどうか判定することはできませんが、ほかの目の疾患や脳の疾患があって、色を混同する可能性がないとは限りません。眼科や小児科を受診して、一度ご相談なさってみてください。

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プロフィール


二瓶健次

東北大学医学部卒業。東京大学小児科、自治医科大学小児科を経て、 1979年から2001年まで国立小児病院神経科医長、 2001年から2004年まで国立成育医療センター神経内科医長 、2006年から、東京西徳洲会病院小児センター神経・発達部勤務。 小児神経学、発達神経学が専門。

プロフィール


仁科幸子

医学博士、国立成育医療研究センター 眼科診療部長。慶應義塾大学医学部卒。専門は小児眼科学、弱視斜視学。日本眼科学会専門医。