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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
体の部位アドバイス - 皮膚に関すること
左胸の乳首の乳輪部分に苺(いちご)状血管腫があります。デリケートな部分なので、今後の対応を教えてください。
1歳1ヵ月の女の子(双子の1子)ですが、左胸の乳首の下側・乳輪部分に赤色の膨らみがあります。生後10日ぐらいから目立ち始めました。
健診で小児科医より苺(いちご)状血管腫と言われていて、成長とともに治る場合もあると言われています。いまだ膨らみもあり直径1.5cmほどですが、小さなうちのレーザー治療の方がよいのでしょうか?
しかし乳首近くの乳輪部分とデリケートな部分なので、どうにも悩んでしまいます。経過観察と治療のタイミングについてのアドバイスをお願いいたします。
苺状血管腫は通常生後6ヵ月を過ぎると自然に小さくなり、6歳ころまでにはほぼ赤みはなくなります。もとの大きさによって、ほとんど跡形もなく消えてしまうものもあれば、瘢痕(はんこん)やしわ、皮膚のたるみが残るものがあります。残りそうな大きさのものは、できるだけ早くレーザー治療をする必要がありますので、まず皮膚科専門医にご相談ください。
苺状血管腫は生後すぐにはありませんが、1週間前後から赤い斑状(はんじょう)のものができ、みるみる大きくなります。
苺のように真っ赤で表面が少しでこぼこしていて、押すとへこみますが放すとすぐに元に戻ります。ゴムまりのように大きく膨らむもの、平らに少しだけ隆起するもの、皮膚の下にでき赤みがなく膨らむものの3種類あります。
いずれにしても、最初の1〜2ヵ月で急に大きくなり、6ヵ月前後をピークに増大は止まり、その後少しずつ鮮やかな赤みがくすんだ色になり、やがて赤みは消え、大きさも縮小してきます。だいたい6歳ごろには赤みは消え、膨らみもなくなり平らになるか、しぼんでいきます。元の大きさが1〜2cm以下のものは、ほとんど跡形もなく治ってしまうことがほとんどです。
大きなものは、最終的に赤みはなくなっても一度大きく膨らんだ皮膚がしぼむので、しわしわの瘢痕(はんこん)が残ったり、皮膚が大きくたるんだような膨らみが残ったりすることがあります。そうなってしまった場合は、7歳を過ぎてから局所麻酔で瘢痕部を切除することもあります。
最近では、苺状血管腫ができてすぐ、まだ大きく膨らまないうちに、できれば生後1ヵ月以内にレーザー治療をすれば、それ以上大きく膨らむのを防ぎ、最終的に瘢痕を最小限に食い止めるということがわかってきて早期治療が勧められるようになってきました。
顔や首、手や腕、脚などの目立つ部位、あるいはご相談のように女の子の胸など将来あとが残って欲しくない部位に苺状血管腫ができたら、急いでレーザー治療ができる病院にご相談に行かれるのがいいでしょう。
レーザー治療を行っているのは、皮膚科か形成外科です。大きく膨らんでしまってからでは遅いので、タイミングが大切です。
ただ、ご相談のお子さんは、1歳1ヵ月と自然に縮小傾向にある時期なので、レーザー治療を行う必要はあまりないでしょう。この時期で1.5cmしかないのでしたらご心配には及びません。ほとんどあとを残さず治りそうです。
1年に1回くらいのペースで、皮膚科で経過を診てもらうのがいいでしょう。