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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 皮膚に関すること
皮膚がカサカサしたり出血するため、アレルギー検査を相談したところ、食べたことのない食品について検査をしても意味がないと言われましたが、本当でしょうか?
3ヵ月ほど前から、あごの皮膚がむけて出血し、その後ほおの皮膚がゴワゴワになり、左わきの前面の皮膚もカサカサしています。肌の保湿や加湿器、掃除、入浴時の塩素除去などスキンケアは自分なりにやっているのですが、一進一退でよくなりません。
食物アレルギーが心配になり小児科にアレルギー検査を相談したところ、食べたことのない食品について検査してもわからないから意味がないと言われました。
離乳食でたんぱく質のものを進めようと思っているのですが心配でためらっています。本当に意味がないのですか。
母胎からへその緒を流れる血液や母乳を介して、また空中やホコリに含まれる食物抗原を肺や皮膚から吸収することもあるため、食べたことがなくても、食物アレルギーになっていることは現実にありますので、必ずしもアレルギー検査が無駄なことはないでしょう。
基本的には、食べたり肌にふれたり気道から吸い込んだりなど、何らかの経路で食べ物の抗原(アレルゲン)が体の中に入らなければアレルギーにはなりませんので、食べたことがない食品についてはアレルギーになっていないと考えるのが合理的に思えるかもしれません。
しかし現実には、赤ちゃんの胎内には母胎からへその緒を流れる血液を介して、母親が食べた食物抗原の一部が入る可能性がありますし、母乳を介してや、空中やホコリに含まれる食物抗原を肺や皮膚から吸収することもあります。
また、肌の状態がつるつるでない場合は皮膚からも食物抗原が吸収されます。ですから、赤ちゃん本人が食べたことがなくても食物アレルギーになっていることが現実にはあります。
ただ、検査をして何らかの食物抗原に対する特異的IgE抗体価(ある特定のアレルゲンに対する抗体を測定した場合の値)が高いことがわかっても、必ずしも食物アレルギーとは限りませんし、湿疹(しっしん)やアトピー性皮膚炎の原因であると決めつけることもできません。
あくまで、その食物を除去していれば何も症状が出なくて、食べると症状が出てしまう、ということが確認できた時点で初めて食物アレルギーと診断できます。
この場合、食べたことのない食物抗原に対するアレルギー感作が既に成立している赤ちゃんでは、初めて食べた場合でも量が多いとショックを起こすことがあります。従って、事前に何種類かの食物抗原の特異的IgE抗体価を検査したり、皮膚でプリックテストをしたりするのは無駄なことではありません。
陰性なら食べさせることができますし(ごくまれにはアレルギー反応を起こす人もいますが)、高い数値を示した食品に対しては、経過を見て数値が下がってから摂取を開始したり、病院で負荷試験を行って白黒はっきりしてから食べさせたり、それなりの対策を考えることができるからです。